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コラム:米FRBと株式市場の「不健全な関係」
2016年3月24日 / 05:11 / 2年後

コラム:米FRBと株式市場の「不健全な関係」

[ニューヨーク 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)は2008年の金融危機以降、資産価格の押し上げを望んだ。しかし、FRBと株式市場はそれよりもずっと深く、不健全な関係を築いてしまったようだ。

 3月23日、米FRBは2008年の金融危機以降、資産価格の押し上げを望んだ。しかし、FRBと株式市場はそれよりもずっと深く、不健全な関係を築いてしまったようだ。NY証券取引所で2月撮影(2016年 ロイター/Brendan McDermid)

投資会社GMOの調査結果によると、1980年代初めから半ば以来、S&P総合500種指数は、金融政策が緩和か引き締めかのいずれを問わず、FRBが連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を公表したその日に分不相応な上昇を記録している。金融危機の直後からFRBと他の中央銀行が一連のいわゆる量的緩和策の中で債券買い入れを進めるとともに、こうした株価への影響はさらに大きくなった。今も当時ほどでないにしてもなお、普段の取引日、あるいはFRBが相場上昇をもたらすことがなかった1983年以前と比べて意味があるほどの変化が見える。

調査によれば、1984年以降、概してFOMCの政策決定日における米株のリターンは、驚くことに全てのリターンの25%を占める。政策方針が決まって不透明感が払しょくされたことに市場がポジティブに反応するのはもっともかもしれない。とはいえ、どうも行き過ぎのように見受けられる。

GMOのチャートを見ると、S&P500の株価収益率(PER)はエコノミストのロバート・シラー氏によって景気循環的な影響を調整したベース(シラーPER)で概ね26倍と非常に高い数値だが、FRBの政策決定日を除くと15倍を下回る。別の言い方をすれば、株価は現在の半分を少し上回る水準になる。

最も驚くべきことは、このパターンが過去のどの時点まで及ぶかだ。それはアラン・グリーンスパン氏がFRB議長に就任する前からもう始まっていた。同氏は議長として金融政策による株式市場の救済に積極的な意識を持つことで知られるようになり、相場の下支えにFRBが果たす役割を指す「グリーンスパン・プット」という言葉も生まれた。

FRBは仮に金融市場の状況が問題となっている時であろうとも、相場変動ではなく、その背後にある要素に目を向けるべき義務がある。それなのにジャネット・イエレン議長が率いるFOMCメンバーの一部は、最近の相場変動自体を過剰に心配し、投資家を動揺させるのを恐れて小幅な利上げすら回避しているように思われる。

GMOの調査結果はその訳を説明してくれる。FRBと市場はお互いを糧としており、市場参加者がイエレン議長とその仲間のすることは全て有益だと結論付ける中で、FOMCは市場の反応に重きを置きすぎているのだ。現在のFRBと市場の相互依存状態が崩れ、厳しい株式市場の低迷が訪れようとも、FRBが背筋をピンと伸ばすべきもう一つの理由はこの点にある。

●背景となるニュース

*投資会社GMOは23日、FRBのS&P総合500種指数に与える影響を数値化したリポートを公表した。それによると、1980年代初めから半ば以降、FRBが金融政策を決定した日に米国株は一段と値上がりしている。

*1964─1983年の間、FOMCの政策決定日の平均リターンは全ての日の平均を下回っていた。しかしその後になると「FOMCの日のリターンは平均的な日に比べて著しく高かった」としている。

*2008年─2012年のFOMCの日の平均リターンはS&P500種の平均的な上昇率の29倍だった。ただ、その後FRBの株式市場に与えるインパクトは1980年台以降の「通常」レベルに戻った。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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