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コラム:世界の中銀、信用バブル抑制に今こそ利上げを
2017年6月29日 / 05:15 / 5ヶ月前

コラム:世界の中銀、信用バブル抑制に今こそ利上げを

[北京 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中央銀行が徐々に目を覚まし、何が最も重要な課題なのかを自覚しつつある。朗報だ。しかし問題は、その課題に対処する上で最適な手段である利上げが経済的に危険なばかりか、政治的にも不人気なことだ。だからといって手をこまねいていれば、さらに大きな危険を招いてしまう。

 6月28日、中央銀行が徐々に目を覚まし、何が最も重要な課題なのかを自覚しつつある。写真はイエレン米FRB議長。ワシントンで昨年11月撮影(2017年 ロイター/Gary Cameron)

中銀にとって最大の課題はインフレでもデフレでもない。理由は判然としないが、ここ数十年というもの世界的に物価と賃金は落ち着いており、従来の中銀の責務や考え方は間尺に合わなくなってきた。

特に2008年の世界金融危機に至る歳月、中銀は物価ばかりに目をとらわれて巨大な信用バブルを見過ごしてしまった。

覚醒した中銀は、信用バブルの再来を警戒し、いわゆるマクロプルーデンス規制を通じて貸し出しの質や慣行への締め付けを強めた。また過去9年間金融引き締めを避ける理由を探し回ってきた背景にはー中銀は認めたがらないがー恐ろしい信用収縮を招くことへの恐怖があった。

中には信用が抑制されている国もある。国際決済銀行(BIS)の計算によると、国内総生産(GDP)に対する民間債務の比率は2007年以来、米国で16%ポイント、英国で13%ポイント、それぞれ低下した。不動産価格が暴落したスペインでは実に39%ポイントも縮小している。

しかしその他の国々は盛大に借り入れを続け、世界的に見ればこの比率は23%ポイント上昇して138%となっている。「主犯格」の中国では比率がほぼ倍増し、カナダ、フランス、韓国、ポーランド、スイス、トルコでも30%ポイント以上拡大している。

BISは他にも過度の信用拡大を示す兆候を指摘している。世界の貿易、証券投資フローに占める短期のドル調達への依存度は高止まりしている。ディスインフレが潜在的な危険を増幅させている。名目成長率が低下すると不良債権問題に拍車が掛かる傾向があるためで、イタリアがその好例だ。

今にして思えば、10年にわたる超低金利は失策だったようだ。実体経済の回復の遅さを見れば、金融緩和の景気刺激効果はぱっとしない一方で、多くの国々で危険な信用拡大の再燃、あるいは継続を後押ししたのはほぼ間違いない。金融資産の上昇が続くとの期待もあおった。そうした期待が根付けば根付くほど、期待が裏切られる確率も高まる。

しかし、この失政をただすのは容易ではない。金利を急速に引き上げれば直ちに金融危機を招きかねない。

とはいえ、政策金利は間違った水準にあり、もっと適切な水準に動かす必要がある。過剰信用を抑制する上でマクロプルーデンス政策は一助となるが、いつまでも満ち潮に逆らえるわけではない。利上げによって借金による投機の魅力を低下させれば、世界に恩恵をもたらす。

一方で、再び世界経済を深刻な景気後退に陥れることは回避が可能だ。リーマン・ショック後の最大の問題は、信用サイクルの急激な逆回転ではなく、企業と消費者の信頼感が急低下したことだった。この過ちを繰り返してはならない。

世界が協調して着実に利上げを進めれば、一部の金融機関はおかしくなってしまうかもしれない。それでも当局は金融機関に対し、過剰な信用の巻き戻しと損失の確定を促す一方で、財政政策を用いて貿易、雇用、投資、預金を守ることができる。

低金利はかつてのような景気刺激効果を失ってしまった。今こそ借り入れコストを大幅に引き上げる時だ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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