for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:安達氏の日銀審議委員起用、物価議論の行方に注目

[東京 28日 ロイター] - 3月25日に任期満了となる原田泰・日銀審議委員の後任として、政府は安達誠司・丸三証券経済調査部長を衆参両院に提示した。大規模な金融緩和によって2%の物価目標達成を目指すいわゆる「リフレ派」の1人として知られ、同じくリフレ派の論客である原田氏から引き継ぐかたちになる。

1月28日、3月25日に任期満了となる原田泰・日銀審議委員の後任として、政府は安達誠司・丸三証券経済調査部長を衆参両院に提示した。日銀本店前で2017年9月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

前回1月21日の金融政策決定会合では、現行政策の維持を求めた議長提案に原田氏と同じくリフレ派の片岡剛士審議委員が反対して7対2の採決結果になったが、安達氏が国会で同意されれば、同じような「構図」になる可能性がありそうだ。

足元では、政府の経済対策の効果を見込んで成長率見通しが引き上げられる一方、物価見通しは小幅引き下げられ、堅調な景気と上がらない物価という現実が顕在化している。この現象の背後にどのようなメカニズムが働いているのか。安達氏が加わることで日銀にとって本質的な問題にどこまで切り込んでいくことができるのか。その結果次第では日銀に対するマーケットの見方も変わってくるかもしれない。

安達氏の経歴は下記の通りだが、リフレ派の論客としても知られている。日銀の金融政策が大胆な金融緩和政策に転換しようとしていた2013年3月には、岩田規久男・前日銀副総裁や浜田宏一氏、原田泰氏が編著者として名を連ねた「リフレが日本経済を復活させる」で、現日銀副総裁の若田部昌澄氏らとともに執筆者として持論を展開した。

複数の関係筋によると、政府内には原田氏と主張が似通っているマクロ経済に精通した人物が適当であるとの見解が広がり、安達氏に「白羽の矢」が立ったという。

また、リフレ派の論客のリーダー的存在であり、安倍晋三首相の信認が厚い岩田氏の助言が影響したのではないかとの思惑も、この人事に関連した情報に詳しい政府・与党内に出ていた。

安達氏の国会での所信聴取の結果を見ないと断定的なことは言えないが、これまでの主張に大きな変化がなければ、物価目標2%になかなか近づかない現実を捉え、追加緩和に積極的な姿勢を示す可能性もある。

一方、昨年10月からの消費増税後の経済情勢に警戒感を示す指摘もしており、積極的な財政支出をサポートする姿勢を打ち出すことも予想される。

日銀にとっては、経済情勢が好転しても、物価が上がらないという「現実」がある。1月21日に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、2020年度の成長率見通しを昨年10月時点の前年比0.7%増から同0.9%増に引き上げた。同時に消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の見通しは、同1.1%から1.0%に小幅ながら引き下げた。

どうして物価が上がりにくくなっているのか、安達氏が新たに加わることで、今までとは違った議論が展開され、新鮮な「化学反応」が起き、新しい知見が導き出されるきっかけとなるのかどうか──。

新型肺炎の収束が短期的に難しくなった場合、世界経済は予想を超える下押し圧力を受けかねない。その際に安達氏の加わった政策委員会が、活発な議論を展開し、説得力のある政策展開が行われることを期待したい。

<安達氏の略歴>

東京大学経済学部卒業。大和総研経済調査部、富士投信投資顧問、クレディ・スイスファーストボストン証券会社経済調査部、ドイツ証券経済調査部シニアエコノミストを経て丸三証券経済調査部長。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

編集:石田仁志

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up