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コラム:ゴールドマンが計画する英リテール銀行の持つ「強み」
2017年9月12日 / 02:54 / 2ヶ月後

コラム:ゴールドマンが計画する英リテール銀行の持つ「強み」

[ロンドン 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ゴールドマン・サックス(GS.N)は来年夏、英国でリテール(小口)預金取り扱いを始める。既に米国で立ち上げた消費者融資ブランド「マーカス」を使用する計画。過去の厄介な荷物を背負っておらず、世界的な大手金融機関としての規模のメリットを有しているというのは、明らかに有利な点だ。投資銀行部門のリターンがさえない現状を踏まえると、これは打つべき価値がある一手と言える。

 9月11日、ゴールドマン・サックスは来年夏、英国でリテール(小口)預金取り扱いを始める。写真は同社のロゴ。シドニーで昨年5月撮影(2017年 ロイター/David Gray)

ゴールドマンが最も念頭に置いているのは、リテール銀行分野ではより大きいことが必ずしもプラスではないという考え方だ。これはある程度までは正しい。マーカスの顧客は、預金保険のカバーという面ではずっと大きなライバルであるロイズ(LLOY.L)の顧客と同等の条件を得られる。しかし預金受け入れを250億ポンド以下にすれば、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)が定める厄介なリテール事業と高リスク事業の分離規則は適用されない。

だからゴールドマンは面倒な支店網を構築する必要なしに、調達コストの安い預金を投資銀行活動の原資とすることが理論的には可能だ。既に英国で約6000人の従業員を抱える同社なら、来年末までにマーカスに100人かそこらを追加採用したところで体制に影響はないだろう。

さらにゴールドマンの新リテール銀行には、老朽化したコンピューターシステムをはじめとするいわゆる「負の遺産」がない。英大手4行の場合、過去に行った返済保証保険の不要な販売に絡んで360億ポンドを超える処理費用の計上を迫られた。こうした大手行の苦境を好機とみなす形で既にフィンテックを駆使した新興の金融機関も続々誕生。KPMGが昨年公表した報告書によると、これらの新興勢力の株主資本利益率(ROE)は大手行の3倍に達している。だがゴールドマンは、彼らにない富裕層に親しみのあるブランドと高度な専門家集団という強みを持つ。

ゴールドマンの新リテール銀行にとって、遅れて参入した身軽さを別にすれば、透明性を気にせずに済むことが最大のメリットになるのではないか。英国のリテール銀行は9070億ドルに上る資産の海に埋もれるので、ロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)が自ら情報を開示するまで、あるいはリテール銀行の規模が相当大きくなるまで、株主は業績がどうなっているか詳しく把握しようとしないだろう。つまり、マーカスがしばらく赤字を続けても、株主を苛立たせることない。多くの銀行は決してそんな真似はできない。

●背景となるニュース

*ゴールドマン・サックスは来年夏、英国で100人前後が働くリテール(小口)預金を取り扱う銀行を設立する計画。現在米国で展開するGSバンクと似た存在となり、消費者向け融資事業のブランド「マーカス」を用いる。

*ゴールドマンの昨年6月末時点の預金残高は1260億ドルで、うち631億ドルはプライベートバンクとオンラインのリテール金融に関連している。既にTSB銀行出身のデ・マクデイド氏を雇い、英国のリテール銀行トップに据える方針。

*ゴールドマンは米国のリテール事業の詳細は明らかにしていないが、10億ドル超のローンを実行し、融資事業で「10%台後半」の株主資本利益率(ROE)を見込んでいる。同社全体の今年第2・四半期のROEは年率8.7%。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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