Reuters logo
コラム:中国債券市場、次のハードルは
2017年7月4日 / 02:58 / 5ヶ月後

コラム:中国債券市場、次のハードルは

[香港 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の債券市場にとって、信用格付けの信用性が次のハードルとなりそうだ。「債券通(ボンドコネクト)」と呼ばれる、香港と中国本土間の債券相互取引が3日始まった。銀行や保険会社、資産運用担当者らは香港から直接、9兆ドル規模の本土市場へアクセスできるようになった。

 7月3日、中国の債券市場にとって、信用格付けの信用性が次のハードルとなりそうだ。写真は人民元紙幣。シンガポールで5月撮影(2017年 ロイター/Thomas White/Illustration)

アクセスが容易になることは歓迎されており、主要債券指数への中国債券の採用促進につながるとみられる。ただ、資金流入が即座に大幅増加するわけではない。

中国の債券市場はわずか5年で2倍の規模に拡大。米国と日本に次ぎ世界第3位となっているが、外国人投資家の参加は少ない。英スタンダード・チャータード銀行によると、オンショア公社債の海外保有高は3月末時点で8310億元(1230億ドル)と残高全体の1.5%に満たず、この比率は他の新興国市場を大幅に下回っている。

政府はこの状況を変えるため、取引や規制上の煩雑さ解消に努めている。たとえばボンドコネクトでは、他の一部スキームで義務化されている国内店舗の設置を求めないこととした。これにより、規模の小さいファンドにとっては費用削減が可能になる。取引額には上限を設定せず、主要指標であるJPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス─エマージング・マーケッツ(GBI─EM)に早急に採用される可能性が高まる。平安資産管理によると、主要指標へ組み入れられることで将来的に2500億ドル程度の資金流入が見込めるという。

だが、アクセスのしやすさが全てではない。海外勢が自由に営業できない本土市場の信用格付けは、信用性を欠いている。国内格付け機関である大公国際資信評価と中誠信国際信用評級は、国内債の約90%に「AA」以上を付与している。

このため、約3分の2を国債以外が占める中、投資家にとって特に社債の選別が難しくなっている。多くの海外投資家はその上、S&Pグローバル・レーティングスやムーディーズ・インベスターズ・サービスといった国際的格付機関からの格付けのない債券は購入できない。

政府は格付けサービスの完全開放を約束しており、7月半ばから信用調査と格付けサービスに対する外資の投資規制を解除する予定だ。政府はこれまで、本土のアナリストらに対し前向きな点に焦点を当てるよう指示しており、5月にムーディーズが中国の信用格付けを「Aa3」から「A1」に引き下げた際不満をあらわにしたこととも矛盾する。

とは言え、外資への開放は投資家の信頼感を大幅に底上げすることになろう。もしかするとボンドコネクトそのものよりも、債券市場への資金の呼び水として大きな役割を果たすかもしれない。

●背景となるニュース

*香港と中国本土の間の債券相互取引「債券通(ボンドコネクト)」が3日開始。まずは海外の投資家が中国本土の債券を売買する「ノースバウンド(北行き)」から始める。中国債券市場へのアクセスは銀行や保険会社、証券会社、投資ファンドなど海外機関投資家に限定される。取引額の上限はない。

*中国のオンショア債券市場は3月末時点で8310億元(1230億ドル)。国際決済銀行(BIS)のデータによると、国内債券市場の規模は2016年末時点で9兆2000億ドル。

*16年3月、JPモルガンは中国国債に関してGBI─EMへの組み入れに向けたレビューへ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below