January 25, 2018 / 6:02 AM / 4 months ago

コラム:銀行のデジタル革命、フィンテック超える新たな脅威

Peter Thal Larsen

 1月24日、ハイテク企業に事業のおいしい部分を奪われるのではないか─。銀行は、昔ながらの悩みを抱えて2018年を迎えた。NY市のウォール街で2016年12月撮影(2018年 ロイター/Andrew Kelly)

[ダボス(スイス) 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ハイテク企業に事業のおいしい部分を奪われるのではないか─。銀行は、昔ながらの悩みを抱えて2018年を迎えた。今はまだ、わずらわしい金融規制や、低い投資収益による魅力の低下という盾が、銀行を守っている。

しかしアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)やアップル(AAPL.O)などの巨大ハイテク企業があらためて金融業に食指を伸ばしており、景色は一変しかねない。

現在開催中の世界経済フォーラム年次総会(WEF、ダボス会議)では、スタートアップ企業が革新的な事業モデルを売り込む仮店舗を設置したり、若い出席者が仮想通貨について語り合うといった光景が広がっている。しかし金融業界はほとんど意に介していない。今のところ、スタートアップ企業は預金集めや融資、決済処理といった銀行の中核事業にほとんど切り込めていないからだ。

ダボスを訪れた銀行幹部らが内心、もっと恐れている脅威がある。アマゾンやアップル、グーグル(GOOGL.O)の親会社アルファベットといった巨大ハイテク企業が、金融サービスに力を入れる可能性が再び強まってきたことだ。

アマゾンは既にクレジットカードを発行し、中小企業向け融資に乗り出している。アップルは決済アプリ「アップルペイ」により、「iPhone(アイフォーン)」をクレジットカードに変身させた。これらはほんの始まりかもしれない。先週ロンドンで開かれたロイターBREAKINGVIEWS予想討論会に出席した銀行幹部らは、フィンテックよりもこうした「ビッグ・テック」の方が脅威だと話した。

銀行は手中砲火を浴びている。第1に、顧客の要求にこたえてシステム更新のために巨額の技術投資を行わざるを得なくなっている。第2に、便利なスマートフォン(スマホ)の普及だ。発展途上国ではこれまで銀行にアクセスできなかった数百万人にがスマホひとつで決済処理を行えるようになった。

技術革新は銀行の概念をも変えようとしている。例えば中国電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)傘下のアント・ファイナンシャルが運営する「アリペイ」は、毎日数十億ドル相当の決済を処理しているほか、顧客は余剰資金をマネー・マーケット・ファンド(MMF)に預けることが可能。顧客と中小企業向け融資も手掛けている。顧客は従来の銀行をほとんど必要としなくなっているのだ。

西側諸国では今のところ、銀行が資本や流動性、不正行為などの面で厳しい規制を課されている上、株主資本利益率(ROE)が低く株価も低迷しているため、ハイテク企業も参入に及び腰だ。

しかし今、規制当局は革新的な企業への参入障壁を取り除こうとしている。欧州連合(EU)は今年初め、顧客が承認した場合には金融機関同士にデータ共有を義務付ける指令を出した。米通貨監督庁(OCC)は昨年11月、事業会社による銀行子会社の保有を妨げていた障壁を取り除くと示唆している。

銀行は対策を練ろうとしている。一案は、金融機関がコスト削減やサービス向上のために事務処理技術を共有するなど、協力体制をつくることだ。一方で、大手ハイテクグループと組もうとする動きもある。スタンダード・チャータード(STAN.L)は昨年、アント・ファイナンシャルとの提携で趣意書を交わした。ただ、銀行側はハイテク企業に顧客との関係を奪われ、自らは事務処理をこなす公益事業と化してしまうリスクもある。

しかし銀行には身を守る手段がまだ1つ残っている。世間では、市場を支配する巨大ハイテク企業に対する反感が高まっており、これで金融サービスでも手を広げるとなれば、ますます人気を落とすのは間違いないからだ。

●背景となるニュース

*18日にロンドンで開いたロイターBREAKINGVIEWS予想討論会で、銀行幹部はフィンテック新興企業よりも巨大ハイテク企業の方が脅威だとの考えを示した。

*HSBC(HSBA.L)の英国・欧州事業責任者、アントニオ・シモイズ氏は「フィンテックよりビッグ・テックに脅威を感じる」と述べた。

*ウニクレディトのジャンピエール・ムスティエ最高経営責任者(CEO)は、アマゾンやアップルが独自で銀行サービスを立ち上げるとは思わないが、既存銀行と組むだろうと予想。「自己破壊、大いに良しだ。受け入れる必要がある」と述べた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

    0 : 0
    • narrow-browser-and-phone
    • medium-browser-and-portrait-tablet
    • landscape-tablet
    • medium-wide-browser
    • wide-browser-and-larger
    • medium-browser-and-landscape-tablet
    • medium-wide-browser-and-larger
    • above-phone
    • portrait-tablet-and-above
    • above-portrait-tablet
    • landscape-tablet-and-above
    • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
    • portrait-tablet-and-below
    • landscape-tablet-and-below