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フォトログ:衝撃的なペースで減少する中国辺境の氷河、研究者が注目

[祁連山脈(中国) 10日 ロイター] - 荒涼とした風景が拡がる中国・祁連山脈。ここでは氷河が衝撃的なペースで消失しつつある。科学者らによれば、地球温暖化によって予測不可能な変化が生じ、長期的には深刻な水不足をもたらす恐れが高まっているという。

 荒涼とした風景が拡がる中国・祁連山脈。ここでは氷河が衝撃的なペースで消失しつつある。科学者らによれば、地球温暖化によって予測不可能な変化が生じ、長期的には深刻な水不足をもたらす恐れが高まっているという。写真は9月、ドローンで撮影(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

祁連山脈は、チベット高原の乾燥した北東端に全長800キロ(500マイル)にわたって横たわっている。1950年代、研究者らは氷河の状況を調査するため、中国国内で初の氷河観測拠点を設けたが、この山脈で最大級の氷河はそれ以来、約450メートル後退している。

「Laohugou No. 12」と呼ばれる面積20平方キロの氷河では、砂礫が吹き寄せられたゴツゴツの表面上を細い水流が縦横に走っている。科学者らによれば、測定開始以来、その面積は約7%縮小し、近年では融解が加速しているという。

同じく懸念をかき立てるのが厚さの減少だ。氷河観測所長のチン・シャン氏によれば、気温の上昇に伴い、氷の厚さは約13メートル(42フィート)減少しているという。

ロイターは先日、この木々のない凍てついた世界に設置された観測所を取材したが、チン所長は「この氷河が縮小していくスピードには本当にショックを受けている」と語った。観測所では、チン所長をはじめとする少数の研究者が氷河の変化を追っている。

チベット高原には、荒涼とした高地に膨大な量の氷が長年封じ込められており、北極・南極に次ぐ「第三の極」と呼ばれている。

だがチン所長によれば、1950年代以来、この地域の平均気温は約1.5度上昇したという。温暖化に歯止めがかかる兆候はなく、祁連山脈に存在する2684カ所の氷河をめぐる展望は暗い。

中国科学院のデータによれば、山脈全体で見た氷河後退のペースは、1956─1990年に比べ、1990─2010年には50%速くなっているという。

チン所長は「2005年に初めてここに来たときは、あの川が曲がっている地点の周囲まで氷河が迫っていた」と話し、Laohugou渓谷の岩だらけの斜面に沿って、曲がりくねった川がさらに低地を流れているあたりを指さした。

「Laohugou No. 12」氷河の終端部近くから始まる流れの水量は、60年前に比べて約2倍になっている、とチン所長はいう。

さらに下流へとたどっていくと、かつては古代シルクロードの主要な交易拠点だった敦煌に至り、中国国営メディアの報道によれば、過去300年間で初めて、山脈から流れ出た水によって湖が形成されているという。

<危険な変化>

地球温暖化が原因とされる気候の変化により、この他にも予測不可能な状況が生まれている。

干上がった疏勒川の河床にかかる橋(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

降雪・降雨が平年よりも大幅に少ない時期が見られ、氷河の融解により流出する水量が増えているにもかかわらず、下流地域の農家は、タマネギ・トウモロコシの栽培や家畜の飼育に必要な水の不足に悩まされる恐れがある。

干上がった疏勒川の河床に近い草むらで撮影した鉱床(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

9月にロイターが取材したとき、敦煌の郊外を流れる疏勒川では、かなりの部分が干上がるか水量が減少し、砂漠特有の灌木のあいだに淀んだ水溜まりが残るだけになっていた。

新たな変化が危険につながる例もある。

「Laohugou No. 12」氷河の融解水(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

グリンピース・イーストアジアで気候・エネルギー関連運動を担当するリュー・ジュニャン氏は、「地域全体で、氷河の融解水が湖水に流れ込み、壊滅的な洪水を引き起こしている」と語る。

「春になると洪水が増加する。その後、夏になって灌漑用水が最も必要な時期になると、水不足になる」

三輪車の後ろにカリフラワーを積むグ・ジャンウェイさん(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

酒泉という小さな街の郊外で野菜栽培農家を営むグ・ジャンウェイさん(35歳)の場合は、今年は異常気象により、カリフラワー栽培に必要な水が不足してしまった。

グさんは、通常の重さの数分の1にすぎないという小さなカリフラワーの花雷を手に取り、野菜の成長にとって重要な夏の数ヶ月、水やりができたのはわずか2回だったと話す。

母親からカリフラワーを受け取るグさん(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

中国科学院の専門家シェン・ヨンピン氏によれば、山岳地域の(氷河の)融解による水量は10年以内にピークに達する可能性があり、その後は、氷河の減少・小規模化により、融雪によって得られる水量も急減するという。これによって水不足の危機が生じる可能性がある、と同氏は警告する。

科学者らによれば、祁連山脈における異変は、チベット高原の他の部分における氷河融解の傾向を反映しているという。こうした氷河は、揚子江をはじめとするアジア地域を流れる大河の水源となっている。

「Laohugou No. 12」氷河の融解水(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

メイン大学のアーロン・パットナム准教授(地球科学)は、「こうした氷河は大気温の温暖化の動きを映し出しており、そうした傾向は、黄河・揚子江上流に流入する水を供給する氷河を抱いた近隣の山脈にも当てはまる」と話す。

調査に参加している学生のジン・ジチェンさんは、紺碧の空の下、「Laohugou No. 12」が眩しく輝くなかで、測定器具をチェックしている。氷が減少している証拠は、ジンさんの目にはあまりにも明らかだ。

「自分自身の目で確かめることのできる事実だ」とジンさんは言う。

(翻訳:エァクレーレン)

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