June 21, 2019 / 10:54 AM / 3 months ago

コラム:日銀次の一手、CPI重視で予測可能 モメンタム判断を左右

[東京 21日 ロイター] - 日銀の金融政策の変化を判断するうえで、消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の動向を注視する局面が到来しようとしている。市場ではドル/円JPY=EBSが107円を割り込むような久々の円高地合いをみて、7月の追加緩和をはやす声も出ている。しかし、5月CPIは前年比0.8%上昇と、黒田東彦総裁の指摘する「モメンタムが損なわれる状況」とは言えない。果たしてCPI失速の可能性はあるのだろうか。

 6月21日、日銀の金融政策の変化を判断するうえで、消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の動向を注視する局面が到来しようとしている。都内の日銀本店で1月撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

総務省が21日に発表した5月全国コアCPIは、前年比0.8%上昇。4月の同0.9%上昇から0.1%ポイントの上昇幅圧縮となったが、食料品の値上げの影響があり、10連休後の反動低下となった宿泊料などの低下圧力を緩和した。

黒田総裁は20日の会見で「引き続き現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていく」と述べ、早期に追加緩和を検討するのではないか、との市場の思惑をけん制した。

追加緩和は「物価目標のメモンタムが損なわれれば、ちゅうちょなく」検討していくとも語った。

このモメンタムが損なわれるかどうかに関し、市場の一部では、円高が進行し、105円に接近すれば、企業と家計の心理を圧迫しかねないと日銀が判断し、7月の金融政策決定会合で追加緩和を検討するとの観測が出ている。

だが、コアCPIの上昇率が0.8%程度で推移している現状で「モメンタムが損なわれた」とは言えないのではないか。

コアCPIが0%後半で一進一退となった場合、「今年後半から世界経済の成長が加速するとのメインシナリオは変わっていない」(黒田総裁)との認識に立てば、いずれコアCPIも盛り返すとの見通しを維持し、モメンタム毀損との判断には至らないだろう。

ただ、6月以降のコアCPIの見通しに関しては、多くの民間調査機関が、上昇率鈍化を予想している。6月から携帯通信料の値下げが始まるほか、原油価格の下落効果がタイムラグを伴って表面化するため、夏以降にコアCPIを押し下げるとの予想が多い。

また、10月以降は幼児教育の無償化が実施され、一段とコアCPIに下方圧力があかかる。

米中貿易摩擦が解決せず、6月の米中首脳会談での決裂は回避できても、9月末に米国が3000億ドル規模の対中輸入に25%の関税を課す決定を下すリスクは、依然として残っている。

そのケースでは、需給バランスの悪化で、CPIに下押し圧力が強くかかっている可能性がある。

いずれにしても、コアCPIの上昇率がゼロ%後半から前半へと失速し、さらにゼロ%方向に低下していく動きをみせれば、モメンタム毀損と日銀が判断することになるだろう。

その意味で、コアCPIの動向と日銀の政策変更の連関性は、かなり高くなると指摘したい。

一方、イラン情勢が緊迫化した場合、軍事衝突の発生と原油高の連想が働いて、原油価格が急上昇すると、タイムラグを伴ってコアCPIを押し上げる要因として、意識される展開もある。

当面は、CPIとドル/円をにらみつつ、日銀の政策を推理していくということが、市場参加者に求められるのではないか。

●背景となるニュース

・日銀が金融政策維持 総裁、物価の勢い失速なら追加緩和「ちゅうちょなく」

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