April 23, 2019 / 6:17 AM / 3 months ago

コラム:イラン原油全面禁輸に出た米国、勝敗決める他国の持ち札

[ローンセストン(オーストラリア) 23日 ロイター] - トランプ米大統領は、イラン産原油禁輸の猶予措置を撤廃すると発表し、自分の持ち札を出して見せた。しかしイランに勝てるかどうかを決めるのは、このゲームに参加する他の国々が持っている札だ。

 4月23日、トランプ米大統領は、イラン産原油禁輸の猶予措置を撤廃すると発表し、自分の持ち札を出して見せた。シンガポール沖で2012年撮影(2019年 ロイター/Tim Chong)

米政府は、禁輸対象から中国やインドなど8カ国・地域を除外した措置を、5月以降更新しないと決め、イランの核政策への圧力を明確に高めた。

しかし多くの関係国が米国に従わない限り、トランプ氏はイランに最大限の圧力を行使することができない。

最初に注目されるのは、中国を筆頭とするイラン産原油輸入国の反応だ。

リフィニティブが集計したデータによると、中国の4月のイラン産原油輸入量は平均日量75万バレル前後となる見通し。これはイラン産原油の総輸出量の約半分に当たる。

中国が輸入量を2月の同50万バレル、3月の60万バレルより増やしたのは、5月以降輸入できなくなる可能性に備え、在庫を積み増しているからかもしれないし、あるいは米国の制裁に従わない心積もりだというサインかもしれない。

中国は禁輸措置の順守を、米国との貿易協議のカードに使う可能性も大いにあり得る。イランからの原油輸入の全面停止に応じるなら、米国に他の分野で譲歩を要求すると予想してもおかしくないだろう。

イラン産原油の輸入量で中国に次ぐインドにも、同様のことが言えるかもしれない。インドの4月の輸入量は平均日量29万バレルになると予想されている。

インドも米国と貿易を巡る緊張関係にあるため、禁輸順守の見返りを求めそうだ。

次に重要なのは、サウジアラビアその他の中東産油国の反応だ。

トランプ氏は、サウジが良き同盟国として、おそらく他の中東産油国の力も借りてイラン産原油の欠如分を補ってくれると期待しているだろう。

リフィニティブのデータによると、イランの4月の輸出量は日量150万バレル前後となる見通し。米国が昨年11月に対イラン制裁を再開する前の同230万─250万バレルに比べると、既に大幅に減少している。

サウジがイランの分を補う可能性は十分あるが、どの程度市場への供給量を増やすかについては、しっかり見極めていくことになるだろう。

サウジとしては、トランプ氏をなだめるのに十分で、アジアなどの製油企業に供給が行きわたり、かつ価格の大幅下落を招かない量が望ましい。

中国とインド、その他の小規模なイラン産原油輸入国がトランプ政権に協力し、サウジとその同盟国が増産に応じるなら、米政府はゲームの勝者になるのかもしれない。

しかし、イランがまだ持ち札をすべて見せていないのを忘れてはならない。

<イランの切り札>

米政府は、新たな核合意に向けた交渉に応じる姿勢を見せてリップサービスをしているが、政権内タカ派の真の狙いはイランを窮乏化させ、体制転覆を図ることのように見受けられる。

イラン指導部が制裁に甘んじるとは考えにくい。自暴自棄になった指導部は、重要な石油輸送ルートであるホルムズ海峡の封鎖や、代理を通じた米国やその同盟国でのテロなど、伝統的な敵対行為に出るかもしれない。

最も可能性が低いのは、イランがおとなしく米国の条件を飲んで新たな合意に応じることではないか。現体制は維持できるかもしれないが、屈辱的だ。

イラン産原油が市場から消えても、世界的に石油の供給が需要を満たせる公算は大きいが、製油所が求める原油の種類に供給がマッチしない可能性はある。

アジアの製油企業の多くは重質原油を好むが、米国のシェールオイルなど、世界で供給が増えているのは大半が軽質原油だ。

米国がイランを打ち負かせるかどうかを決めるのは政治だけではない。製油企業が望むような種類の原油を得られず、その結果、燃料価格が上昇し始めれば、消費者はトランプ大統領に怒りの矛先を向けるだろう。

トルーマン元米大統領の座右の銘通り、「責任は俺が取る」わけだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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