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コラム:米アップルへのロック解除命令、全くの「たわ言」
2016年2月21日 / 02:04 / 2年後

コラム:米アップルへのロック解除命令、全くの「たわ言」

ロサンゼルス連邦地方裁判所が米アップル(AAPL.O)に対しiPhone(アイフォーン)端末のロック解除を命じたことは、全くのたわ言のように思える。

 2月17日、ロサンゼルス連邦地方裁判所が米アップルに対しiPhone端末のロック解除を命じたことは、全くのたわ言のように思える。写真は同社のロゴとクックCEO。カリフォルニア州で2013年6月撮影(2016年 ロイター/Stephen Lam)

銃乱射事件の容疑者が所有していたアイフォーンのロック解除を求めていた連邦捜査局(FBI)の要求を認め、ロサンゼルス連邦地方裁判所は16日、アップルに対し「妥当な技術支援」を行うよう命じた。

FBIは、昨年12月にカリフォルニア州サンバーナディーノで発生し、14人の犠牲者を出した銃乱射事件のサイード・リズワン容疑者が保有していたアイフォーンのロック解除を求めていた。

取り締まり上の、そして安全保障上の懸念が重大なのは言うまでもない。だがプライバシーの保護は、とりわけ中国など他国も同様にスマートフォンの「バックドア」を見つけようとしているかもしれないなか、致命的に重要となっている。

FBIはアップルに対し、アイフォーンの最も特長的な性能の1つである、持ち主以外の(アップルを含む)第三者によるアクセスをブロックできる機能を外すよう求めている。

同局は、ロック解除を求めているのは容疑者のアイフォーン1台だけだと主張しているが、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は恐ろしい前例をつくるものだとして解除拒否を公開書簡で表明した。

政府が、例えばアップルや他のスマホメーカーに対し、メッセージの傍受を可能とするソフトウエアをつくるよう求めることは想像に難くない。

FBIの法的根拠はぜい弱だ。司法権強化のためなら連邦裁判所があらゆる令状を出せるとする曖昧な全令状法(1789年)に基づいている。検察当局は、いくつかのケースでモバイル端末を解読するために同法をよりどころとしている。ほとんど前例はないものの、同法によってスマホのロック解除は正当化できないとする判断が少なくとも1件は存在する。

政府は無制限のアクセスを要求するものではないとしており、それには一理ある。犯罪者やテロリストの脅威は軽視されるべきではなく、携帯電話のセキュリティー機能のせいで、情報収集による攻撃阻止は一段と困難になり得るからだ。とはいえ、スマホに侵入する以外にも証拠を集める方法はいくらでもある。

さらに重要なのは、アップルに対する今回の命令により、中国が自国内で使用されている端末にアクセスする努力を加速する可能性があるということだ。中国は長年、外資系メーカーが暗号化された情報を解除するための電子キーをつくるべだと主張してきた。同国は昨年12月、暗号解読の支援を企業に義務付ける反テロリズム法を成立させた。

アップルのケースにおける良い側面は、この問題に対する注目を集めたことだろう。結局は、ひとりの判事ではなく議会が、何が許され、許されないことかを決めるべきだ。それまでは、アップルの判断に対する評価は「A」に値すると言える。

●背景となるニュース

*アップルのクックCEOは、銃乱射事件の容疑者が所有していたアイフォーンのロック解除を拒否すると表明。ロサンゼルス連邦地方裁判所のピム裁判官は16日、連邦捜査局(FBI)によるアップルへのロック解除要求を認め、同社に対し「妥当な技術支援」を行うよう命じた。

*アップルのクックCEOは、政府が同社に対し、セキュリティー機能を外し、アイフォーンの基本ソフト(OS)に、パスコードを電子的にインストールすることを可能にする新たな性能を持たせるよう求めていると明かした。

*また、当局がメッセージを傍受したり、医療記録にアクセスしたりすることを可能にする監視ソフトウエアを作成するよう求めていることも同CEOは明らかにした。

(ニューヨーク 17日 ロイター BREAKINGVIEWS)

*FBIは、テロリスト、児童ポルノや他の犯罪者の追跡にそのようなアクセスは必要だと主張。全般的なアクセスを求めているわけではなく、裁判所命令のある特定のケースに限るとしている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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