January 8, 2015 / 7:13 AM / 5 years ago

コラム:仏紙銃撃事件の対応めぐるジレンマ

[ロンドン 7日 ロイターBreakingviews] - フランスの週刊紙「シャルリエブド」は、パリ中心部の本社を襲った悲劇でさえ、紙面で風刺の対象にすることをいとわなかったに違いない。

 1月7日、仏紙銃撃事件直後の怒りや悲しみの先には、欧州の民主主義にとっての難題が控えている。仏ストラスブールの追悼集会で撮影(2015年 ロイター/Vincent Kessler)

だが、7日に起きた同事件では12人が死亡し、その中には同紙編集長や著名な風刺画家らも含まれていた。それでも、権力者やあらゆる種類の権威を風刺し、慣習的な良識とは距離を置く同紙の姿勢が変わることはないはずだ。

事件直後の怒りや悲しみの先には、欧州の民主主義にとっての難題が控えている。ただそれは、一朝一夕には解決しないだろう。

オランド仏大統領は、銃撃を「テロ行為」だと非難した。今回の事件を含む欧州で最近発生している一連の事件は、新たなタイプのリスクを示唆している。つまり、こうした暴力行為が必ずしも組織的に行われるのではなく、社会から孤立した個人によって引き起こされるということだ。そこでは、伝統的な司法の理念では問題は簡単には解決しない。

パリ新聞社襲撃犯の身元や動機が明らかにされる前段階ですでに、極右団体は同事件に乗じようと動き出している。フランスでは極右政党の国民戦線(FN)がそれに当てはまる。そうした動きは、フランスと同様に悪意ある政治的議論が交わされている残りの欧州にも広がる可能性がある。極右過激派の動きは一段と勢いを増すかもしれない。

もし、無差別暴力行為に対する当局の姿勢が弱腰過ぎると受け止められれば、有権者からは厳しい治安維持政策を求める声が出てくるかもしれない。そうなれば別のタイプのリスクが生まれることになる。

新たな脅威に直面する政府はいずれ、基本的な自由を制限する衝動を抑えられなくなるかもしれない。メディアにとってそれは、「シャルリエブド」のような挑発的な組織や個人に対する圧力となって現れるかもしれない。もしくは、外からは見えにくい分、かえって厄介な自己検閲の動きにつながりかねない。そうなれば、紙面に何が書かれなかったかは誰にも分からなくなる。今回の事件が残す最悪の結末はそれだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

*写真のキャプションを修正して再送します。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below