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コラム

コラム:中国がリードするEV市場、欧州が逆転する可能性と理由

[リトルトン(米コロラド州) 5日 ロイター] - 世界の電気自動車(EV)市場に目を向けると、購買力という点で中国は圧倒的な存在だ。昨年販売されたEVの2台に1台は中国で買われており、今後何十年も国・地域別のEV販売台数でダントツの首位を守り続けるだろう。

 世界の電気自動車(EV)市場に目を向けると、購買力という点で中国は圧倒的な存在だ。写真は4月、ドイツ・ツウィッカウにあるフォルクスワーゲンのEV工場近くで撮影(2022年 ロイター/Matthias Rietschel)

しかし、EV市場における他の重要な幾つかの指標、具体的には自動車販売台数全体に占める割合、既存の自動車在庫に対する比率、人口100万人当たりの販売台数といった分野では、欧州が世界の中で大きくリードしている。これはEV産業の動きを包括的に理解しようとする人々にとって、注目に値する状況と言える。

<視点で変わる立場>

過去10年間にわたり、中国がEV市場で独占的に脚光を浴び続けてきたのは確かだ。背景には、政府が大胆な脱炭素化と省エネ推進に乗り出し、国内自動車メーカーがEV生産で積極的に優越的な地位を得ようと取り組んだという流れがある。

同時に重要なバッテリー製造能力を含めたEV向けサプライチェーン(供給網)の主要部門構築を進めたため、世界のEV市場とりわけ供給サイドで、中国が最も大事な役割を担うという確固たる構図が出来上がった。

ところが、自動車需要全体と比べたEV需要の伸びに焦点を当てた場合、今度は欧州の優位がはっきりしてくる。国際エネルギー機関(IEA)によると、北欧諸国では昨年の自動車販売台数の半分以上がEVだった。

その理由として、1)気候変動問題に関心が高い一般の人々の所得水準が高い、2)政府の強力なEV購入支援、3)官民一体となった充電施設普及の努力――が挙げられる。

ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー危機で苦境に陥っている欧州では、電力価格高騰を受けて脱化石燃料を加速する取り組みに幅広い支持が集まっており、これから先にEV需要が勢いを増していくと予想される。

欧州のEV需要拡大を後押しするもう1つの要素は、消費者が買うことができる自動車の在庫に占めるEVの割合が、急速に上昇している点だ。

IEAのデータによると、販売用自動車在庫におけるEVシェア世界上位10カ国中9カ国は欧州勢。そのうち7カ国はシェアが3%ないしそれ以上となっている。

単位人口当たりのEV販売台数の多さが、主にこうした在庫を膨らませる原動力になっている。絶対的なEV販売台数では中国が群を抜いてトップだが、ノルウェーとドイツ、オランダ、英国はいずれも昨年の100万人当たりのEV販売台数が中国を上回った。

つまり購入予算を気にする潜在的な買い手でも、いざ買い換えの際に新車だけでなく、中古車でもEVの選択肢が広がっていることを意味する。

<インフラ整備も急進展>

さらに欧州では充電施設の急速な整備進展も、EV需要の追い風だ。

IEAによると、2016年から昨年までに欧州全体でEVの充電ステーション数が431%増えて35万6000カ所を超えた。

16年以降の伸びは中国の716%や韓国の5197%には及ばないものの、欧州各国が最近、早急にEV関連インフラを一層充実させると約束している以上、今後は充電ステーションがもっと大幅に増加するのは確実だ。

EVの走行距離に不安を持つ人々にとっても、欧州では他の地域よりも多くのプラグインハイブリッド車(PHEV)を購入対象として選べるという利点がある。

ドイツと英国、ノルウェーではEV在庫の4割強がPHEV。この比率は中国がわずか21%、世界全体でも32%にとどまる。

また、割高で温室効果ガス排出量の多い化石燃料への依存を欧州各国が減らすため、充電ステーションとともにEV購入補助金の拡充も打ち出そうとしている。

このため、欧州のEV購買力は今後も高まり続け、どこかのタイミングで中国をしのぐ日が訪れるかもしれない。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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