[ロンドン 30日 ロイター] - シンクタンクのカーボン・トラッカーは30日に公表したリポートで、世界で計画されている新たな石炭火力発電所の80%はアジアの5カ国が占めていると指摘し、そのほとんどが非経済的で、国際的な気候変動対策の目標達成を妨げることになるとの見解を示した。
中国、インド、インドネシア、日本、ベトナムのアジア5カ国では、600件以上の新規石炭火力発電所の建設プロジェクトが計画されており、その総発電能力は300ギガワットを超える。
カーボン・トラッカーは、アジア5カ国で計画されているプロジェクトの92%は非経済的で、最大1500億ドルの資金が無駄になると指摘した。
同社の電力・公益事業部門責任者、キャサリナ・ヒレンブランド・フォン・デア・ネイエン氏は「投資家は新規の石炭プロジェクトを避けるべきだ。その多くは最初からリターンがマイナスになる見込みだ」と述べた。
前出のアジア5カ国は現在、世界で稼働している石炭火力発電所の約4分の3を占め、このうち半分以上は中国にある。カーボン・トラッカーによると、既存の発電所の27%は採算が取れず、30%は収支トントンという。
また、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」での目標が達成された場合、2200億ドル規模の既存の石炭火力発電所が暗礁に乗り上げる可能性があるという。
リポートは、2024年までに全ての主要地域で再生可能エネルギーが石炭よりも安価になるとし、26年までには世界の石炭火力発電所のほぼ100%の運営コストが、再生可能エネルギーを利用した発電所の建設・運営コストを上回るとしている。
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