September 14, 2015 / 7:59 AM / 5 years ago

コラム:新興国発の世界景気後退に打つ手はあるか

[11日 ロイター] - 向こう1、2年以内に世界的なリセッション(景気後退)に見舞われることはないかもしれないが、もしそうなった場合、1つ明らかなことがある。それは、政策対応は難しいということだ。

 9月11日、向こう1、2年以内に世界的なリセッション(景気後退)に見舞われることはないかもしれないが、もしそうなった場合、1つ明らかなことがある。それは、政策対応は難しいということだ。浙江省の証券会社で7月撮影(2015年 ロイター)

シティグループの分析リポートの中で、グローバル・チーフエコノミストのウィレム・ブイター氏は、世界的なリセッションに向こう2年以内に陥る確率は55%だとし、2016年後半に始まる可能性が高いと指摘した。

ブイター氏の世界的リセッションに関する実用的な定義に注目すべきだろう。インフレに釣り合う水準を上回る失業率や、実際の国内総生産(GDP) 成長率が潜在成長率を下回った場合をそのように定義しているが、そうなれば世界の経済成長率は程度の差こそあれ、2%を下回るに等しい。

世界的なリセッションはそれほど珍しいことではない。1970年代以降で4回発生しているが、これまでは先進国の景気鈍化が新興国市場に波及していく形だった。とりわけ、米国がその原動力になりがちだ。

しかし近い将来に起きることは、これとは異なる。ブイター氏は逆に、新興国市場の景気鈍化が、貿易や商品価格、金融市場に与える影響などを通して先進国の市場活動に打撃を与えるとみている。

中国は過剰生産能力と過剰なレバレッジという「二重苦」を抱える典型例と言える。これまでこうしたことは同国の不動産や株式市場で目にしてきた。しかし、地方政府の債務や生産、投資への影響をたどることはより困難であり、気がかりな一面となっている。

世界的なリセッションが起きる可能性はさておき、もしそうなった場合に政策当局者たちは直ちに対応し、必要な手段を講じることができるのだろうか。

答えはノーだ。

中国の李克強首相は10日、大連で開催された世界経済フォーラム夏季ダボス会議で、世界経済の問題に対処する上で、不測の悪影響を招く可能性のある量的緩和に依存すべきでないと述べ、構造改革の必要性に言及した。

李首相の発言は、世界市場と国内に向けて自信を呼び起こそうとするものだったのかもしれないが、景気鈍化に正面から取り組むことに対する中国の消極的な姿勢とも取れなくはない。

中国が先の世界金融危機に対して迅速かつ、概ね効果的に対応できたのは、それが政治的に容易だったということを忘れてはならない。それは基本的に他国が犯した間違いの後始末だったからだ。

中国が現在、打ち出している積極的な施策は、それが国内景気のさらなる減速を招いた場合、自己批判を誘発しかねない難しい仕事と言える。

<手段はあるか>

中国や他の新興国市場において、世界的な景気後退に対応する政策オプションを取ることは魅力的に映らないだろう。輸出が減少するにつれ、通貨切り下げによる恩恵を得ようとする試みの一部として、金利が引き下げられるだろう。ただ、それは参加者が増えるほど悪化をたどるゲームの1つにすぎない。

ブイター氏はとりわけ、中国が積極的かつ効果的な政策を打ち出す可能性について悲観的な見方をしている。高い債務水準を考えると、安全に資金を供給することは困難であり、それは苦境に陥っている国有企業や銀行などの改革にも失敗することになりかねない。

先進国でも同様に、強力な政策、とりわけ財政出動の見込みはほとんどないだろう。

ブイター氏は先のリポートの中で「英国は例外かもしれないが、大半の先進国で、新興国市場停滞による影響を最小限に抑えるために必要な金融、財政両面での刺激策が取られる兆しは見えない」と指摘。「つまりそれは、金融当局が再び重労働を迫られることを意味する」と述べている。

そうであれば、米連邦準備理事会(FRB)は17日に利上げをした方がいいのかもしれない。ただしそれは、金利正常化の過程で景気悪化が起きた場合、金利引き下げができる余地を残しておくためにという意味においてだが。

結果として、世界的なリセッションはFRBだけでなく、日本や英国、そしてユーロ圏など主要な中央銀行がさらなる量的緩和に動く可能性を示唆している。

量的緩和策は市場がまひしたときに非常によく機能したことを思い出すべきだが、今後起こり得るリセッションは2008年の世界金融危機のように市場から来るものではない。恐らく実体経済から発生する。それは満足できる結果を得ることが難しくなっていること、もしくはバランスシートのさらなる拡大を意味している。

世界的なリセッションが起きる良いタイミングなどない。だが2016年はことさら悪い時期のように見える。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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