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コラム:女性大統領への道阻むか、クリントン氏「最大の弱点」
June 10, 2016 / 3:32 AM / 2 years ago

コラム:女性大統領への道阻むか、クリントン氏「最大の弱点」

AMIR HANDJANI

 6月8日、米大統領選で、民主党内のし烈な指名争いをクリントン前国務長官(写真)と繰り広げてきたサンダース上院議員は、大統領選の本選におけるクリントン氏の最大の弱点の1つを露呈した。カリフォルニア州で2日撮影(2016年 ロイター/Mike Blake)

[8日 ロイター] - ヒラリー・クリントン前国務長官は今週、米大統領選の民主党候補指名に必要な代議員数を確保し、事実上、主要政党で史上初めての女性大統領候補となった。

党内でし烈な指名争いを繰り広げてきた自称「社会主義者」のバーニー・サンダース上院議員をようやく振り切ることができたのだ。

自由貿易や中東政策、またテロとの戦いで無制限に軍事作戦を実行できる執行権の範囲について、サンダース氏はこれまでの民主党の方針に異を唱えてきた。そのなかで同氏は、大統領選の本選におけるクリントン氏の最大の弱点の1つを露呈した。それは、外交問題に対する判断力だ。

クリントン氏が軍事面でタカ派の立場をとってきたことは周知の事実だ。上院議員時代はイラク戦争に賛成票を投じている。また国務長官として、リビア介入を強く求めたほか、シリアのアサド政権に対しては軍事行動をとるようオバマ大統領に働きかけた。

イランとの核合意には気乗りせず、イスラエルに関しては、3月にアメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)に対して主要政策に関するスピーチを行った際には、パレスチナ人の苦境に触れることさえしなかった。ユダヤ系移民の息子であるサンダース氏はこの点を、のちにニューヨーク市で行われた討論会で強調している。

進歩主義者や無党派層、リベラルな民主主義者で構成される大量のサンダース票を取り込むことは、クリントン氏が、共和党の候補指名獲得が確実視されている不動産王ドナルド・トランプ氏に勝つためのカギとなる。

クリントン氏がこうした重要な有権者による支持を確実にするには、これまでとは異なり、オバマ大統領の例に倣い、頭の痛い外交問題に軍事的解決を求めない意志を示して、彼らを安心させなくてはならない。

確かに、クリントン氏のタカ派的センスは、外交政策専門家たちの主流でもある。しかしこの大統領選の年においては、同氏は2つの問題に直面している。

1つ目は、過去2度の国政選挙において、民主党陣営が、対立や単独行動主義というよりは交渉や協調とおおまかに定義されるようなオバマ大統領の外交政策における信条を受け入れてきたことだ。世界における米国の役割について、サンダース氏も同様の見方を打ち出していた。

2つ目の問題は、大統領選の本選でクリントン氏の対抗馬となるトランプ氏が、米国は同盟諸国のために安全保障を提供する重荷を背負い過ぎているが、十分な商業的利益を受けていないというメッセージを一貫して送り続けていることだ。

こうした主張は、中東で終わりの見えない軍事作戦によって米国人の血や富が絶え間なく流れているとの見方を強める共和党で勢いを増している。それ故、米国の利益を促進する手段としてハードパワーに頼るクリントン氏のやり方は、今年の選挙年においては支持されにくいだろう。有権者は軍事的冒険主義よりも、縮小を求めているように思える。

軍事活動を抑制するというオバマ大統領の外交政策を受け入れるというよりもむしろ、クリントン氏は先週行ったスピーチのなかで、シリアに飛行禁止区域を設定することで事態の打開を図る考えを示唆している。オバマ政権は、シリア内戦での米国の関与が深まり、アサド政権の主要支援国であるロシアやイランとの緊張が高まるリスクを恐れて、飛行禁止区域の設定を除外していた。

さらにクリントン氏は、イスラエルのネタニヤフ首相と「壊せない絆」を再確認すると明言している。イスラエルの安全保障への忠誠は、あらゆる大統領選で中心となる問題だが、クリントン氏は、オバマ大統領を度々困らせ、大統領の主な外交功績であるイラン核合意を妨害しようとし、パレスチナとの和平プロセスにおいて口先だけの同意を示すイスラエル首相を受け入れると公言しているのだ。

そのような立場では、クリントン氏はサンダース氏の支持者から賛同を得られまい。サンダース支持者はオバマ大統領と同様、イスラエルの安全保障を重視しているだけでなく、同国による占領や拡大を続ける入植が、中東における米国の安全保障上の利益やパレスチナ人社会に与える耐えがたい苦痛も認識している。彼らは米国がより公平な役割を担うのを見たいのだ。これまでのところクリントン氏は、和平を一段と困難にさせるようなイスラエルの強硬姿勢を強める政策に立ち向かう姿勢を全く示していない。

クリントン氏がトランプ氏を打倒するためには、軍事力と介入が平和と繁栄のカギとする理論に基づく米外交政策の現状に戻ってはいけない。それは介入する側、される側の双方にもたらすものはほとんど何もない。中東で米軍が軍事活動に従事していた20年以上の間、戦闘と不安定性は減るどころか増加した。

オバマ大統領の評価できるところは、異なる進路を示したことだ。宿敵であったイランとの交渉にこだわったことで、画期的な核合意に至ることができた。ジョージ・W・ブッシュ政権下ではあり得ないことだったろう。

クリントン氏も同様に、自制心を働かせることができると示す必要がある。また、米国が有する力の有効性だけでなく、その限界も理解していることを示さなければならない。そうした考えは、サンダース氏とオバマ大統領の支持者の持つ世界観の根本原理を形成している。

*筆者はトルーマン国家安全保障プロジェクトのフェローであり、米シンクタンク、アトランティック・カウンシルのボードメンバーを務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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