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コラム

コラム:中国債券相場、下げ続けばオフショア借り入れに影響

[香港 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国当局の規制強化を受けた中国債券相場の下げは、中国株にも波及している。債券市場への圧力が続けば、中国の巨額の外貨建て債務に影響が出る可能性がある。

 11月24日、中国当局の規制強化を受けた中国債券相場の下げは、中国株にも波及している。債券市場への圧力が続けば、中国の巨額の外貨建て債務に影響が出る可能性がある。上海の証券会社で2015年9月撮影(2017年 ロイター/China Daily)

習近平国家主席が金融リスク回避に向けて厳しい措置を講じるなか、債券市場の売り圧力は年初から高まっている。当局は、譲渡性預金を利用した短期借り入れなど、投機筋が使う手法の取り締まりを強化。規制強化に加えて金利先高観から、指標となる10年債の利回りは上昇を続けてきた。

さらに、投資家の懸念を強めているのは、15兆ドルに膨らんだ中国の資産運用業界を対象とした人民銀行のガイドラインだ。10年債利回りは23日、4%台にのせ、2014年以来の高水準を記録した。

中国株の大幅下落が全世界に連鎖した2015年以来、海外投資家は中国市場の動向に敏感になっている。債券市場は株式市場よりも重要だ。業績が低迷する企業や金融機関は、銀行融資の返済や理財商品償還に伴う資金調達で、短期債の発行にますます依存している。

同時に、低い借り入れコストを背景に、多くの中国企業はドル建ての借り入れを増やしている。トムソン・ロイターのデータによると、9月末時点で、中国企業によるドル・ユーロ・円建て債券の発行残高は、前年比24%増加し、1000億ドルを突破した。

企業は銀行からの借り入れも拡大。フィッチ・レーティングによると、外資銀行の中国へのエクスポージャーは2017年上期に13%増加し、1兆9000億ドルと過去最高を記録した。その大半は外貨建て。

中国債券相場の下落が本格的になり、国内金利が上昇すれば、借り手は外貨での借り入れを増やそうとする。ただ、借り手は、投資家を見つけるのに苦労するかもしれない。中国のドル建て債券の投資家の大半は中国国内の投資家だ。ストレスが続けば、弱い発行体は、どの通貨であれ借り入れが難しくなり、オフショアでのデフォルト(債務不履行)がまず始まるだろう。そうなれば、事態は2015年の時よりも深刻になる。

●背景となるニュース

*中国国債の利回りは年初から上昇基調に。11月に入ってからは、当局が企業の借り入れと資産運用業界を対象に規制強化を示唆したことから、利回りは急上昇。

*11月24日時点で、指標となる10年債利回りは4%を上回り、2014年以来の高水準。中国の政策銀行である国家開発銀行の10年債利回りも5%近くで推移している。

*中国株式市場は急反落し、CSI300指数は約1年半ぶりの大幅な下げとなった。

*中国人民銀行(中央銀行)は13─17日の週に大量資金供給を行い、年初からネットで資金供給に転じた。24日時点では、年初からネットで750億ドルの資金供給となる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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