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コラム:原油価格の「明らかな誤り」
2015年1月7日 / 06:03 / 3年後

コラム:原油価格の「明らかな誤り」

[5日 ロイター] - 原油価格は依然として高過ぎであり、時として低過ぎであり、そしてあまりにボラタイルだ。つまり、誰にとってもうまく機能していない市場となっている。

 1月5日、原油価格は依然として高過ぎであり、時として低過ぎであり、そしてあまりにボラタイルだ。つまり、誰にとってもうまく機能していない市場となっている。米コロラド州で昨年12月撮影(2015年 ロイター/Rick Wilking)

原油相場が過度に乱高下しているのは紛れもなく明らかだ。昨年6月以降の50%の下落は極端だとしても、市場はごくまれにしか安定しない。2000年以降、日々の原油価格は6カ月前に比べて平均18%高いか安い水準で推移している。

こうした価格変動は、特に需要の変動が極めて緩やかであることを考えれば不必要なものだ。1990年以降、原油需要の年間変動率が3%を超えたことはない。他方、原油の平均供給コストの変動も極めて緩やかだ。2011年半ばから2014年半ばまで見られたように、原油価格の安定推移に必要なのは、在庫と生産量の緩やかな調整だ。

原油価格の急変動は不必要なだけでなく、有害でもある。急速かつ劇的な価格変動は、良い投資を悪い投資に変えてしまう。例えば、原油価格が1バレル60ドルを下回った水準のままなら、米国のシェールオイル開発に投じられた資金の大半は無駄になる。

当然のことながら、実際の価格が問題になる。石油とそれ以外のエネルギーの生産者はともに、原油価格に従って行動が変わる。企業や家計の消費パターンも同様だ。原油が安ければ、生産コストが高い油井は手つかずのまま放置され、消費者にとっては燃費の悪い車でさえ経済的となる。一方で原油が高ければ、電気自動車が良く見えるようになり、生産者にとっては深海油田掘削も理にかなうようになる。

世界経済全体にとっては、原油が可能な限り安くなることは恩恵に他ならない。その観点からすれば、現在の原油価格はまだあまりにも高過ぎる。いたずらに高価な原油の生産は、熟練労働者と最先端の設備を無駄にしている。石油輸入国は必要以上の高い金額を払う羽目になっている。石油輸出国は現金を手にするが、豊かな石油収入はしばしば、無能な政府をつくり出したり、石油以外の経済を弱体化させる。

世界的に最も効率の良い油田からの生産量が増えるなら、原油価格はもっと下がる可能性がある。ただ、どれほど安くなるかは誰にも分からない。超低コストで生産できる未開発油田を持つサウジアラビアなどの産油国が、それらを積極的には開発もしくは探査しないと決めているからだ。とはいえ、1バレル30ドル以上が妥当だと考える理由はない。米エネルギー情報局(EIA)の計算に従えば、インフレ調整後の1990年代の年間平均価格はその水準だ。

生産者にとっての価格と消費者にとっての価格は別物だ。生産コストを大幅に上回る価格を付けるには十分な理由がある。石油は燃焼時に環境を汚染する再生不能エネルギーであり、石油を輸入に依存することには政治リスクも伴う。

消費者にとっての正しい価格とは、自動車が運転できるほどには安くある一方、将来的に有望な代替エネルギー源の開発を促す程度には高く保たれるべきだ。最適価格を正確に計算する方法はないが、ガソリン小売価格の約60%が税金である欧州や日本の政策は正しい方向を向いている。

ガソリン小売価格に占める税金の比率が15%の米国は異端だ。再生可能エネルギーへの投資に対する強い動機を生むには、それでは明らかに低過ぎる。米政府は望ましい方向に進むべく石油産業に多くの規制を導入しているが、最も説得力のある方法は税率を上げることだろう。

理想の世界なら、生産者にとっての原油相場は現在より安くかつ安定的に推移する一方、消費者にとっては現在より高い水準で安定しているだろう。理想の世界は存在した試しがないが、原油市場には改善の余地がある。

適切な生産者価格をつくり出す最善の方法は、カルテルの結びつきを弱めることだ。生産者は価格を安定させるのに十分な程度の統制は保ちつつ、軽率な投資や破壊的な過剰生産を呼び込むほどには価格を上昇させないため、市場シェア争いには貪欲であるべきだ。幸いにも、そうした動きは進んでいるように見える。サウジアラビアが市場シェアを守るべく下した最近の決断は正しい方向への一歩だ。

一方、消費者価格を必要十分な水準で高く安定させる最善の方法は、原油価格に合わせて石油の税率を変えることだ。最近の原油急落は素晴らしい機会を提供している。燃料の小売価格が一定なら消費者は原油安にはほとんど気づかないだろうし、ほとんどの政府は税収の増加を歓迎するはずだ。

ただ残念ながら、各国政府が気にかけているのは、長期的に賢明なエネルギー価格がどうであるかより、短期的に消費者需要をどう刺激するかだ。足元の原油安がもたらすチャンスはほぼ間違いなく無駄になるだろう。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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