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コラム

コラム:株価重視が証明された米FRB、今後の問題は何か

[11日 ロイター] - 過去30年にわたり、投資家は米連邦準備理事会(FRB)の意図を正しく理解することを務めの1つとしてきた。そしてそのためにはほんのひと手間かけるだけで済んだようだ。つまり、連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表当日に、株を買いさえすれば良い。FRBの政策行動がどうなるかも、市場のバリュエーションも気にする必要などない。ただ単純に買うのだ。

 5月11日、過去30年にわたり、投資家は米FRBの意図を正しく理解することを務めの1つとしてきた。NY証券取引所で2月撮影(2016年 ロイター/Brendan McDermid)

それはなぜか。資産運用会社GMOのジェームズ・モンティアー、フィリップ・ピルキントン両氏の分析結果では、1984年以降にS&P総合500種が生み出した実質リターンの25%を、FOMC終了当日の分が占めているからだ。

1年で株式市場が開いているのは通常252日で、FOMC終了日は年間8日しかない。モンティアー、ピルキントン両氏によると、こうした結果が統計的に意味のない事象である確率は限りなく小さい。

さらに2008年の2回の金融緩和時に特に株価が大きく上昇したケースを除外すれば、FOMCが利下げしようと利上げしようと、あるいは政策変更を見送っても、株式市場の反応にほとんど差はなくなる。

その意味では、もしも過去30年間のFOMC終了日とS&P総合500種の関係を分析せよという宿題を出された場合、ほとんどの投資家は恐らく大間違いをするだろう。彼らは株価と企業業績の関係がそうであるように、平均値に回帰すると想定するだろうから。

実際GMOがFOMC終了日の代わりにある特定の取引日を使って分析したところ、当然ながら株価は過去の平均的なバリュエーションに落ち着いた。

また今回の結果からは、株式市場がFRBの政策金利の方向性自体は気にかけていないことが分かる。むしろ投資家はFRBの思いやりに突き動かされているように見受けられる。FRBは、自分たちの進むべき道にとって何が良いかは承知している投資家の間に、アニマルスピリッツをかき立てる意図があるようだ。

<威光衰えのリスク>

ここまでで過去30年間においてなすべきことは、FOMC終了日に株を買えば良かったのだと分かったが、だからといって今何をするべきかを知るのはまったく別の話だ。

FRBが出てくる経済データとの絡みでどのように金融政策を進めているかに目を向けるのは、今後も株価を支えることが彼らの目標の1つであり、贈り物セットに含まれるのかどうかを探る上では、大して役に立ちそうにはない。

デュケーヌ・キャピタルのスタンレー・ドラッケンミラー氏は先週、「もしFRBが、テイラールールが示唆するような元議長のボルカー氏やグリーンスパン氏の時代の平均的なデータへの反応を見せているとすれば、今ごろ政策金利は3%近くになっていた」と述べた。

その上でドラッケンミラー氏は「言い換えれば、かなり皮肉な話だが、現在はこれまでで最もFRBの『データ依存』の度合いは小さい。簡単に言うと、わたしの仕事人生で見た中でFRBの歴史的な標準から今はもっとも大規模で長期のハト派方向へのかい離が起きている」とみている。

SLJマクロ・パートナーズのスティーブン・ジェン氏も、現在の経済データとFRBの政策スタンスの関係に困惑気味で、世界の主要中銀の間ではもうハト派姿勢で協調することが何カ月も前から決まっていたという読み筋がある程度妥当になっているとの見方を示した。

「先の(20カ国・地域=G20財務相・中央銀行総裁会議)以降のFRBの行動はこの仮説と整合的だ。なぜならFRBはデータ依存度を弱め、市場と中国への依存度を強めていると思われるからだ」という。

だとすれば真の問題は(1)FRBが株式市場を支え続けるのか(2)株式市場は今後もFRBと足並みをそろえるのか──という点に帰結する。

現段階で、FRBが政策目標の重点を株式市場支援以外に突然移行させると予想し始めるのはばかげている。1985年からずっとある程度の成果を収めてきたことについて、今になってとりやめる理由や方法を見つけるのは難しい。

より事態を混乱させる可能性があるのは、「株価を考慮しないFRB」ではなく「その影響力をもはや市場に信じてもらえないFRB」の出現だ。

日銀や欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利に対する市場の反応の悪さを考えれば、FRBが年内に利上げすることよりも、再びゼロ金利に戻らざるを得ない展開になった場合の方が、リスクは大きいだろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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