[ロンドン 17日 ロイター] - 国連の世界気象機関(WMO)は17日、地球の気温が今後5年で一時的に産業革命前よりも摂氏1.5度超上昇する確率が史上初めて50%を突破したと発表した。
2015年のパリ協定では、地球の平均気温上昇を長期的に産業革命前より1.5度未満に抑えるという目標が合意されている。WMOの発表は、こうした上限目標が破られるわけではない。
ただ英気象局ハドレーセンターの長期予測責任者で、WMOの直近の「グローバル・アニュアル・トゥ・デカドゥル・アップデート」報告書策定に従事したアダム・スカイフ氏は、2027年までに地球の気温が1.5度上昇する確率が66%に上がったことについて「歴史上初めて、気温が1.5度上昇しないよりもする公算が大きくなった」と説明した。昨年の報告書では確率は50%ちょうどだった。
同センターのレオン・ハーマソン氏も、上昇幅が1.5度に達するのが一時的としても「そうした年がやってくる頻度が一段と増え、実際の長期的な気候がこの節目にじりじり近づいていることを示すものだ」と指摘した。
こうした事態は、世界各国による温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みが十分進展していないという意味合いもある。一方1.5度上昇の確率が高まった理由の1つとして、今後エルニーニョ現象が発生するとの見通しが挙げられる。エルニーニョが起きると、熱帯地域の太平洋の水温が平年よりも上がり、地球の全体を温める。
WMOのターラス事務局長は、エルニーニョと人類の行動に由来する気候変動が組み合わさり、地球の気温は「未踏の領域」に突入すると警鐘を鳴らした。
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