April 26, 2018 / 11:34 PM / 5 months ago

コラム:ECB、非正統的政策を完全に捨て去れないジレンマ

[ロンドン 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 過激な考えでもいつしか主流的な見方になる場合がある。金融政策がこうしたケースに該当するのは明らかで、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁もそれを知りつつある。

 4月26日、過激な考えでもいつしか主流的な見方になる場合がある。金融政策がこうしたケースに該当するのは明らかで、ドラギECB総裁(写真)もそれを知りつつある。フランクフルトで撮影(2018年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

ユーロ圏の景気回復は過去数カ月で勢いが失われた。まだ債券買い入れを終了しておらず、米連邦準備理事会(FRB)のように利上げにも動いていないECBにとっては、憂慮すべき事態になっている。

景気減速はユーロ圏19カ国の大半、そしてすべてのセクターで見受けられる。今回は悪天候や一部のストライキといった一時的現象がもたらした可能性があるのは、ドラギ氏が26日の会見で言及した通りだ。しかし将来のある時点では、理由が保護貿易主義の高まりであれ他の要因であれ、本格的な景気下降局面がやってくるのは避けられない。

ECBは9月に予定されている債権買い入れ期限を延長するかもしれないが、さすがに次の景気下降局面までには、債券買い入れは打ち切っているだろう。だが既に過去2年半で6回利上げしているFRBと異なり、ECBはまだ政策金利を動かせず、中銀預金金利はマイナス圏にとどまっている。政策金利はこの先の景気下降時にも歴史的低水準にある公算が大きく、ドラギ氏もしくはその後継者は、新たな債券買い入れを始める以外ほとんど打つ手はなさそうだ。

近く退任するECBのコンスタンシオ副総裁によると、ECBは短期金利を操作目標とする単純な政策に回帰することもできない。ユーロ圏の非金融企業は、2007年に比べて銀行融資への依存度が下がっている。金融システムにおいては、銀行以外の事業者の重要性が高まった。こうした事態の変化からは、古いスタイルの金融政策では10年前ほど効率的に経済のかじ取りができないことが分かる。

景気刺激の新手法を編み出す先駆者的存在である日銀は、既にさまざまな策を打ち出してきた。黒田東彦総裁は国内の上場投資信託(ETF)の形で株式を購入しているだけでなく、日本国債のイールドカーブを明示的にコントロールしている。これらの政策手段は、まだ他の主要中銀にとっては正統的とはみなされていない。それでも次の景気後退の後には、それほど過激に見えなくなっているのではないだろうか。

●背景となるニュース

*ECBのドラギ総裁は26日の理事会後の会見で、ユーロ圏の経済成長は依然堅調だが、異例の高成長からの「反動」が出ているとの認識を示した。

*ECBは26日、主要政策金利のリファイナンス金利をゼロ、中銀預金金利をマイナス0.4%に維持。9月に期限を迎える債券買い入れプログラムをどうするかの決定は下さなかった。現在毎月300億ユーロの債券を購入する同プログラムを延長するか手じまうかは、6月ないし7月に決めるとみられる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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