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コラム:中国に対するトランプ氏の「報復」が生む好機
April 6, 2017 / 9:15 AM / 8 months ago

コラム:中国に対するトランプ氏の「報復」が生む好機

Pete Sweeney

 4月5日、トランプ大統領(写真)は、「非常に困難」だと大統領自身が認める会談に向けて準備を進めている。ワシントンで3日撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

[香港 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ大統領は、「非常に困難」だと大統領自身が認める会談に向けて準備を進めている。中国の習近平国家主席は6─7日、米フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘を訪れるが、米政権内の強硬派は、対中貿易赤字を減らすべく懲罰的措置を求めている。

貿易戦争となれば破滅をもたらしかねない。だが、愚行と何も手を打たないことのはざまには、外国企業への長年にわたる規制に対して報復する余地がある。そうなれば、中国で活動する米企業のみならず、窮地に立たされている中国の改革派にも歓迎されるだろう。

中国共産党は秋の党大会で指導部を刷新する予定だが、米中首脳会談について、一部の米外交官は圧力をかける絶好のチャンスと捉えている。中国の経済リベラル派から見ても、会談は建設的になり得る。彼らは長い間、金融サービスやテクノロジー、エンターテインメントなどの分野において外資参入の強化を推進してきたからだ。

中国の指導者層は米国のお化けを引き合いに出して、怖がらせることで改革を進めてきた。1990年代、当時の朱鎔基首相は、中国の世界貿易機関(WTO)加盟に関連した米国の要求を、国有企業改革の口実として利用した。

最近では、人民元が国際通貨基金(IMF)特別引き出し権(SDR)の通貨バスケットに採用されるとの見通しが、経済保守派に対し、為替と金利の管理を緩め、債券市場を開放するための説得材料となった。

とはいえ、中国が約束したにもかかわらず、世界第2位の経済大国の大部分において、外国人投資家は排除されたままである。同国では依然として国有企業が優位に立っており、過去2年間、政府による投資が経済を軌道に乗せてきた。

中国消費の「奇跡」を伝える話はいろいろあるが、世界銀行のデータによると、同国の家計消費は2015年、国内総生産(GDP)のわずか37%を占めるにすぎない。一方の米国は68%である。

何十年もの間、このようなゆがみに外国企業は寛容だった。改革の勢いに自信があったし、収益も伸びていたためだ。しかし現在、中国にいる米国企業の経営者たちは悲観的な見方を強めている。

在中国の米国商工会議所が1月に発表した調査によると、投資先としての中国の魅力は2012年以降、年々低下し続けている。また、ロジウム・グループのデータは、同期間中に米国が行った対中直接投資の価値が低下していることを示している。

その一方で、中国政府による保護は強化されている。

2025年までに国内の先進製造業の成長を促進し、付加価値の低い製造業からシフトを図る包括的な計画「中国製造(メード・イン・チャイナ) 2025」では、国内の外国ブランドを締め出し、国の支援を全面的に受けたバリューチェーンを強化することによって海外での競争力も高めることを提唱している。暴露系のメディアでは、ケンタッキーフライドチキン(KFC)やスターバックスのような外国企業を攻撃するキャンペーンも行われている。

<これぞ投資>

それ故、米国政府の仕事人間たちは一連の政策手段を打ち出している。1つの選択肢は、経済安全保障を検討するため、対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を拡大することだ。CFIUSはもともと、機密の技術取得を防ぐために設立された。

もう1つの選択肢は、中国の産業政策によって損害を被った米産業界を代表して、米国政府が通商ルールに基づいて申し立てを積極的に行うことだ。

だが現在はやっている言葉は「相互主義」である。これは、中国の差別的な政策を自国企業に向かわせることによる完全報復へと道を開くことになるだろう。議員たちは、米国企業が中国で現在締め出されている業界に中国企業が投資するのを阻止するかもしれない。本土企業に現地で合弁事業を設立することを義務づけたり、主要テクノロジーの譲渡を求める可能性がある。

極端なことを言えば、米国は中国のオンラインサービスに対し、独自のネット規制を立ち上げることも可能だ。このようなシナリオにおいては、大連万達集団(ワンダ・グループ)の米映画館運営大手AMCエンターテインメント・ホールディングス買収のような企業買収も阻止できる。あるいは、買い戻すこともあり得るだろう。

理論的には、こうした手法が与える脅威は、中国に門戸を開放させ、米国のように行動させるには十分だろう。その一方で、最終的に米国が中国のようになってしまうリスクもある。

たとえそうだとしても、相互主義への選択的アプローチによって、中国の国民を苦しめることなく同国からより良い政策を引き出せるかもしれない。例えば、中国企業からの投資が阻まれても、米中どちらかの経済成長が必ずしも落ち込むわけではない。完全雇用に近づき、株式市場も記録的高水準にある米国は、中国のキャッシュにあまり飢えてはいない。

一方、中国は米国による投資を今なお必要としている。エンライト・スコット・アンド・アソシエーツの調査によれば、中国GDPの35%近くが、そして雇用の4分の1以上が、外国企業かその関連企業で占められている。そのような投資の大半は、とりわけハイテク業種においては米国企業で占められている。

残念なことに、トランプ大統領の照準は間違った方向に合わせられている。米国の対中投資よりも、自国に資本と雇用を取り戻すことを心配している。大統領はまた、米国で販売される中国製品のコスト増を求めている。このような考え方は、中国市民の多くから仕事を奪いかねない。UBSのアナリストによると、中国輸出企業の雇用者数は4000万人に上る。

中国の交渉担当者たちは、自称「取引の達人」であるトランプ大統領との実りある議論を楽しみにしている。もし米国大統領が、米国での貿易障壁を設けることより、中国での投資障壁を減らすことに重点を置くなら、中国政府内で鳴りを潜めている同調者に活力を与えることになるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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