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コラム:中国ネット投資詐欺の「限られた教訓」
2016年2月4日 / 08:02 / 2年前

コラム:中国ネット投資詐欺の「限られた教訓」

[北京 3日 ロイターBREAKINGVIEWS] - 中国の投資家たちは、部分的ではあるが、モラルハザードについて厳しい教訓を学びつつある。資金の貸し手と借り手をインターネットで仲介するピアツーピア(P2P)金融会社「e租宝」の投資詐欺で、約100万人が計500億元(約8960億円)を失った。

 2月3日、中国の投資家たちは、部分的ではあるが、モラルハザードについて厳しい教訓を学びつつある。写真は人民元紙幣。北京で2010年9月撮影(2016年 ロイター/Petar Kujundzic)

中国最大のP2P金融会社による投資詐欺は、遅ればせながら、危険な投資について警鐘を鳴らすものだ。だが、銀行の危うい商品や株式市場に対して中国政府が行う支援とは、対照をなしている。

国営放送局にe租宝が広告を出しているということは、同社が政府の支援を受けていると、個人投資家は考えていた。しかし国営メディアの報道によれば、同社はねずみ講で、オンライン上で募集している資金集め計画の95%が詐欺だったという。その一方で、幹部らは収益を湯水のようにダイヤモンドやリムジン購入に使っていた。

つまり、2桁のリターンを提供するとしていたそれら理財商品に投資していた人たちに、お金が戻ってこない可能性が高い。昨年夏、雲南省のレアメタル取引所、泛亜有色金属交易所で400億元以上の損失を被った投資家らと同じ運命をたどることに恐らくなるだろう。

こうした大規模な詐欺は、危険な投資の危うさについて、痛みを伴うが必要な教訓を提供している。

業界サイト「網貸之家」によると、中国のP2P金融業者3800社の3分の1が問題を抱えている。だがそのような企業が倒産しても、中国政府にとっては何ら差し支えない。ムーディーズによれば、P2Pの融資残高は同国の銀行資産の1%にも満たない。

しかしながら、こうした厳しい教訓は他の投資には当てはまらない。銀行が提供する理財商品は人気で、2015年上半期には18.4兆元まで拡大した。ムーディーズによれば、これは銀行預金の15.5%に相当する。大半はリスクコントロールの甘い小規模な地方銀行によって販売されている。

このような商品は、通常の銀行預金のように政府によって保護されていない。だがその違いを理解している顧客はほとんどいないように思われる。ただし最悪の事態となっても、投資家が痛手を負うことはまれだ。2012年に華夏銀行の販売する理財商品に不正があったと判明したとき、投資家には信用保証会社による補償があった。

同じようなロジックは昨夏の株式市場の混乱でも働いた。株価が急落したとき、当局は下支えすべく対策を講じ、企業に対しては保有株を売却しないよう求めるなどした。

残念なのは、中国の投資家は、いまだに、モラルハザードについて明らかに矛盾したメッセージを受け取っているということだ。

●背景となるニュース

*中国最大のP2P金融会社「e租宝」の投資詐欺にからみ、関連会社の会長など21人が逮捕されたと、新華社が1日報じた。逮捕者にはe租宝が2014年7月に設立した鈺誠集団の丁寧・会長らが含まれるもよう。

*中国では2兆6000億ドル規模といわれる富裕層向け商品市場が急速に拡大。多くの商品はオンラインや非公式の取引所など、十分規制されていないチャネルを通じて販売されている。

*中国銀行業監督管理委員会(CBRC)は昨年12月、インターネット金融企業に対する新たな規制案を公表。ネット金融企業は、投資家から出資金を預かったり、不法に資金を調達したりすることのほか、公益を害する行為も禁じられる。素案には、金融プログラムが持つリスクを隠したり、商品を売るために曖昧な文言を使ったり、詐欺的な手法を使うことなど、12の禁止項目が列記されている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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