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コラム

コラム:インド原発推進合意、米大統領の抜け目ない布石か

[シンガポール 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - オバマ米大統領がインドに与えた原子力発電所関連の合意というプレゼントは、抜け目のない投資のようだ。事故が起きた場合に原発メーカーを賠償責任から守る仕組みで合意することにより、実質的にインドの原発建設計画に突破口を開いた。より大きな狙いはインドのエネルギー危機に終止符を打つことにある。

 1月26日、オバマ米大統領(左)がインドに与えた原子力発電所関連の合意というプレゼントは、抜け目のない投資のようだ。写真右はモディ印首相。ニューデリーで25日撮影(2015年 ロイター/Adnan Abidi)

オバマ氏とモディ・インド首相との会談初日に交わされたこの合意で、日立製作所6501.Tと米ゼネラル・エレクトリック(GE)GE.Nの連合、東芝6502.T傘下の米ウェスチングハウス、仏アレバAREVA.PAといった原発メーカーに新規注文が舞い込む可能性がある。インドでは合計約4ギガワット(GW)規模の新原発が建設中で、今後10年間でさらに40GW分の新設が計画されている。この半分が建設されただけでも契約額で350億ドルに相当する。

しかし米企業にとってより大きな魅力を秘めているのは、モディ首相の「メーク・イン・インディア(インドでものづくりを)」キャンペーンに活を入れることかもしれない。インドの製造業大国入りを阻む最大で唯一の障害が、電力不足だ。貧しく、労働力の余剰に苦しむインド北部の電力供給は昨年12月、需要に比べ6%不足していた。

モディ首相は今後とも、石炭採掘の拡大を最優先課題に掲げ続けるだろう。しかし原発はそれを支える重要な役割を果たしそうだ。インドの総電力消費量に占める原発の割合は現在わずか3%。核分裂物質の世界市場において、インドがのけ者扱いされていた時代の後遺症だ。2008年の米印原子力協定調印をもってこの状態には終止符が打たれた。しかしインドが2010年、世界的原発メーカーに事故の賠償責任を負わせる法律を成立させると、原発建設計画は立ち往生した。

インドの国営保険会社が賠償責任の一端を担う妥協策にオバマ氏が合意したことで、モディ首相は動きやすくなった。保険料の規模は明らかでないが、この措置はメーカーからインドの納税者へのリスク移転のようにも見える。大統領はまた、国際的な保証下にあるインドの原子力施設を監視する権限を保持する要求も取り下げた。

インドの原発の発電能力が現在の5ギガワットから倍増すれば、モディ首相が再選を目指す2019年までに、インドでの低コスト生産が実現する可能性は高まるだろう。昨年まで米国にとって歓迎すべからざる人物だったモディ氏を支えることで、オバマ大統領はインドでの事業機会に布石を打った格好だ。

●背景となるニュース

*インドを訪問したオバマ米大統領は25日、インドへの原発輸出を推進する合意を結んだ。

*インドが2010年、日米などの原発メーカーに事故の賠償責任を負わせる法律を制定したことで、原発輸出は頓挫していた。今回の合意により、金銭的なリスクはインドの国営保険会社が負担することになった。

*インド紙の報道によると、オバマ大統領は国際原子力機関(IAEA)の保証措置下にあるインドの原子力施設を米当局が監視する要求も取り下げた。

*インドは発電量に占める原発の比率を現在の約3%から2032年には6.4%に高める意向。

*昨年12月のインドの電力供給は需要を3.2%下回り、北部と北東部では電力不足が6.4%に達した。

*インドのエネルギー需給についての公式統計は以下のアドレスをクリックしてご覧ください。

bit.ly/1uufV6Q 

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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