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コラム

コラム:英議会採決でも避けられない「ハードブレグジット」

[ロンドン 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英国の欧州連合(EU)離脱交渉が一段と複雑さを増してきた。ロンドンとウェールズの高等法院は3日、メイ英首相が離脱交渉を開始する前に議会承認を得る必要があるとする判決を下した。

 11月3日、英国のEU離脱交渉が一段と複雑さを増してきた。写真は「ビッグベン」の愛称で知られる英国会議事堂の時計台。ロンドンで6月撮影(2016年 ロイター/Toby Melville)

英議会が承認し、英国民が享受しているEU法の恩恵を奪うことは、国際条約に調印する権限を持つ首相であっても許されないとの認識だ。この判決は政府にとって打撃だが、議会で採決しても離脱を回避したり、英国経済に損害をもたらすような離脱条件を阻止することはできない。

移民流入制限を優先し、EU単一市場へのアクセス維持を犠牲にする首相の方針に、議員らが概して反対しているのは確かだ。しかし上訴審となる12月の最高裁審理で政府側に不利な判決が出たとしても、この「ハード・ブレグジット」路線は食い止められないだろう。

第1に、判決によって議会が首相の離脱交渉計画に口出しできるようになるとは限らない。政府は議会採決にかける範囲を可能な限り絞ることができる。例えば、2年間の離脱交渉を開始させるEU基本条約(リスボン条約)第50条を発動するか否かといった問題に限ることができるのだ。それに、議会が単純に第50条の発動を拒否して国民の怒りを買うリスクを冒すとは、まずもって考えにくい。

第2に、議会が首相の離脱戦略を採決にかけることに成功したとしても、EUから少しでもましな条件を勝ち取るのを邪魔する結果に終わりかねない。英国はEUに対し、単一市場へのアクセスを現状通りに維持すると同時に、移民流入制限を強化するという組み合わせを要求することになるのだろうが、多くのEU諸国から賛同が得られる公算は小さい。もちろんメイ首相が妥協に応じようとする点は幾つかあるだろう。しかし議会が事前にそれを知っているなら、EU諸国もそれは同じだ。EU側は強い態度で交渉に臨める。

英国が離脱交渉で相対するのは実に27カ国。そこに英国議会までが加わると、首相が良い条件を勝ち取るのはますます難しくなるだけだろう。

●背景となるニュース

*英高等法院は3日、英国政府のEU離脱交渉開始には議会の承認が必要とする判決を下した。

*高等法院は政府に上訴する許可を与え、政府の弁護士によると、最高裁が12月5日から8日にこの問題を審理することになった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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