April 8, 2015 / 6:42 AM / 4 years ago

コラム:米国に「アジア戦略再考」迫る中国軍の近代化

[7日 ロイター] - 中国人民解放軍(PLA)は、膨張する国防費と国家の軍備増強方針によって急速に近代化している。ただ、世界最強の米軍と真正面から対峙するのは、汚職問題などで弱点を抱えるPLAにとって、まだあまりに野心的に過ぎる。

 4月7日、中国の狙いは、米国がアジアの問題に首を突っ込むのを避けたくなるぐらいに中国人民解放軍(PLA)を強くすることにある。写真は避難支援のためイエメンに向かうPLAの艦船。浙江省で3日撮影(2015年 ロイター)

中国の狙いは、米国がアジアの問題に首を突っ込むのを避けたくなるぐらいにPLAを強くすることにある。

オバマ政権が掲げるアジア重視戦略。中国は、米国による中国封じ込め戦略だという疑念を持っている。米国はベトナムやカンボジアとの軍事交流を増やし、フィリピンとは新たな軍事協定を結んだが、こうした動きは、中国を東南アジアから追い出そうとする動きだと受け止められている。

中国は軍事力の誇示で2面的にアプローチしている。つまり、自国の基地から安全に米軍をたたく方法を開発すると同時に、PLAや海上民兵を使って周辺諸国に圧力を与えているのだ。

鍵となるのは射撃能力だ。中国は本土基地に配備した巡航ミサイルを台湾に対する圧力として長く使ってきたが、今では、本州から沖縄まで日本の米軍基地23カ所すべてを射程に収める巡航ミサイルや弾道ミサイルを手にしている。これらのミサイルは海軍基地や航空機からの発射も可能であるため、グアムなどの米軍基地も危ない。中国はさらに、米国の艦船にとっても脅威となり得る地上配備型弾道ミサイルの開発も始めている。

また中国はPLAや海警局の船を使い、日本やベトナム、フィリピンなどの周辺国に圧力をかけている。台湾とフィリピンの間のバシー海峡上空では今年3月、初めて中国空軍が演習を実施した。中国がフィリピンと領有権を争う南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺では、海警局の船がフィリピン漁船と衝突している。

中国は米国に対し、日本からフィリピンを通ってインドネシアに至る防衛線(第1・第2列島線)を死守するともに、アジアで自分たちの主張を譲らない構えを明確に示している。

こうした中国側の動きに対する米国の反応は、まだら模様となっている。中国が東シナ海上空に設定した防空識別圏(ADIZ)には、B52戦略爆撃機2機を飛ばすなど当初は強い姿勢を見せた。しかしその後、ADIZ設定は容認しない方針を維持しつつも、自国の民間航空会社に対しては、東シナ海上空の飛行計画を中国当局に提出するよう勧告した。

米太平洋艦隊の情報戦部門を統括するジェームズ・ファネル大佐は昨年2月、中国が日本との「電撃戦」を想定した訓練を行っていると発言した。しかし、オディエルノ陸軍参謀総長を含む複数の米高官は、そうした見方を即座に否定した。

また、オバマ大統領は、尖閣諸島(中国名:釣魚島)は日米安全保障条約の適用対象だと明言しているが、フィリピンが主張する領有権については、ここまで踏み込んだ発言は控えている。

こうした米国の一貫性のない姿勢が、米国の全面的な支援を本当に得られるのかどうか、アジア地域の同盟国に不安を抱かせるようになっている。

一方、西太平洋での中国軍の動きは米中関係をかき乱しているが、世界の他の場所では、少なくとも中国が自国の中核的利益とみなしていない地域では、PLAの活動は彼らが信頼できる価値あるパートナーにもなり得ることを示している。

中国は、国連平和維持活動では主要部隊の一員としてこれまで長く貢献しており、こうした活動での重要な資金提供者としての役割も高まっている。東アフリカ沖の海賊対策にも積極的に参加している。

また中国海軍は今月に入り、サウジアラビアなどの湾岸諸国が武装組織を攻撃しているイエメンから自国民や外国人を避難させた。PLAの艦艇が外国人の避難を支援したのは今回が初めてとなる。

米国は、太平洋での戦略を見極める必要がある。中国は、米国には直接関係のない二国間問題に米国が顔を出すのは受け入れないだろう。PLAの戦力強化は、軍事的優位性を背景にアジアで影響を与えられると誤解する米国への警鐘と受けとめるべきだ。

太平洋の両側に大国があるのは、今や誰の目にも明らかだ。日本やフィリピンとの領有権問題など、アジアでの火種に米国が介入するのを防げるという自信を深めれば、中国はさらに主張を強めていくだろう。米海軍は中国をけん制できる十分な強さを保ってきたが、PLAの近代化に伴い、もはやこれは当てはまらないようになっている。

米国のアジア重視戦略は、軍事面と同じぐらい、外交面にもフォーカスが当てられるべきだろう。

*筆者は、元米空軍将校で外交にも携わっていた。米空軍士官学校では哲学教授を5年間務め、2009─2011年には米太平洋特殊作戦軍(SOCPAC)の上級政務官だった。軍を退役後は、米海軍大学院で中国政策に関する助言も行っている。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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