March 22, 2019 / 10:48 AM / in a month

コラム:身構えた米市場、それでもFRBと認識に差 鍵は中国

[東京 25日 ロイター] - 22日のNY市場では、米国の長短金利が12年ぶりに逆転し、景気減速懸念からダウ.DJIは前日比460ドル超の下落となった。これまで米景気の先行きに強気だった米株式市場が見せた「動揺」だった。

 3月22日、米連邦準備理事会(FRB)が19─20日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表以降、FRBと米株式市場との認識ギャップが大きくなっている。NYSEで20日撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)

ただ、19─20日の連邦公開市場委員会(FOMC)後に米連邦準備理事会(FRB)が示した米経済の先行きへに対する「警鐘」に、市場が追いついたのかと言えば、それは「ノー」ではないか。FRBの慎重姿勢の背後には、米中経済摩擦が及ぼす打撃リスクがあるとみられるが、市場の心配はそこまで及んでいない。

米中摩擦の長期化がはっきりしてくれば、対中貿易の比重の大きい日本経済にとって、想像を超える打撃が生じかねない。

22日のNY市場では、10年米国債利回りUS10YT=RRが2.43%台に低下する一方、3カ月物財務省短期証券(Tビル)US3MT=RRは2.45%台で取引を終え、2007年以来、約12年ぶりに米長短金利が逆転した。

これを受け、米株式市場では主要3指数が大幅反落し、ドル/円JPY=EBSは一時、109円台に下落した。

直接の原因は、マークイットが22日に発表した3月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値だったと言われている。2017年6月以来、約2年ぶりの水準に落ち込み、製造業の減速リスクに市場の注目が集まったとの報道が多かった。

だが、その1日前の21日のNY株式市場では、3月のフィラデルフィア連銀業況指数が急反発した[nL3N2182WK]ことや米新規失業保険週刊申請件数が予想を超えて減少[nL3N2182NC]し、景気鈍化への警戒感の低下を背景にダウ.DJIは200ドルを超える上昇となっていた。

私は、米株式市場が本格的に景気失速を意識し出したとみるのは、早計ではないかと思う。

ただ、株式市場が心配した背景はわかる。FRBが米景気への認識をかなり厳しく示したからだ。その警戒のトーンは、かなり強いと思われる。FOMCメンバーの政策金利見通し(ドット・チャート)で示された年内の利上げ回数はゼロとなり、20年は1回との見通しが示された。

パウエル議長は、FOMC後の会見で「依然として米経済は年内、底堅く成長すると予想」、「労働市場は堅調」とも述べつつ、「成長は特に中国や欧州で鈍化」「昨年9月以降の指標から、成長は予想よりも鈍化しているもよう」と指摘した。

米中通商摩擦の影響も含めた中国経済の先行きに対する懸念が、背景にあるのではないかと推測させるような「言い回し」だったように、私には感じられた。

22日の米市場に影響を与えた3月ドイツ製造業PMI速報値の落ち込みも、ブレグジットへの懸念だけでなく、対中輸出減速リスクも影響している可能性が高い。

<対中関税継続なら、中国に打撃か>

世界経済の動向に少なからず影響を与えそうな米中通商交渉は、当初期待された2月末の合意ができず、最終合意のメドが不透明になっている。

トランプ米大統領が20日、対中関税について「かなりの期間」維持する可能性に言及した。その背景としてトランプ大統領は「(協議に関し)合意するのであれば、中国に確実に履行させる必要がある」と述べた。

複数のチャイナウオッチャーによれば、足元での中国経済の減速の大きな要因の1つに、米国による10%の関税賦課がある。

だからこそ、中国側は対米交渉で早期の関税撤廃を双方で実行することを提案していたが、それへの回答が、トランプ大統領の発言だった。

中国経済はしばらくの間、10%関税という「重石」を背負って進むことになりそうだ。

<中国経済減速、長期化なら日本にも余波>

中国の減速継続は、日本にとってはある意味で米国の受けるマイナス効果よりも、打撃が深くなる可能性がある。18日発表された2月貿易統計で、アジア向け輸出は前年同月比マイナス1.8%。輸出全体も3カ月連続で前年割れだった。

日本企業の中には、対中ビジネスの比重が高いところが少なくなく、輸出減─生産減が継続するようなら、企業経営者の心理を冷やし、19年度の設備投資計画を抑制させかねない。そこまでリスクが拡大するようなら、アベノミクスの下で拡大を続けてきた日本経済に「黄信号」が点灯しかねない。

もし、FRBが中国経済の動向を念頭に慎重な米経済の先行きを展望しているなら、日本の政策当局は、米国並みかそれ以上に下向きのリスクに敏感になるべきだろう。

当面、日本の政策当局は、株価とドル/円の行方に神経を使うことになるのではないか。

*内容を更新しました。

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