December 14, 2018 / 5:44 AM / 3 months ago

コラム:ヘッジファンドがすがるイールドカーブのフラット化

[ロンドン 11日 ロイター] - ヘッジファンドにとって2018年は苦労の絶えない1年だった。だが、今年最も安心できたトレードの2つ、つまり米国のイールドカーブのフラット化とドル高という読みが間違っていれば、運用成績ははるかに悪かったはずだ。

 12月11日、ヘッジファンドにとって2018年は苦労の絶えない1年だった。だが、今年最も安心できたトレードの2つ、つまり米国のイールドカーブのフラット化とドル高という読みが間違っていれば、運用成績ははるかに悪かったはずだ。ワシントンで2014年11月撮影(2018年 ロイター/Gary Cameron)

どちらのトレンドもまだ続いており、最新のデータによれば、投機筋は、年内はこのままのポジションを維持するとみられる。

各ヘッジファンドは12月4日までの1週間で、さまざまな先進国・新興国通貨に対するドルのネットロングポジションを20億ドル(約2270億円)近く積み上げ、320億9000万ドルまで増やした。これは米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによるもので、ドル高期待による累積ポジションとしては3年間で最大となる。

また米2年債のネットショートポジションが今年2番目に高い水準となる一方で、10年債のショートポジションはわずかしか増えておらず、実質的に2年債と10年債の利回り格差が縮まるという予想を反映している。

年初来、ドルは5%上昇した。2月の底値から見れば10%の上昇である。一方、2年債/10年債のイールドカーブはこの10年間で最もフラット化しており、先週には、リセッション(景気後退)の不吉な前兆となる長短逆転まで10ベーシスポイント以内に迫っている。

こうした状況からは、このようなトレードが限界に近づいており、年末に利食いの動きが一気に出るのは確実という見方もあるかもしれない。だが恐らくこれは、ヘッジファンド業界の暗い1年に現れた数少ない希望の光にすがる動きなのである。

バークレイヘッジの主要ヘッジファンド指数は今年これまでに2.48%低下し、マクロファンド指数は4.06%低下した。一方で、債券アービトラージ指数は2.33%上昇している。年間のパフォーマンスとしては、ここ数年で最も悪い数値だ。

ユーレカヘッジのデータでは、さらに気のめいる光景が広がる。同社の主要ヘッジファンド指数は今年、年初来で2.40%低下した。過去10年で最悪の年であり、2000年以来わずか3度目となる前年比マイナスで終ろうとしている。

年初来で、CTAs/マネージド先物指数は4.21%、マクロ指数は2.55%低下しており、双方とも、2000年以来初の前年比マイナスが確実である。債券指数は0.37%上昇しているとはいえ、これも2008年以来最悪の数字だ。

しかも、投機筋がドル、イールドカーブに関連するトレードでおおむね正しい方向を選択していたにもかかわらず、この不振である。こうしたトレードにおいては、米連邦準備理事会(FRB)が米国の金融政策を今後どの程度引き締めるかという判断が軸になる。

2─3週間前まで、FRBは来年少なくとも3回は利上げを行う決意を固めているように見えた。経済成長は安定しており、失業率は50年ぶりの低水準、経済データもほとんどがかなり堅調であるようにみられる。

だが市場はこうした「グラスにはまだ半分水が入っている」式の楽観論をあまり支持していない。ヘッジファンドは先月以来、米2年債のショートポジションを拡大しており、現在36万1560枚と過去最高まで1000枚以内に迫っているが、長期債券についてはショートポジションを大幅に絞り込んでいる。

結果として、ヘッジファンド業界は全体としてイールドカーブのフラット化の方向に賭けているわけだが、まさにそれがここまで展開されている状況である。短期金利側では、3年債/5年債のようにすでに逆転が生じている部分さえある。

イールドカーブのフラット化に賭けるポジションが解消されるとすれば、まずは短期寄りの部分が先行する可能性が非常に高い。ヘッジファンドによる10年債先物のネットショートポジションは29万3186枚というかなりの規模だが、9月には75万枚超のショートだったことは想起すべきである。

実は1年前、ヘッジファンドは10年債についてロングポジションをとっており、イールドカーブのこの部分でのポジションを極端と呼ぶのは当たらない。

ヘッジファンドによるドル投資は限界に近づいているように思われる。FRBの来年の方針が不透明になっているだけになおさらだ。このところパウエル議長以下のFRB当局者は、金利が「中立に近いものに」なる可能性を示唆しており、もはや為替市場は、2019年中に0.25ポイントの利上げさえまったく織り込んでいない。

だが、仮にFRBが来年利上げのペースを緩めるとしても、ユーロ圏、英国、日本における来年の金融政策が、意味のある程度に引き締められる可能性は依然として小さい。

したがって、金利から見たドルの優位は、もうしばらくは続く可能性が高い。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

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