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コラム:邦銀の巨額国債保有、アベノミクスの「息切れ」要因に
2014年7月23日 / 03:02 / 3年後

コラム:邦銀の巨額国債保有、アベノミクスの「息切れ」要因に

[シンガポール 22日 ロイターBreakingviews] - 邦銀が抱える巨額の国債保有残高が、安倍晋三首相の首を絞めつけている。日銀が量的緩和を終了して国債価格の下落を招けば、銀行は保有する国債を一斉に投げ売りする可能性がある。そうなれば、金融システムは混乱に陥り、デフレ脱却を目指すアベノミクスに打撃を与えかねない。

 7月22日、日銀が量的緩和を終了して国債価格の下落を招けば、銀行は保有する国債を一斉に投げ売りする可能性がある。そうなれば、金融システムは混乱に陥り、アベノミクスに打撃を与えかねない。写真は昨年4月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

日銀の積極的な国債買い入れに後押しされ、国内金融機関は過去1年間で国債保有額を9%減らしたが、それでも保有残高は288兆円に上る。これは、国内総生産(GDP)の約60%に相当する。

政府の債務残高は今後、懸念すべき水準に達することが見込まれている。2014年末までに860兆円に達すると予想される国債発行残高は、2017年までには925兆円を超えるとみられている。年率にして2.5%の増加だ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が高リターンを求めて株式などのリスク資産に向かうようになれば、2017年までに10━15兆円規模の国債の買い手を見つける必要が生じるかもしれない。

そうなれば、国債市場は80兆円の供給過剰となる。過去の傾向から言えば、そのうち35兆円はノンバンクの投資家や海外勢が吸収できるが、残りの45兆円は買い手をほかに探すことになる。日銀が年間50兆円の買い入れを続けることはできない。いったんインフレが加速すれば、日銀も売りに転じる可能性がある。

現在低水準で推移している金利が上昇し始めれば、過剰な国債の買い入れはパニック売りを引き起こす可能性をはらんでいるため、こうしたことは全て問題と言える。そうなれば、金融不安と財政崩壊をもたらしかねない。最近のロイター企業調査では、回答した日本企業の47%が向こう10年以内に日本で南欧型の債務危機が起きると予想している。

安倍首相のブレーンたちはこの課題を認識している。6月12━13日に開催された日銀金融政策決定会合に出席した財務省の役人は、日本の財政状況を「厳しい」と表現した。最も望むべきは、日本政府が約束通り速やかに財政規律の修正に努め、財政赤字を削減することだ。

また、国債発行残高の伸びを年1%に抑え、たとえ日銀が国債の買い入れをこれ以上行わなくても、銀行は国債保有額の拡大を止めるべきだ。こうした警告を無視するなら、アベノミクスは息切れすることになるかもしれない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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