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コラム:FRBサンタ、隔週で株式市場にプレゼント
2015年11月25日 / 10:19 / 2年前

コラム:FRBサンタ、隔週で株式市場にプレゼント

[24日 ロイター] - 新たな研究によれば、米連邦準備理事会(FRB)は自らの意図について「リーク(情報漏洩)」または非公式の市場誘導を行っているだけではなく、その意図は概して株式市場に対して圧倒的にプラス材料であることが明らかになった。

 11月24日、新たな研究によれば、米FRBは自らの意図について「リーク」または非公式の市場誘導を行っているだけではなく、その意図は概して株式市場に対して圧倒的にプラス材料であることが明らかに。写真は昨年12月、ニューヨークの「サンタコン」イベント参加者の背後に見えるエンパイアステートビル(2015年 ロイター/Elizabeth Shafiroff )

FRBの理事会前後の市場リターンに関する最近の研究から浮かび上がるのは、裏ルートの対話に依存しながら、株式市場に対しては「どっちに転んでも君の勝ち」という政策運営を行うFRBの姿だ。

これは透明性の問題ではなくて政策の問題だろう。

カリフォルニア大バークレー校のアネット・ビシング・ヨルゲンセン教授と同僚の研究によれば、1994年から2013年にかけての株式プレミアムはFRBの金融政策決定会合か、或いは隔週ごとに開かれる理事会の週に必ず上昇した。

その通りだ。リスクフリーの国債リターンを上回る株式相場の上昇はFRBが会議を開いている週に集中している。同時にこの週には株式市場のボラティリティも上昇する。

なぜだろうか。それはFRBが情報をリークしているか、FRBが自らの意図する金融政策に関して好んで行う、市場の「非公式誘導」の最中に起きているからだ。

ビシング・ヨルゲンセン教授らは「資産市場に対する情報入手に関してより説得力のあるメカニズムとは、FRBのメディアや金融業界との組織的な非公式の対話であると我々は主張する」と書いた。

教授らは「我々はリークの直接的証拠のほか、FRBの非公式の情報発信の枠組みを提供し、この枠組みにおける資産価格の実験結果も提供する」と述べた。

FRBは、2012年にアナリストに情報漏えいしたとして、議会の一部から圧力を受けている。サンフランシスコ連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は会合で「以前に」非公式な情報経路を利用したことを認めた。

明らかにこれらは自分勝手に行ったリークではないだろう。むしろ、FRBがさらに金融政策を継続的に支配できるようにし、市場へのショックを回避することを意図したコミュニケーション戦略の一部だ。

それにもかかわらず、リークの効果を評価してみると、一般に人々にリスク資産の保有を促すという点が示唆される。これがまた、FRBが自らが具現化する有名な政策の非対称性である。すなわちFRBは相場の上昇をサポートし、下落の恐れがある相場を補強するのに役立つ形で権限を行使するという考え方だ。

ニューヨーク連銀の以前の記録によると、政策決定会合の前後に相場が上昇する同じような傾向が明らかになっているが、この報告書はFRBが隔週ごとの理事会を開いている時にも似たような現象が起きていることを示した。

<ボラティリティを嫌がらない市場>

報告書はこの超過リターンをニュース情報に対するリスクプレミアムと呼ぶ。また、FRBが会合が開いている週で、しかも表現は好きな方を選べばよいが、FRBが政策に関する市場への「リーク」または「誘導」を行っている間にリターンが上昇するのは、ネガティブなニュースになる可能性がある情報に対して投資家に埋め合わせをするためだと主張する。

しかし、データが示すところによると、FRBの会合が上下双方向のどちらの内容でも相場は上昇している。このことはむしろ、どんなニュースが出てこようが投資家は怖くないことを示唆する。

このボラティリティは「非公式な情報発信」が行われる無秩序かつ誰かを優先する手法によって説明がつく。この場合に無秩序で優先的というのは定義上、特定の組織に情報が公開されるという意味だ。多くの場合、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙に情報が公表されるが他には公表されず、民間の分析会社や銀行に公表される情報は言うまでもない。

リークがいつ行われるかという公式のスケジュールはないので、ウォッチャーはこの週にリークが行われると知っているに違いない。だが、そこでボラティリティが上昇するのは極めて自然なことだ。ただ、ボラティリティが上昇する中で一貫して価格が上昇するというのはつじつまがあまり合わない。

市場はボラティリティを嫌うと、常に言われる。明らかにボラティリティは「サンタクロースが私にどんなプレゼントをくれるのだろう」という類のものではない。

現状に関して二つの基本的な問題がある。1つは明らかにメリットを上回ることのない程度の不公平さがある。第2にFRBが目標達成のための資産価格の押し上げに不快なほどに依拠している点だ。

市場にサプライズを与えることが時に悪いことだということは一見して分かりづらい。投資家に恐怖を与えるのではなく、常に投資家を喜ばせるFRBのような組織の場合は特にそうだ。

また、資産価格の押し上げは利益を富裕層の上位に集中させるが、持続的な雇用創出と賃金上昇に関してはお粗末な実績しか残していない。

過去20年間は、行き過ぎた金融市場のリスクテークという悲しい出来事の繰り返しの歴史だった。FRBが市場にショックを与えることを恐れているように思われ、しかもほとんど常に資産価格を応援するニュースを提供してくれるというのも説明がつく。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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