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コラム

コラム:投資の神様バフェット氏、お得意の危機対処術にほころび

[ニューヨーク 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - もし著名投資家ウォーレン・バフェット氏が株式を売ったり買ったりすれば、他の投資家に注目される。だから、カナダの産金大手バリック・ゴールドABX.TO株を5億6400万ドル弱で取得したことと、JPモルガン・チェースJPM.Nやウェルズ・ファーゴWFC.Nといった大手行の持ち株を削減したことを同氏の投資会社バークシャー・ハサウェイBRKa.Nが公表したとあれば、今回の景気下降局面をどう乗り切るかの教訓を引き出したい誘惑にかられるところだ。しかし、バフェット氏の危機対処術は、今回はうまくいかないかもしれない。

 もし著名投資家ウォーレン・バフェット氏(写真)が株式を売ったり買ったりすれば、他の投資家に注目される。だから、カナダの産金大手バリック・ゴールド株を5億6400万ドル弱で取得したことなどを同氏の投資会社バークシャー・ハサウェイが公表したとあれば、今回の景気下降局面をどう乗り切るかの教訓を引き出したい誘惑にかられるところだ。写真はオマハで2018年5月撮影(2020年 ロイター/Rick Wilking)

バフェット氏の景気下降局面の生き残り戦略は単純だ。現金を持て。割安な株価で質の高い企業を買え。そしてもし、短期的な値動きに基づくのでなく、ファンダメンタルズ的な変化が正当に説明されるなら、売れ――。だから、彼は今もそうしている。同氏は今年、デルタ航空DAL.Nなど航空株の持ち分をゼロにしたが、その理由は5月に同氏が説明したところによると「世界は既に変わった」ため。バンク・オブ・アメリカBAC.N株では20億ドル超相当を買い増したかもしれないが、ゴールドマン・サックスGS.Nや他の金融株は手放した。

総資産約7880億ドルのバークシャーからすれば、バリック株の購入分など微々たるものだ。しかし、全体的な「変化」には大きなものがある。

バフェット氏が最近語ったように、バークシャーは普通、保有分を縮小することはしない。つまり、今回のポートフォリオそれぞれの調整の陰に「オマハの賢人」たるバフェット氏の個人的な関与はないかもしれないが、それでもこうした動きはすべて、かなりの悲観的な見方を示唆する。だから金鉱株の購入はふさわしいのだ。金利が長期的に低い状態が続くならば金投資は利益を生むはずだからだ。

こうした動きは、世界金融危機時の2008年に、景気が持つ「回復力」を重視することで同氏が米国株式市場のチアリーダーになったのとは大違いだ。

ただ、バフェット氏からの有名な「株主への書簡」の歴史を見れば、浮かない悲観トーンは初めてではないことが分かる。1980年には、同氏は株式投資収益を破壊する「インフレ率12%の世界」を嘆いた。87年には膨大な米貿易赤字にいら立ちを示していた。2001年には、向こう10年間は株式投資には「あまり興奮しない」と記した。

バフェット氏が悲観的になる理由はもう一つある。おなじみの「景気下降局面での戦略」がもはや通用しないかもしれないのだ。確かにバークシャー株の年間上昇率は1965年から2019年にかけて、S&P総合500種指数の2倍だった。しかし、バークシャーの年間リターンは08年以降、S&P500を約1.5%ポイント下回っている。今年、主要な米株価指数は結局、過去最高値を更新しているが、バークシャー株は年初来で約9%下落だ。 

こうしたバークシャーの不調は、スナック菓子のクラフト・ハインツKHC.Oなどでの投資が悪いタイミングとぶつかったこともある。しかし、中央銀行の供給する流動性が市場におびただしく流れ込み、指数連動型ファンドには多額の投資資金が集まっている現実がある。

勢いに付いていくモメンタム型投資家が今や、財務内容重視のファンダメンタルズ型投資家にしばしば大勝ちしているし、そうした状況は近い将来も続きそうだ。賢人の知恵は今でも合理的かもしれない。ただ、市場の動きがもはや合理的でないのだ。

●背景となるニュース

*バークシャー・ハサウェイが14日に公表した規制当局への提出書類によると、6月30日までに米金融のウェルズ・ファーゴとJPモルガン・チェースの株式を一部売却し、ゴールドマン・サックスの保有全株を手放した。

*バークシャーは、カナダ産金大手バリック・ゴールドに5億6400万ドルを新規投資したことも公表した。翌営業日17日にバリック株価は11%急伸した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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