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コラム

コラム:民間機をミサイル攻撃から守る方法

[18日 ロイター] - ウクライナ東部の戦闘地域で墜落したマレーシア航空17便は、長距離地対空ミサイルで撃墜されたとの見方が強い。当コラム執筆時点では、誰がミサイルを発射したのかは分かっていない。誰が罪を負うべきかはともかく、そもそも、ソフトウエアで動く現代型の武器が民間航空機を撃墜するのは避けられないのだろうか。

 7月18日、ウクライナ東部ドネツクでマレーシア航空17便を墜落したミサイルを誰が発射したのかは分かっていないが、そもそもソフトウエアで動く現代型の武器が民間航空機を撃墜するのは避けられないのだろうか。17日撮影(2014年 ロイター/Maxim Zmeyev)

民間航空機はすべて、位置情報を知らせるためのトランスポンダ信号を発している。そして多くの場合、軍用機では使われないモードCの信号を使っている。

一方、マレーシア航空機撃墜で使われたとみられるミサイルや、1988年に米巡洋艦がイラン航空655便を誤って撃墜(290人が死亡)したミサイルなど、レーダー誘導式の長距離対空ミサイルは、ターゲットがどんな信号を発しているかは感知しない。こうしたミサイルはレーダーで攻撃対象をロックオンすれば、後はそこに向かって容赦なく突き進むだけだ。

しかしそれは、長距離対空ミサイルの設計方法としては時代遅れだ。ソフト面とハード面の改良を通じたミサイルの情報処理能力向上を考えれば、民間機識別信号を発しているターゲットをロックオンしないように、もしくは攻撃しないようにできない理由はない。長距離地対空ミサイルを製造もしくは配備するすべての国に対し、国際協定を通じてこうした対策を義務付けることはできるはずだ。

もちろん、検証が課題になるだろう。しかし、核兵器削減合意での検証や、化学兵器や地雷に関する多国間合意での検証は、まずまずの成果を生んでいる。高度な長距離地対空ミサイルを製造もしくは配備している国はそう多くない。民間機撃墜を回避する地対空ミサイルのプログラムで各国の合意を取り付けるのは、十分に実行可能な目標だ。

確かに、意図的な不正行為の懸念は残る。ただ、世界の軍隊はこれまで、完全とは言えないまでも、赤十字や赤新月社の旗を掲げた車両や船舶は攻撃しないよう対応してきた。戦闘車両や戦艦がそうした旗を掲げるケースもめったになかった。ウクライナの親ロシア派のような武装組織もしくは軍隊が、軍用機から民間機識別信号を発し、偽装を謀らないとも限らないが、これが通用するのも一度だけだろう。

イラン航空655便撃墜事件では、米巡洋艦の乗組員は、レーダースクリーン上で自分たちに接近する機影を確認し、恐ろしいミスを犯した。マレーシア航空機を撃墜したとみられるミサイルを発射したのが誰であれ、彼らもレーダー上で自分たちに真っ直ぐに飛んでくる機体を見たのだろう。繰り返しになるが、現在の長距離対空ミサイルは、自分たちが何に向かって飛んでいるかを感知するようにはプログラムされておらず、レーダーがとらえた点に向かって進むだけだ。

これは変える必要がある。電子機器の改良により、長距離対空ミサイルがトランスポンダ信号を発する航空機を撃墜しないようプログラムすることは可能だろう。世界の空にはかつてないほど多くの民間機が飛んでおり、ミサイルから守る必要は日々増している。

防衛機器メーカー各社は最新型の「スマート兵器」を競い合っている。将来的には、ソフトに搭載されたGPS情報を基に、病院や難民収容所は攻撃しない精密誘導兵器も登場するだろう。学校などには砲撃しないスマート戦車も技術的には想像できる。

ただ当座は、民間機識別信号を発する航空機を追尾しない対空ミサイル開発での国際的な合意が、踏み出すべき最初の一歩となる。航空業界の大半は、放送型自動従属監視(ADS─B)と呼ばれる自動衝突回避システムを使用する方向に動いている。長距離ミサイルも同システムを「教えてもらう」必要がある。

有視界外ミサイルの時代となって以降、多くの民間ジェット機が誤って撃墜されてきた。米国とロシアは、こうした悲劇が2度と繰り返されないよう、国際的なイニシアチブを共同で構築すべきだ。

*筆者は、アトランティック誌やワシントン・マンスリー誌の寄稿編集者。以前はブルッキングス研究所の客員研究員やフルブライトの特別研究員を務めていた。著書に「The King of Sports(原題)」や「The Leading Indicators(原題)」などがある。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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