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コラム:AT&Tトップ、退路を断って司法省と全面対決へ
November 21, 2017 / 5:16 AM / a month ago

コラム:AT&Tトップ、退路を断って司法省と全面対決へ

Jennifer Saba and Gina Chon

 11月20日、米通信大手AT&Tのランダル・スティーブンソンCEO(写真)が、米司法省と真っ向から対決しようとしている。NY市で1月撮影(2017年 ロイター/Mike Segar)

[ニューヨーク/ワシントン 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米通信大手AT&T(T.N)のランダル・スティーブンソン最高経営責任者(CEO)が、米司法省と真っ向から対決しようとしている。

同省がAT&Tを提訴し、同社が850億ドルでメディア大手タイム・ワーナー(TWX.N)を買収する計画の阻止に動いたからだ。スティーブンソン氏は6年前、同じように司法省の反対に直面し、携帯電話会社TモバイルUS(TMUS.O)の買収を断念している。だが今回はスティーブンソン氏にとって、全面的な勝利を得られない限り、進退問題に発展するのは避けられないだろう。

司法省は、AT&Tとタイム・ワーナーの統合が数百万人のテレビ視聴者の料金引き上げにつながり、動画配信などのイノベーションにブレーキをかける懸念がある点を提訴の理由に挙げている。タイム・ワーナー傘下のケーブルテレビ局HBOが製作した「ゲーム・オブ・スローンズ」といった高い評価を受けているコンテンツ使用について、AT&Tがライバルにより高額の料金支払いを迫る恐れがあるというのだ。

スティーブンソン氏もひるむ様子は見せなかった。電話記者会見では「この勝負でわれわれは勝ちに行く」と強気の姿勢を表明。AT&Tが傘下の衛星テレビ放送会社ディレクTVを売却するか、CNNを含むタイム・ワーナーのケーブル放送グループを切り離せという司法省の要求に応じるつもりもない。さらにスティーブンソン氏は、トランプ大統領がCNNを猛烈に批判している事態について「だれも触れてはいけない問題」としつつも、司法省が提訴した一因ではないかとの見方を示した。

だがスティーブンソン氏が、AT&Tの合併戦略に対する当局の出方を読み違えたのは今が初めてではない。Tモバイルの買収を試みた際には、司法省が携帯電話市場における競争への影響を全国規模ではなく地域的な懸念とみなすので、ある程度の資産売却で対応できる、とAT&Tは想定していた。その結果は、買収に失敗しただけでなくTモバイルに莫大な違約金を支払った挙句、この違約金がTモバイルが仕掛けた値下げ競争の原資になるという「オチ」までついた。

AT&Tはタイム・ワーナー買収においては、必ず適正な条件でコンテンツのライセンスを供与することを受け入れるなどの対策を講じれば、司法省が抱く競争上の懸念を解消できると考えていた。コムキャスト(CMCSA.O)によるNBCユニバーサル取得では、まさにこうした合意が交わされた。しかし先週、司法省のマカン・デラヒム反トラスト局長は、AT&Tのタイム・ワーナー買収計画を承認するには、継続的な監視が必要な措置よりも資産売却など構造的な解決策の方が好ましいとの見解を明確にしている。

司法省は、AT&Tとタイム・ワーナーの統合が弊害をもたらすと証明する義務を負う。さらに1970年代初めのニクソン政権以降、垂直的な合併が阻止されたケースはないという事実も、AT&T側の意見の正当性を高める。ただし、実際に合併が撤回されてこうした法則に当てはまらなかった可能性がある案件もいくつか存在する。例えば半導体製造装置大手ラム・リサーチ(LRCX.O)は、同業のKLAテンコール買収を断念した。スティーブンソン氏に関して言えば、そうした後戻りはもう許されない立場に置かれている。

●背景となるニュース

    *米司法省は20日、AT&Tを提訴し、同社によるタイム・ワーナー買収阻止に動いた。申し立てによると、経営統合が進めば、新会社がタイム・ワーナーの人気番組を利用して競争相手に打撃を与える恐れがあるという。

    *AT&Tのデービッド・マカティー上級執行副社長兼法務顧問は声明で「本日の提訴は、何十年にも積み重ねられた買収審査の前例からの急激かつ不可解な逸脱だ。今回のような垂直的合併は、市場からいかなる競争相手を除くことなく消費者に恩恵をもたらすので、常に承認されてきた。われわれの計画だけが別扱いされる正当な理由が見当たらない」と主張した。

    *AT&Tは昨年10月22日、タイム・ワーナーを現金と株式により850億ドルで買収することに合意したと発表した。

    *筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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