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コラム

コラム:中国の低調な指標で世界に光明も 消費鈍化で油価下落

[オーランド(米フロリダ州) 17日 ロイター] - 中国は15日に発表した7月の主要経済指標が軒並み低調で、景気見通しが大幅に悪化した。しかし中国の景気減速で石油の消費が鈍るとの思惑から原油価格は下落し、米国や世界の金融市場に光明をもたらした。

 中国は15日に発表した7月の主要経済指標が軒並み低調で、景気見通しが大幅に悪化した。しかし中国の景気減速で石油の消費が鈍るとの思惑から原油価格は下落し、米国や世界の金融市場に光明をもたらした。写真は2016年11月、サンパウロのガソリンスタンドで撮影(2022年 ロイター/Paulo Whitaker)

世界最大の原油輸入国である中国の景気減速は原油価格を押し下げ、インフレ圧力が緩和、米連邦準備理事会(FRB)は利上げのペースを緩め、切望する経済の「軟着陸」を成し遂げる余地が広がる。

もちろん、米国をはじめ全世界が景気後退(リセッション)に陥るとの懸念を強めるような成長ショックが起こる可能性はある。リセッションになればリスク資産は苦戦を強いられるだろう。

しかし、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定と最近の原油高でインフレがピークを付けたとの見方が広がってから約2カ月、投資家は状況を楽観視しようとしている。

北海ブレント原油は15日、中国の低調な経済指標を受けて3%下落し、2月のロシアによるウクライナ侵攻前以来の安値を付け、この日の米株式市場は堅調だった。原油は16日にさらに3%下落し、S&P総合500種とダウ平均はいずれも4カ月ぶりの高値を付けた。

原油相場と米株式市場の逆相関は3月以降で最も強まっている。原油が下がるとS&P総合500は上昇する。

オールスプリング・グローバル・インベストメンツのシニア投資ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は投資ノートで、株式市場の上昇に伴ってクレジット市場も堅調に回復していると指摘した。

しかしジェイコブセン氏は、この状況はすぐに悪化に転じる恐れがあると警鐘を鳴らす。

「市場はどの時点で需要の破壊を反映するようになるだろうか。需要の破壊は株式市場の継続的な上昇にとって良い材料ではない」と述べた。

ジェイコブセン氏は1バレル=85ドルという原油価格の水準が重要なポイントになると考えている。価格がこの水準を割り込むと、原油とインフレ、需要、経済活動の関係が今ほど良好ではなくなる恐れがある。

ブレント価格は6月14日以降で約25%下落。これは米国が「インフレのピーク」に達したという見方の広がりと整合的だ。消費者物価指数や生産者物価指数、消費者のインフレ予想調査など、さまざまな経済指標が物価頭打ちの可能性を示唆している。

<ポジティブな供給ショック>

S&P500種は6月17日の安値から20%近く反発し、ボラティリティー・インデックス(VIX、恐怖指数)は4月以来初めて20を下回り、米高利回り債の信用スプレッドは175ベーシスポイント(bp)ほど縮小した。

ドイツ銀行のアラン・ラスキン氏は、「通常の時期」であれば、中国経済の急激な悪化は世界の経済活動に深刻な悪影響を及ぼすと指摘する。鉄鉱石、石炭、銅、アルミニウム、鉄鋼、ニッケル、豚肉などで中国は世界需要の40%強を占める。

しかし中国の景気減速はプラスの供給ショックに転じる可能性もある。中国の需要減退は商品価格低下とボトルネックの解消につながるからだ。すでに商品価格の軟化でインフレ圧力とインフレ予想が緩和している。

ラスキン氏は今週、「少なくとも当初はグローバルなリスクに対する総合的な影響はプラスになるだろう。世界の資産は、特に米国市場の反応を手掛かりに動くからだ。(中国の減速は)インフレがピークを付けたというテーマにぴったりと合致しているだけに、現在はリスクに及ぼすプラスの影響が強まっている」と分析した。

原油価格の下落、インフレ圧力の緩和、リスク資産の上昇という比較的穏やかな「ゴルディロックス(適温状態)」シナリオは、米国とイランの核合意の再建が成り、イラン産原油の輸出増加が可能になれば、さらに弾みが付くだろう。

もっとも、こうした主張やシナリオには堂々巡りの面もある。さらに原油価格が下がり、株価が上昇し、信用スプレッドが縮小すれば全体的な金融環境は確実に緩むだろう。これは正にFRBが避けようとしていることであり、パウエル議長やFRB当局者は金利をさらに引き上げる誘惑に駆られるかもしれない。

その時こそ「需要の破壊」への不安が投資家の考えを支配し始めるだろう。今後そういう状態に至るかもしれないが、今のところまだそうなっていないのは確かだ。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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