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コラム

コラム:2016年後半、さらに悪いことが起きるのか

[25日 ロイター] - 2016年で最も憂慮すべきことは、ある意味、まだあと5カ月以上も残っているということだ。今年に入り、どれだけ悪いニュースがすでに数多く起きてきたかを考えると、他にどんな悪いことがこれから起きるのかと問わずにはいられない。

 7月25日、2016年で最も憂慮すべきことは、ある意味、まだあと5カ月以上も残っているということだ。写真はパリ同時攻撃の弾痕に通されたバラの花。「何のために」とのメッセージが添えられている。昨年11月撮影(2016年 ロイター/Pascal Rossignol)

その答えは、言うまでもなく、多くのことが考えられる。

とりわけフランスとドイツで起きている、比較的小規模で限られた攻撃のみならず、大量の死傷者を出したパリ、ブリュッセル、ニース、ミュンヘン、オーランドにおける攻撃は、恐らく始まりにすぎないだろう。必ずしもその全てがイスラム系武装勢力とつながりがあるわけではないが、どの事件も明らかに危険な形で国内政治の温度を上昇させている。

中東では、過激派組織「イスラム国(IS)」がイラクとシリアで勢力を失いつつあることに疑いの余地はないが、だからといってISが消滅するかと言えばそうではないだろう。イラクや他の地域で起きている事件と同様、アフガニスタン首都カブールで23日に起きた自爆攻撃は、西側におけるテロ攻撃が比較的かなり小さい規模にとどまっているということを残酷にも思い起こさせる。

しかしこれらは唯一の危険でも、あるいは必ずしも最大の危険でもない。中国、ロシア両国に対する緊張は次第に高まる可能性がある。欧州連合(EU)も混乱から抜け出せていない。英国のEU離脱だけでなく、ユーロ危機も全く解決していない。

国内で政治危機に陥っているような国も驚くほど多い。15日に起きた軍クーデター未遂後のトルコはこれまで以上に不安定化している。さまざまな面で、同国が西側の政策にとっていわば要となっていたことを考えると、これは厄介な話だ。

ロシアは下落する石油価格と、中国は低迷しそうな経済成長と闘わねばならない。また、米国や英国、フランスやドイツを含む多くの西側諸国は、何世代とは言わないまでも、何十年も見られなかった規模で社会の分断が起きている。

そしてもちろん、共和党候補のドナルド・トランプ氏が、11月の米大統領選で勝利する可能性もまだ大いに残されている。

ブリュッセルやオーランドで起きたような攻撃は、トランプ氏に有利に働く傾向がある。したがって、米国で最近起きている警官への一連の攻撃も、同氏には追い風となるかもしれない。ただし、多くの場合に武器を携帯していない黒人を殺害することへの激しい怒りが広がっていることは、民主党への投票を押し上げるかもしれない。

残りの世界が一段と悪化するように見えるにつれ、トランプ氏の主張が説得力を増すという結論を逃れることは難しい。たとえそのような危機の数々に対処する同氏のやり方は、悲惨以外の何ものでもないという結論が同様に避けがたいとしても、だ。

ほぼあらゆる国において、とても気がかりな政治的傾向が見られる。ISのような武装勢力が意図的に行った組織的攻撃でないとしても、常軌を逸した個人が政治的に急進的になり、時に壊滅的な攻撃を行うという懸念すべき傾向があるように見える。

ニースの事件から、米国で多発する銃乱射事件、6月に英国で起きたEU残留派のジョー・コックス議員殺害に至るまで、これらは1つの線でつながっているようだ。

多くの国で中道派が劇的に勢力を失っているため、このような政治的分断は危うさをある程度増している。EU離脱の是非を問う英国の国民投票において、印象的かつ残念だったことの1つは、離脱派、残留派のどちらも、相手に一理あるかもしれないと認めようとはしなかったように思えたことだ。そうしたことは、米国からトルコまで、他の多くの場所においても当てはまる。

中道派がいなくなれば、あらゆる立場の人が極端な方向や独断的な見方へと追いやられる傾向が出てくることは避けられまい。たとえそれが暴力につながらなくても、意見の一致や意思決定を相当難しくする。(米国の共和、民主両党や英国の労働党の内紛でも明らかなように、既成政党においてすらそうなのだ。)

要するに、今年後半も前半と似たような流れに沿い、単独犯であろうと複数犯であろうと、悪意に満ち、しばしば暴力的な事件が断続的に発生し、さまざまな場所で政治的温度を上昇させ続ける可能性は全くもってあり得ることなのだ。

そうしたことがたとえ起きなくても、政治危機が続き、異例で時に非常に不快な政治的結末をもたらすリスクを高めることになるだろう。英国のEU離脱は明らかにこの証左の1つであり、もしトランプ氏が大統領選に勝利すれば、新たな一例となり得る。さらに来年にはフランスとドイツでも選挙が控えている。

両国とも極右が台頭しており、ドイツでは右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」がナチス以来、考えられないほど票を伸ばしている。

夏の時期はまた、予期せぬ出来事が生まれがちである。それは紛争に関連するものであったり、金融的なものであったりする。ロシアは、北大西洋条約機構(NATO)非加盟国のウクライナやジョージアといった周辺国、あるいはバルト諸国に対してさえ、乗っ取りを試みるかもしれない。また、南シナ海の領有権をめぐり、自国の主張が受け入れられなかった仲裁裁判所による今月の裁定に対し、中国がどのように反応するのか、まだ分からない。最悪な場合、そのような対立によって核戦争が勃発しかねない。

あるいは2008年に起きたリーマンショックのような金融危機を再び目にすることになるかもしれない。それを誘因するのは、ユーロ圏内の出来事か、あるいは英国が覚悟を決め、EUを離脱するためにEU条約第50条をいよいよ発動する時であろう。(ただしこれは、どうやら来年まで延期されそうだが。)通貨ユーロの崩壊は、イタリアのような国が抜ければ全くあり得ることだが、さらにひどいことになりかねない。

しかしこうした一切にもかかわらず、一部の分野では事態が悪化していないことは注目に値する。EU加盟国への移民流入は昨年から大幅に減少しており、欧州各国は武装勢力の脅威に苦闘しているものの、大いに必要としていた休息を得ている。英国民投票による市場混乱は、多くが恐れていたほどではなかった。政党は分裂し、分断し続けるかもしれない一方、西側、特に米国の有権者は、超党派の、合意に基づくアプローチを求めていることが、各世論調査はおおむね示している。

多くの点で、向こう数年間は、最近の人類史上において最も危険な時期に含まれる可能性がある。特に、完全なる崩壊と大国同士の衝突という両方のリスクがかつてないほど高まっている。グローバル化や国際的なコンセンサス、多くの国における政治中道化への動き、といった安定化を大いにもたらすと見られていた原動力の多くは現在、危機的状況にあるか、完全崩壊している。

うまくいけば、何も問題ないかもしれない。だが非常に不確実で、一段と忌まわしく、波乱に満ちた日々となるように思えるのだ。

*筆者はロイターのコラムニストで、シンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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