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コラム:FANG関連株、押し目買いの好機か=木野内栄治氏
2017年7月4日 / 02:53 / 5ヶ月前

コラム:FANG関連株、押し目買いの好機か=木野内栄治氏

[東京 4日] - 欧州中銀(ECB)総裁そして英中銀(BOE)総裁のタカ派発言を受け、欧州で債券市場が動揺し、株式市場も変調を来してきた。確かに、米連邦準備理事会(FRB)に続くECBの利上げ開始後に、日本株のピークが到来する傾向はある。

例えば、2005年12月にECBが利上げを開始した後、日経平均は2006年4月に天井を形成した。また、1999年11月4日に利上げを開始した後は、日経平均は2000年4月に天井を形成した。

ただし、上記のECBの利上げ開始と日経平均の天井の間は、4カ月から5カ月のラグがある。今回、ECBが9月か10月に量的緩和縮小(テーパリング)開始を発表したとしても、量的緩和は12月までの継続が約束されており、テーパリング完了には来年前半いっぱいの期間が必要だろう。その後に利上げをするのは早くても来年後半とみられる。今回も4カ月から5カ月のラグを前提とすれば、日本株は来年終盤まで心配はいらないと考えられる。

過去の単純な利上げと異なり、今回はテーパリング開始などが、株価の天井を前倒しにさせる可能性はあり得る。そこで米国のテーパリング完了以降をみると、テーパリング完了が2014年10月、日経平均の天井は2015年6月、その後の利上げ開始が2015年12月だった。これに対して2000年の米利上げ時は、4月に日経平均はいったんの天井を形成し、6月が米国の利上げ開始だった。

米国の利上げ開始に対して、日経平均の当座の天井は先行する傾向があるが、確かに上記の2場面ではテーパリング後の2015年の方が日経平均の天井は4カ月間早かったことになる。ただ、今後この程度の前倒しがあったとしても、日本株の本格的な天井形成はかなり先との見方に変わりがないだろう。

また、足元の混乱は、2013年5月に当時のバーナンキFRB議長がテーパリング実施の意向を示した「テーパー・タントラム(緩和縮小に対するかんしゃく玉の破裂の意味)」と似ているとも言える。ただし、当時の日経平均の下落期間は1カ月間もなかった。こうしてみると、現在の金融市場の混乱は押し目買いの好機である可能性があろう。

<狙い目はFANG株と連動性が高い国内IT企業>

次に、株式での押し目買いの候補を考えたい。足元、株式市場の調整のリード役となっているのはFANGと呼ばれるIT関連株だ。FANGとは、フェイスブック(FB.O)、アマゾン・ドットコム(AMZN.O)、ネットフリックス(NFLX.O)、アルファベット(GOOGL.O)が運営するグーグルの頭文字を取った造語だ。

この4銘柄で株価指数を作ってみると、昨年6月、10月頃にも調整があり、それぞれ19営業日、15営業日の調整日柄だった。今回の調整は6月8日から始まっており、7月3日までで17営業日を経過した。そろそろ、押し目買いのタイミングを迎えている。

日本のIT関連株は、株価上、FANG株と連動性が高い。また、ネットフリックスをマイクロソフト(MSFT.O)に置き換え、さらにアップル(AAPL.O)を加えてFAAMGと呼ぶこともあるが、こうした米国IT企業のプロダクトが日本で販売される時に、日本企業にもメリットが出る。

例えば、iPhoneはアップルストアよりも携帯電話各社の販売量の方が多いだろう。また、Windowsはパソコンにインストールされ、多くのソフトウェアはユーザーのシステムに統合されて本来の働きをする。そうしたメーカーやITインテグレーターは日本企業であることが多い。

このようにFAAMGの業績と日本の携帯各社やIT企業の業績は連動する部分もある。FANG株の調整一巡が期待できる中では、日本のIT関連銘柄の押し目買いが有効な投資戦略だと考えられる。

<イノベーティブな企業が脚光を浴びる時代に>

さて、ベースとして、現在はイノベーションが開花を始める時期である。大局的にみると、物価が継続的に下落するとの意味でのデフレは世界的に終了した。景気循環論で言えば、物価の大循環でもある「コンドラチェフの波」が底入れ反転しつつあると言える。

「コンドラチェフの波」は資本ストックの再構築サイクルであるとともに、イノベーションの波でもある。デフレ脱却は技術革新を伴いつつあるはずで、社会的にも株式市場においても、イノベーティブな企業が脚光を浴びる時代だ。

革新的な技術は、歴史的にキー・ファクターと呼ばれる安価で豊富な財を利用してきた。例えば、安価な石炭が豊富に利用できるにようになったことで、蒸気機関が成立した。次に、鉄が安価なレールとして豊富に利用できるようになって、鉄道運送が拡大した。石油が世界中に安価に運搬できるようになったことで、自動車社会が発展した。最近までは半導体が年々安価になることで、エレクトロニクス産業が発展してきた。

現代のキー・ファクターは、電波のデジタル利用や、コンテンツだろう。電波はアナログ利用の時代は混信を防ぐために利用する電波帯を幅広くする必要があった。貴重な電波は、国民の財産と言われるほどだった。現代ではデジタル化による高次利用によって、スマホなどの通信速度は年々早くなっている。SNSの普及も通信インフラの整備がベースとなっている。

また、コンテンツの蓄積は指数関数的に増加している。結果、画像や音声を学習教材とするAI(人工知能)が花開いた。さらに、大量の商品情報とその口コミ情報や購買履歴の蓄積によって、販売員のアドバイスなしにオンライン上で商品を吟味することが可能となった。このように次世代をけん引するイノベーションの姿がみえてきている。そうした潮流を引っ張っている企業群がFAAMGだと言えるだろう。

<ニューエコノミー相場到来の可能性>

最後に、今年から来年はニューエコノミー分野が株式市場で大きく評価されやすいことを説明したい。歴史的に、BRICsバブルのような大きな株価のピークを経験すると、10年後頃はニューエコノミー相場となることが多い。これはバブル的な株価の天井付近では過剰な設備投資が実施されてしまうことが背景だ。設備投資循環の日柄は10年程度なので、バブルのピークから10年後にはいったん反発相場が示現しやすい。

ただし、バブル時に過剰設備を構築してしまったようなオールドエコノミー分野には資金が向かわない。例えば、BRICsバブル時に中国で乱立した鉄鋼業を、いまさら増強する気にはなりにくい。そこで自ずとバブルの10年後頃はニューエコノミー中心の相場になりやすい。

実際、バブルの10年後の相場付きは、いずれもニューエコノミー相場になっている。大恐慌直前に付けた1929年大天井の10年後頃は、当時の新興的な株価指数であったNYダウ(工業株)がS&P500指数を大きくアウトパフォームしたほか、グロース・小型株相場だった。

日本でも1973年や1989年などのバブル的な天井の10年目頃にはVTR相場、IT相場などニューエコノミー分野の値嵩優良株物色がみられる二極化相場が発生した。今年から来年はニューエコノミー相場だろう。その対象の1つがIT関連株だとみている。

ニューエコノミー相場は、最後は一極集中相場となりやすい。FANG相場はいまだ一極集中とまでは至っていない。FANGや関連株の相場が復活するとともに、さらに大きな上昇が期待できるだろう。

*木野内栄治氏は、大和証券投資戦略部のチーフテクニカルアナリスト兼シニアストラテジスト。1988年に大和証券に入社。大和総研などを経て現職。各種アナリストランキングにおいて、2004年から11年連続となる直近まで、市場分析部門などで第1位を獲得。平成24年度高橋亀吉記念賞優秀賞受賞。現在、景気循環学会の理事も務める。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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