[ロンドン 30日 ロイター] - 気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」で掲げられた二酸化炭素(CO2)排出量の削減目標を巡り、現在進行中のプロジェクトではそのごく一部しか達成できないとする報告書が、30日に発表された。
温室効果ガスの排出削減・回収を目指す団体「ネガティブ・エミッション連合(CNE)」とコンサルティング会社マッキンゼーによる報告書は、「2025年までに世界全体で1ギガトン(=10億トン炭素)のネガティブ・エミッションを実現しなければ、パリ協定で目標に掲げた、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べ1.5度以内に抑えることはできない」と指摘。
ネガティブ・エミッションとは、二酸化炭素の排出削減だけでなく、過去に排出し大気中に蓄積した分も回収・除去する技術。バイオエネルギーや植林などの自然の気候対策が含まれる。
同報告書によると、パリ協定の目標を達成するためには、各国は2025年までに10億トン、それ以降も毎年10億トン以上の二酸化炭素を大気中から除去する必要がある。しかし、現在進行中のプロジェクトでは2025年までに除去できる量は約1億5000万トンにとどまり、必要量には到底及ばないという。
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