April 25, 2016 / 5:46 AM / 2 years ago

コラム:気候変動が生む「世紀の投資機会」

[ニューヨーク 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 気候変動が生み出しているのは世紀の投資機会だ。温暖化ガス排出量の削減など環境維持開発の実行は数十兆ドル規模のコストを伴うが、こうした取り組みには成長と雇用を促進し、投資家が切望するような資産を新たに創出するという面もある。ただ、そのためには各国政府が約束通り温暖化対策を進める必要がある。

 4月22日、気候変動が生み出しているのは世紀の投資機会だ。写真は「アースデイ」で手形を付ける少女。フィリピンの首都マニラで撮影(2016年 ロイター/Erik De Castro)

22日の「アースデイ」には国連で150カ国以上の代表が、産業革命前からの世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えることを目指す「パリ協定」に署名した。

気候変動がもたらす経済面の負担は大きい。バークレイズの試算によると、パリ協定の目標を達成すると石油・ガス会社の資産約33兆ドルが利用できなくなる。またロンドン大経済政治学院(LSE)によると、地球温暖化がこのまま進むと金融資産に最初の時点で2兆5000億ドルの損失が発生し、今世紀末に損失規模はこの10倍に膨らむ恐れがあるという。

こうした分析は問題の特定に役立つ。しかし気候変動に警鐘を鳴らす人々は、そこから生まれる大規模な経済・金融面のチャンスから目をそらしている。国際エネルギー機関(IEA)によると、エネルギー効率を高め、温暖化ガス排出量を抑える技術を開発してパリ協定の目標を達成するには2030年までに13兆5000億ドルが必要になる。これはエネルギーセクターの投資総額の約40%に相当する。

水道網の改善や持続可能な農業などの分野は必要度が高まり、プロジェクト件数も増え続けている。インフラ設備のザイラム(XYL.N)によると、非効率的な水道インフラの二酸化炭素(CO2)の発生量を半減するのは多くの場合利益が上がる案件であり、債券発行の機会になりそうだ。

また代替エネルギー施設の建設はプライベートエクイティ(PE)にとって比較的単純な案件だろう。

大規模プロジェクトにはいくつかの共通点がある。長期資金を調達し、実物資産が融資の担保に設定され、金利がかなり高くなる、などの項目がそれだ。プロジェクトの多くは、大きなリスクを伴わず、金融工学に依存することなく、長期にわたり妥当なリターンを提供することが可能だ。利回りを追い求める年金基金や保険ファンドにとって、正にうってつけの投資対象と言える。

モルガン・スタンレー(MS.N)が2014年に保有する米資産の6%に相当する6兆6000億ドルを環境維持開発に振り向けるなど、少なくとも数字の上では既にこの分野へは大量の投資資金が用意されている。

一方で伝統的な範ちゅうに属さない潜在的な投資機会も数多く存在する。早期の段階で資金調達が求められる新技術や、新興国におけるリスクの高いプロジェクトなどだ。これらの案件が抱える資金不足問題の一部は、代替的な調達手段が穴埋め役を担っている。ビル・ゲイツ氏が率いる富豪チームは、始まったばかりのエネルギーの技術革新に対する柔軟で忍耐強い出資を行うことを約束した。ゴールドマン・サックス(GS.N)出身のマーク・ターセク氏が運営する非営利機関は、地球環境を改善しながら同時に一定の利回りを提供する水資源、森林、海洋、農業関連のディール実現を手助けしている。

ただしゲイツ氏が認めるように、化石燃料消費を徹底的に削減しない限り、技術革新は少しも進ちょくしない。その面では各国政府が目指す法制化の取り組みが役立つだろうが、実際には抵抗に直面している。

オバマ米大統領は石炭火力発電所の規制を提案したが、24州で訴訟を起こされ、米最高裁は2月、規制導入を停止した。また各国政府はこれまで、温暖化阻止に約束通り資金を投入していない。パリ協定では途上国の気候変動への取り組みを支援するため年1000億ドルを拠出することになっているが、先進国は既に2009年に同じような内容に合意したのに、経済協力開発機構(OECD)によると、14年までの拠出額は620億ドルにとどまった。

企業は温暖化防止の必要性を、投資家の圧力で自覚する場合もある。21日にはアングロ・アメリカン(AAL.L)が、気候変動関連のリスクに関する情報開示強化を求めた株主決議を受け入れた新たな石油・ガス企業の仲間入りを果たした。

もっとも環境維持開発の動きが広がっていることで、世界の資金運用担当者には、もっと実入りの良い役割が割り振られている。

●背景となるニュース

*22日に地球環境を考えるイベント「アースデイ」が開かれた。このイベントは1970年から毎年開催されており、地球の環境をたたえ、汚染への意識を高めることを狙いとしている。

*今年は22日に国連が、昨年12月にパリで開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された「パリ協定」の署名式を開き、世界150カ国以上の代表が集まった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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