Reuters logo
コラム:米GM、株クラス分け提案は拒否が賢明
2017年3月29日 / 05:29 / 8ヶ月前

コラム:米GM、株クラス分け提案は拒否が賢明

[ニューヨーク 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)は2009年の経営破綻から立ち直り、昨年は北米で過去最高益を記録。株価も昨年はS&P総合500種を上回るペースで上昇した。しかし2017年の予想利益に基づく株価収益率(PER)はわずか5.6倍と、S&P500種構成企業で最も低い。

 3月28日、著名投資家のデービッド・アインホーン氏は、米ゼネラル・モーターズ(GM)に普通株のクラス分けを求めているが、この提案は避けるのが賢明なようだ。写真はGMのロゴ。ミシガン州で2015年10月撮影(2017年 ロイター/Rebecca Cook)

著名投資家のデービッド・アインホーン氏がGMに普通株のクラス分けを求めたのはこのためだ。アインホーン氏が率いるグリーンライト・キャピタルは、普通株を2クラスに分ければGMの時価総額は現在の540億ドルから最大380億ドル拡大すると主張している。アインホーン氏はこの提案についてGMのバーラ最高経営責任者(CEO)や取締役会と内々に協議したが物別れに終わり、GMの年次総会に諮る見通しだ。

提案によると、2クラスのうち1つは年1.52ドルの配当が恒久的に支払われ、もう1つには成長によって生まれた追加利益が反映される。

アインホーン氏は5年前に潤沢なキャッシュを抱えるアップル(AAPL.O)にも同じような計画を提案し、拒否された。

アインホーン氏のGMへの提案はある意味で筋が通っている。GMの配当利回りは4.4%で10年物米国債の利回りを2%ポイント上回るが、高い評価は得ていない。利回りを求める投資家をもっと引きつければ、バランスシートを過度に広げることなく企業価値を高めることができるだろう。

ただ、アインホーン氏の提案に懐疑的になるのも無理はない。北米の景気回復は既にかなりの期間にわたって続いている。過去2年間の乗用車と軽トラックの販売は年率換算1750万台近辺と過去最高水準で推移。自動車ローン残高は2010年に底を付けた後、59%増加し、中国の成長もかつての勢いを失った。

景気循環と同様に技術面でも困難が待ち構えている。中国の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)(0700.HK)から出資を受けた電気自動車のテスラ(TSLA.O)は、生産台数はGMの1%に達していないにもかかわらず、既に株式時価総額がGMの85%に達している。テスラのイーロン・マスクCEOは自動運転車を開発する方針を示しており、GMが遅れを取らないためには相当の資本が必要になるだろう。

グリーンライトの提案では、GMは業績が悪いときにも配当を支払い続けなければならず、柔軟性が制限される。このためムーディーズは提案に消極的な姿勢だ。これらすべてを考え合わせると、株主は提案を避けるのが賢明なようだ。

●背景となるニュース

*著名投資家デービッド・アインホーン氏が率いるヘッジファンドのグリーンライト・キャピタルは28日、GMに対して普通株を2つにクラス分けして企業価値を上げるよう提案し、GMが拒否したと発表した。

*2クラスのうち1つは既存株主に新たに割り当てられ、配当が支払われる「配当株(dividend shares)」。もう1つは既存の普通株で、全収益と将来の成長分が反映される「資本増価株(capital appreciation shares)」となる。

*グリーンライトは、GMの現在の配当(年1.52ドル)は市場から評価されていないと指摘。配当を狙う投資家向けと成長を重視する投資家向けに株式をクラス分けすることで、両株合わせて43─60ドルの価値を生み出せると主張した。

*GMは、グリーンライトからの提案について取締役会や上級幹部、格付け会社と約7カ月間にわたり協議した結果、「受け入れ不可能なリスクが生じ、株主にとって最良の利益にならない」と判断したと説明した。

*ムーディーズはグリーンライトの提案について、財務面の柔軟性を低下させて信用リスクを高めるとして、GMとその子会社の格付けにとってマイナスの影響があるとの見方を示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below