June 22, 2016 / 7:16 AM / 3 years ago

コラム:投資家に朗報、遠のく英EU離脱とトランプ大統領

[21日 ロイター] - 今年は結局、何も起きなかった年として記憶されるかもしれない。英国は欧州連合(EU)から離脱しない可能性が一段と高まっているように見える。

 6月21日、今年は結局、何も起きなかった年として記憶されるかもしれない。英国はEUから離脱しない可能性が一段と高まっているように見える。写真はEU「残留」を訴える標識。ロンドンで16日撮影(2016年 ロイター/Stefan Wermuth)

米大統領選勝利に向けたドナルド・トランプ氏の喜歌劇も空回りし始めた。また、米連邦準備理事会(FRB)も利上げはできないと証明することになるかもしれない。

投資家は程度の差こそあれ、この3つ全てを喜んでいる。英国がEUにとどまることになるという確信が高まり、とりわけ世界中のリスク資産の上昇に寄与している。

これら全ては言うまでもなく、崩壊しそうなEU、金融政策の引き締め、ホワイトハウスのジョーカーに、下手をすれば、投資家が直面するかもしれないということ。とはいえ、最近の経過や一部の現実的な代替シナリオを考えるなら、現在の急反騰はあり得ることだろう。

英国のジョー・コックス議員殺害を受け、金融取引や投資、世論調査の動向は急変し、23日の国民投票でEU残留を選ぶ可能性が高まっていることが今では示されている。

EU離脱となれば、金融市場は非常に不安定化し、リスク資産も急落する可能性が高い。政治的亀裂が英国経済を損ねるだけでなく、EU自体のさらなる崩壊へと導き、反グローバル化の新たな潮流をも生み出しかねない。

米大統領選の共和党候補指名を確実にした不動産王トランプ氏も、世論調査で支持率が急落。20日には選挙対策責任者を解任している。先月24日には、対抗馬になるとみられる民主党のヒラリー・クリントン前国務長官と支持率が拮抗していたものの、政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」による世論調査の平均値では現在、トランプ氏は6ポイント遅れを取っている。

トランプ氏の政策は、それが本質的に政策と理解され得る限りにおいてだが、世界を貿易戦争へと導くものだ。米債務支払いの完全履行にためらいを見せている同氏はまた、米政界に突っ込む大砲の役割を果たしている。トランプ氏の台頭を好意的に見ている長期投資家はほとんどおらず、多くは同氏の後退を歓迎するだろう。

現在、トランプ氏の支持率下落が市場を動かしているわけではないかもしれないが、11月の大統領選本選で勝利するチャンスが十分あるとすれば、その結果起こるボラティリティーは恐ろしいものとなるだろう。

<袋小路のFRB>

過去1週間に起きた3つ目のリスクは、FRBによる利上げの可能性であった。FRBは先週開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置き、昨年12月に続き2回目となる利上げに近々踏み切るかもしれないとの期待は根拠がないことを示した。短期的な経済的逆風が続く可能性のみならず、海外からも新たな逆風にさらされる可能性を示した。

「事前に特定することはできない」と、利上げの時期についてイエレンFRB議長は先週このように語った。「長期的に金利がどこへ向かっているのかについて、われわれはかなり確信が持てない」

短期的に、金融市場は利上げがないことをかなり確信しており、7月の利上げ観測は11%、年末までは53%にすぎない。多くの投資家は、FRBが利上げを再開する前に金融緩和さえ余儀なくされるかもしれないとの確信を強めている。

確かに、英国がEUにとどまることを選択すれば、FRBの見通しにとって脅威が1つ減ることになる。だが、設備稼働率や、企業在庫や業績など数々の経済指標はどれも、景気悪化の予兆とも受け止められがちなシグナルを発している。このような劇的な展開は諸刃の剣である。なぜなら、今後も緩和的な金融状況の継続を約束するばかりか、FRBが手にしている手段の有用性が疑わしいという際立った警告となるからだ。

先週注目すべきは、ハト派的なFRBに対し、金融市場がいつものように好感しなかったことだ。金利は現在、わずか0.25─0.50ベーシスポイントであり、事態が悪化しても、FRBがこれ以上金利を引き下げる余地はほとんどない。マイナス金利の影響に対する政治的・経済的懸念もあるためなおさらだ。

そのため、もし2016年が「何も起きなかった年」になるのであれば、まずは金融市場が力強く回復し、それから長期にわたり下降する可能性がある。英国と米国における政変の一因となった世界的な経済停滞も依然として続いており、人々の不満の種であり続けている。

銃弾をよけることと安全でいることは、同じではないことを投資家は学ぶのかもしれない。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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