November 9, 2019 / 11:28 PM / in 7 days

アングル:災害多発で注目、企業評価の新指標「気候変動リスク」

[ニューヨーク 5日 ロイター] - カリフォルニア州で2年連続となる大規模な山火事が発生したことを受け、米国では企業のリスクを測る新たな指標の導入が進んでいる。評価の対象となるのは「気候変動に対する抵抗力」だ。

 11月5日、カリフォルニア州で2年連続となる大規模な山火事が発生したことを受け、米国では企業のリスクを測る新たな指標の導入が進んでいる。写真は山火事の燃え広がりを抑える難燃剤を散布する様子。11月1日、カリフォルニア州サンタポーラで撮影(2019年 ロイター/Daniel Dreifuss)

<企業側も危機対応の意識高まる>

海面上昇から記録的な熱波まで、様々に広がる気候事象は利益や売上高にどのような影響を与えるのか。そうしたリスクに企業がどう対応できるのか。投資家、アナリスト、調査会社、そして各企業も、そうした評価や判断をこれまで以上に重視するようになっている。

特にカリフォルニア、フロリダ、ルイジアナなど気象変化のリスクが高まっている地域では、立地企業が危機に備えた事業計画の有無や妥当性を問われる局面が増えている。

ロイターがリフィニティブの企業データを分析したところ、四半期業績報告で気候変動が経営に与える潜在的な影響について触れた企業は、今年初めからの合計で70社を越えている。昨年はもちろん、2014年以降のどの年と比べても、2倍以上の数だ。

他に先んじて気候変動リスクに注目してきたのは、企業の環境・社会・ガバナンスといった側面を重視する、いわゆるESGファンドだった。だが最近では、これまで企業経営に影響する環境要因を考慮していなかったファンドマネジャーも、対象企業が抱えるリスクやその可能性をこれまでよりも慎重に検討するようになった。

コロンビア・リアルエステート・ファンドの上級ポートフォリオ・マネジャーを務めるアーサー・ハーレイ氏がポートフォリオに含めている企業、たとえばエクイティ・ライフスタイル・プロパティーズなどは、アナリスト向けの収益報告の中で、新規に港湾施設を購入する際に水位上昇の可能性を評価している。同社の株価は年初来43%も上昇した。

同氏は気候リスクに先手で対応しているエクイティ・ライフスタイルやボストン・プロパティーズといった企業に積極的に投資するようになった。これらの企業は、開発候補地の標高にもっと注意を払う、重要な設備の建築設計には床面よりも高く設置するといった条件を盛り込む、など様々な対応をとっている。

「企業が戦略を大きく変更するという期待はできないが、気候変動への抵抗力をに関するプランについて経営陣と対話する機会は増えている」と同氏は語る。

<「近い将来に解消できるリスクではない」>

ファンドマネジャーらが気候変動リスクを重視するようになったのは、今年1月に起きたサンフランシスコの電力会社、パシフィック・ガス&エレクトリックの倒産が契機だったという。

2017年と2018年の大規模な山火事は同社の設備が原因とされている。同社は賠償負担が300億ドルを超えるという予想を踏まえ、連邦破産法第11条に基づく破産申請を提出していた。

今年10月23日に発生した山火事は、カリフォルニア州最大の公益企業である同社の資金調達を危うくし、140億ドル規模の再生計画の先行きに暗雲をもたらす可能性がある。

一方、米国環境情報センターによれば、10億ドル以上の損害をもたらした気象・気候災害は今年に入ってから10件を数えており、1980年から2018年にかけての通年平均である6.3件に対して、すでに2倍近くに達している。

スイスの再保険会社、スイス・リーによれば、8月までの自然災害関連の保険請求15億ドルのうち、13億ドルは山火事やヒョウなど、かつては二次的な危険とされていた事態に関する請求だという。

山火事の増加を受けて、ヒスコックスなどの保険会社は新たなリスクモデルを導入。カリフォルニアなどリスクの高い地域では、一部の顧客に対する保険提供を停止している。同州保険監督局によれば、全体では保険会社の10%が州内の山火事多発地域における契約更新を断っているという。

S&Pグローバル傘下のトゥルーコストなどの調査会社は、投資家の評価を助けるため気候リスク分析の提供を拡大している。同社は今後数週間以内に大きなリスクを抱える企業に焦点を当てたレポートを公表するという。

シリコンバレーのスタートアップ企業ジュピターは今年3月、2300万ドルの資金調達を完了したと発表した。分析サービス事業を拡大することが目的で、これによって、投資家や企業に特定の地点における短期・長期の詳細な気象パターンを提供できるようになるという。

PGIMフィクストインカムのマネージング・ディレクター(マルチセクター・戦略担当)を務めるグレゴリー・ピーターズ氏は、「これ(気候変動リスク)は、近い将来に解消される類いのものではない」と話す。

ピーターズ氏率いる不動産投資担当チームのアナリストらは気候変動リスクにますます注目するようになり、同氏はカリフォルニアの公益事業数社の保有ポジションを縮小した。

「公益事業各社が抱えているのは、数年前だったら我々も必ずしも考慮しなかったような、新しい種類のリスクだ」(同氏)という。

(翻訳:エァクレーレン)

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