November 2, 2018 / 7:48 AM / 11 days ago

アングル:中国人、ギリシャ不動産の「爆買い」に走る訳

[アテネ 29日 ロイター] - アテネの空港では、週に3回到着する何百人もの中国人投資家を、ギリシャの不動産仲介業者が出迎えている。売り出し中の物件に案内するため、市内の現場に車で直行する。

 10月29日、アテネの空港では、週に3回到着する何百人もの中国人投資家を、ギリシャの不動産仲介業者が出迎えている。写真は、物件を案内されるリアン・ウェンミンさん(29)。アテネで5月撮影(2018年 ロイター/Costas Baltas)

底値の不動産価格と、欧州の中でも寛大な「ゴールデン・ビザ」制度に引き寄せられ、中国からギリシャにやって来る訪問者は後を絶たない。ギリシャの場合、不動産に25万ユーロ(約3200万円)投資すれば、更新可能な5年間の滞在許可が得られる。

それは、首都アテネにあるアクロポリスの丘を一望できる寝室3部屋付きの物件を購入するには十分な額だ。

ギリシャ経済が2009年の債務危機を受けて崩壊し始めてから、初めて不動産市場に回復の兆しが見えている。ただし不動産価格はピーク時と比べ、いまだに4割程度低い水準にある。

アテネ在住のバシリスさんは昨年、自宅の買い手を見つけることをほぼあきらめかけていたとき、自宅アパート前に止まったミニバンから、中国人家族4人が降り立った。その翌日、バシリスさんはオファーを受けたという。

「彼らが内見したのは一度だけ。頭金を支払ってもらい、売却手続きが始まった」

バシリスさんは2007年、将来有望なイェラカス郊外の物件を32万ユーロで購入した。その後、成人した子ども2人にそれぞれアパートを買ってやるため、自宅の売却を決めたという。バシリスさんは中国人家族に22万ユーロで自宅を売った。

ギリシャ中央銀行のデータによると、不動産価格は第2・四半期に前年同期比で0.8%上昇。第1・四半期は0.1%の上昇で、2008年以降で初めて上昇に転じた。

不動産向け海外直接投資は昨年、前年に比べ91%増加して2億8700万ユーロに達した。一方、ギリシャ税務当局のデータによると、不動産販売からの税収は今年1─7月に年率41%増加して、2億0470万ユーロに上った。

「電話による問い合わせが増えている」と、アテネ不動産協会のレフテリス・ポタミアノス会長は言う。同協会には約3000の仲介業者が加盟している。「圧倒的多数は外国人だが、ギリシャ人もいる。群を抜いているのは間違いなく中国人だ」

今年と来年にアテネ圏の住宅価格は年平均5─7%上昇すると、同氏は予想する。

<裏側>

人民元が今年、対ドルで6%超下落していることも追い風となっている。中国政府は海外投資を制限しているが、中国の投資家は国外に資金を持ち出す術を見いだしている。

北京出身の元会計士で、ギリシャ投資によるゴールデン・ビザ取得を検討しているリアン・ウェンミンさん(29)は、ギリシャの不動産購入は、単に価格が安く、ビザ取得で、欧州連合(EU)域内を自由に移動できるからだけではないと話す。

ギリシャの温暖な気候も魅力の1つだと、リアンさんは言う。

「ギリシャの天気は非常に良く、人も食べ物も気に入っている」と、アテネ中心部を見渡せる高級住宅街にあるアパートのバルコニーでリアンさんはロイターに語った。リアンさんはこの物件の購入を検討しているという。

リアンさんはアテネ中心部にあるアパート1─2戸を25万ユーロで購入し、1つを米エアビーアンドビー(Airbnb)のような民泊仲介サイトで貸し出す計画だ。さらに可能なら、南部郊外に自宅用の物件も購入したいと考えている。

「25万ユーロ出せば、ここではアパート物件を2、3戸買えるが、北京で同じ金額を出しても、まあまあ良い場所にある広さ30平方メートルの物件を1つしか買うことができない。それは大きな違いだ」とリアンさんは語った。

かつて中国人に人気の移住先だった米国やカナダ、オーストラリアで昨年規制が強化されたことも、ギリシャに有利に働いていると、北京に拠点を置くブルーム・コンサルティングのアリス・マ営業部長は指摘する。

同じく5年間の滞在を許可するポルトガルのゴールデン・ビザ制度も、英仏の投資家と同様、中国人の関心を引き付けている。だがポルトガルの場合、少なくとも50万ユーロの投資が必要となる。

イオアニス・アナスタシアディスさんが経営するアナスタシアディス・グループは、ビザ取得のために弁護士や公証人をあっ旋するなど、中国人投資家にさまざまなサービスを提供している。

「ギリシャは徐々にだが、移住先として人気を集めつつある。中には、『ついのすみか』として検討されることもある」とアナスタシアディスさんは言う。

しかし借り手にしてみれば、中国人が主導するギリシャ住宅市場への関心は、良いニュースばかりではない。

「貸すために買う」という多くのバイヤー心理は賃料を押し上げ、賃借人が値上げに同意しなければ、立ち退きを強いられることもあり得ると、ギリシャの借家人組合を率いるアンゲロス・スキアダス氏は指摘する。

米不動産ネットワーク「RE/MAXインターナショナル」に加盟するギリシャのフランチャイズ店の調査によると、ギリシャの賃料は9月までの1年間で前年比8.4%上昇した。

「昨年から、この問題は悪夢になりつつある」とスキアダス氏。「大家から脅されて賃借人は出て行くことを余儀なくされ、新たに物件を探している人は法外な賃料に直面している」

組合は最低賃貸借期間を現行の3年から6年に延ばすようギリシャ政府に働きかける計画だと、スキアダス氏は語った。

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2013年にゴールデン・ビザ制度が開始されてから、3404件の滞在許可が下りており、そのうち約1700件は中国人に対してだったと、ギリシャ投資・貿易センターのデータは示している。

世界の不動産を扱う中国サイト「Juwai.com(居外)」のキャリー・ロウ最高経営責任者(CEO)は、今年の第1・四半期にギリシャに関する問い合わせが倍増し、第2・四半期はさらに3倍に増えたと話す。「劇的な増え方だ」と同CEOは語った。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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