February 9, 2019 / 6:49 AM / 3 months ago

コラム:グロース氏引退、債券運用黄金時代への「挽歌」

[ニューヨーク 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - あのビル・グロース氏も、時の流れに屈しようとしている。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO、ピムコ)の共同創業者として、かつては2930億ドルもの資産運用に携わったグロース氏は、2014年からファンドマネジャーを務めていたジャナス・ヘンダーソンを退職する。74歳の同氏が第一線を退くのは当然と言えば当然だが、同時にこれは国債と資産管理手数料に対する「挽歌」とみなさざるを得ない。

 2月4日、PIMCOの共同創業者として、かつては2930億ドルもの資産運用に携わったビル・グロース氏(写真)は、2014年からファンドマネジャーを務めていたジャナス・ヘンダーソンを退職する。カリフォルニア州で2017年5月撮影(2019年 ロイター/Lucy Nicholson)

グロース氏はピムコ時代に同社を強力な債券の機関投資家に育て上げることに貢献。「債券王」の異名で知られ、運用規模を膨らませて目を見張るリターンと個人的な資産を築いた。ただ、その後運用成績およびグロース氏とピムコの関係は悪化し、ついに同氏が険悪な雰囲気の中で退社する事態になった。

もっとも同氏のキャリアを振り返ると、ほとんどの局面で正しい時期に正しい場所にいた。1980年代半ばからほんの数年前まで、債券利回りは着実に低下を続け、金融危機でさえその流れをほとんどかき乱していない。つまりこの間、債券価格は上昇していたわけで、どのファンドマネジャーにとっても追い風が吹いていた。

しかし状況は一変している。グロース氏がジャナスで運用していた「アンコンストレインド・ボンド・ファンド」は18年末時点で資産額が10億ドルを割り込み、約5年前の設立以来の1年当たりのリターンは、3カ月物LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の0.91%にすら及ばなくなった。相対的に手数料が低い「クラスIファンド」でも、年間リターンは0.38%にとどまる。

一方クラスIファンドの年間手数料は0.78%で、単純計算すればジャナスは投資家の2倍の金額を懐に入れたことになる。

だからこそ株式と同じように、債券でも投資家はコストの安いパッシブ運用方式のインデックス追随型ファンドに乗り換えつつある。米国の債券ミューチュアル・ファンドと上場投資信託(ETF)において、インデックス追随型が占める割合は1995年に5%弱だったのが、2017年には26%まで高まったことが、ボストン地区連銀の調査で分かっている。

ジャナスの説明によれば、グロース氏は今まで成し遂げてきたことを土台に十分豊かな生活を送っている。過去20年で慈善事業に8億ドルを寄付した上で、フォーブスの集計では15億ドルの純資産を保有しているからだ。退職後に運営する3億9000万ドル規模の家族の財団もある。これは素晴らしい業績だ。とはいえ、もはや投資家はどんなアクティブ運用方式のマネジャーに対してもそんな大盤振る舞いは二度としないだろう。

●背景となるニュース

・英資産運用会社ジャナス・ヘンダーソンは4日、ファンドマネジャーのビル・グロース氏が3月1日付で退職すると発表した。今後は個人資産や慈善団体の運営に専念する。グロース氏は2014年後半に同社に入った。

・74歳のグロース氏は1971年に共同でパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO、ピムコ)を設立し、マネジングディレクター兼最高投資責任者を務め、運用資産は一時2930億ドルに達した。

・グロース氏はピムコを去った後に同社を提訴したが、2017年に当時の報道で約8100万ドルでの和解に合意した。

・ジャナスの発表によると、グロース氏は過去20年で8億ドル余りを慈善団体に寄付している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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