[上海 15日 ロイター] - 世界の数百もの金融機関が、2019年1月─21年11月までに融資や引受業務を通じ、石炭業界に総額1兆5000億ドルを融通していたことが非政府組織(NGO)の調査で分かった。こうした金融機関の大半は、炭素排出量を差し引きゼロにする「ネットゼロ」を公約していた。
28のNGOによる調査によると、金融機関の資金提供先は石炭の採掘、取引、輸送、利用に関わる1032社に上った。
調査を主導したドイツの環境NGO、ウルゲバルトの担当者は「銀行は石炭業界の顧客企業の(脱炭素への)移行を助けたいと主張したがるが、現実にはこうした企業のほとんどは移行していない」と指摘。銀行が融資し続ける限り、企業に脱炭素に移行するインセンティブは働かないと語った。
調査によると、中国、米国、日本、インド、英国、カナダの6カ国の銀行が、調査期間中に行われた世界の石炭融資の86%を担当していた。
直接融資は総額3730億ドルで、最も額が大きかった2行はみずほフィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャルグループだったという。
みずほはロイターに対し、ウルゲバルドと対話を通じ、この調査リポートに記載されている融資金額の正確性・適切性等、記載内容が実態を反映しておらず明確化が必要だという問題意識を共有している、と明らかにした。三菱UFJのコメントは得られていない。
残りの1兆2000億ドルは金融機関の引受業務を通じて石炭会社に流れた。引受額上位10社はいずれも中国企業で、中国工商銀行が570億ドルで最大だった。同行もコメント要請に応じていない。
機関投資家の投資額は4690億ドル。首位はブラックロックの340億ドル。同社のコメントは得られていない。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」