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コラム

コラム:経済再開の6月、物価マイナス拡大へ 巣ごもり減少響く

[東京 19日 ロイター] - 5月の全国消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は前年比マイナス0.2%だったが、エネルギーと生鮮食品を除くコアコアは、同プラス0.4%だった。つまり値下がりしたガソリンなどを除くと、物価は上がっていたことになる。「ステイホーム」で客が増えたスーパーなどが「セール」を手控えた結果だ。

6月19日、5月の全国消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は前年比マイナス0.2%だったが、エネルギーと生鮮食品を除くコアコアは、同プラス0.4%だった。写真は1日、東京スカイツリーで撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

しかし、経済活動が本格的に再開された6月は、スーパーなどが「セール」を再開したとみられ、日用品の物価上昇率はじわじわと低下。雇用・所得環境の悪化が進行中であるため、消費が手控えられ、デフレ心理が再び台頭するリスクに直面している。

<セール手控え、日用品上昇>

総務省が19日に発表した5月全国CPIで注目されたのは、エネルギー分野の価格下落だった。前年比マイナス6.7%と大幅に低下。ガソリン価格が同16.4%も下落したことが大きく影響した。

その結果、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIが、同プラス0.4%と上昇した。POSデータなどを駆使して最新の物価動向をリサーチしているナウキャストの辻中仁士CEOは、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、政府や自治体が自粛を要請し「ステイホーム」が徹底されたことが、消費者の購買パターンに変化を与え、物価動向にも波及したと分析している。

辻中氏によると、5月初旬は大型連休中にステイホームが徹底され、食品や日用品を買うためにスーパーへの来店客が増加。スーパーはセールを実施しなくても十分に売り上げを確保できたとみている。その後も「社会的距離」の確保が重要との報道が繰り返され、スーパー側も客の集中を避ける意味からもセールを手控えてきたが、6月に入り客足に勢いがなくなり、 セールを再開したところ、食品や日用品の価格上昇率が鈍ってきたと分析している。

ナウキャストが作成している日経CPINOW によると、5月の前年同期比はプラス1.73%だったのに対し、6月1日─17日までの前年同日比は平均プラス1.03%と増勢が急速に鈍っている。

<注目される652万人の休業者の行方>

ここから先の物価動向は、原油価格と国内需給に大きく左右されそうだが、中でも心配なのが、雇用・所得環境だ。政府によると、4月の休業者が652万人となり、就業者が107万人減少した。企業は政府の雇用調整助成金を利用するなどして雇用を維持しているが、今後の経済情勢によっては、解雇されるリスクがある非常にデリケートな存在と言える。

また、高齢者や女性を中心に就業者が減少し、家計における収入の状況は急速に悪化している。この結果、家計の消費マインドが消極化し、節約ムードが強まることが十分に予想され、6月からの食品、日用品の価格が下がりやすくなっている原因が浮き彫りになっているのではないか。

年内の国内需給は、じりじりと供給超過が進み、物価が下がりやすくなると予想する。

原油価格は、世界経済の動向と先行きへの市場心理次第だが、米欧の政府・中銀当局者で需要の急速な盛り上がりを示す「V字回復」を予想している声はほとんどなく、需要の引き締まりで原油価格が上がっていく姿は描きにくい。

デフレ心理はいったん広がり出すと、払しょくするのが難しくなる性質がある。日銀は2021年になると物価がプラス圏に上昇すると予想しているが、簡単に実現できるのか不透明感が強いと言えるだろう。経済の活性化を実現するため、政府・日銀がどのようなカードを繰り出してくるのか試されることになりそうだ。

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編集 石田仁志

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