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コラム:伊銀の救済で試されるEUの「ベイルイン」制度
2017年6月20日 / 06:24 / 5ヶ月後

コラム:伊銀の救済で試されるEUの「ベイルイン」制度

[ロンドン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧州連合(EU)が導入した銀行のベイルイン制度(破綻時に投資家に一定の損失負担を義務付ける仕組み)の柔軟性が、イタリアによって試されている。

 6月19日、EUが導入した銀行のベイルイン制度(破綻時に投資家に一定の損失負担を義務付ける仕組み)の柔軟性が、イタリアによって試されている。写真は、救済が必要なバンカ・ポポラーレ・ディ・ビチェンツァの看板。ローマで3月撮影(2017年 ロイター/Alessandro Bianchi)

EUの規制当局は、イタリア政府による地銀2行の救済計画阻止を示唆し、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)(BMPS.MI)の救済策も実現が難航している。それでもイタリア政府は、何らかの方法で支援しなければならないかもしれない。

欧州委員会は、経営危機の銀行に公的資金を投じることを認めているものの、あくまで民間投資家も資金を拠出する場合に限られる。それがイタリアでは厳しいハードルになっていることは明らかだ。

モンテ・パスキの救済策についてはEUの承認が既に得られたが、額面260億ユーロの不良債権を買い取ってくれる投資家を探す必要がある。支援者候補に上っていたフォートレス・インベストメント・グループとエリオット・アドバイザーズは買い取り交渉を打ち切ったと伝えられたばかり。しかし金融業界の出資で設立された支援基金「アトランテ」がより多く負担するつもりなら、まだ解決策がまとまる余地は残っている。

バンカ・ポポラーレ・ディ・ビチェンツァ、ベネト・バンカという地銀2行の救済になると、話がもっと難しくなっている。欧州委は、総額64億ユーロの救済資金のうち少なくとも12億ユーロは民間セクターの拠出が望ましいという意向だ。ラ・スタンパ紙が18日伝えたところでは、今のところ他の銀行は支援を拒絶しており、EUは救済計画を承認しそうにない。

別の選択肢としては、スペインのバンコ・サンタンデール(SAN.MC)によるバンコ・ポピュラール買収にならう方法が挙げられる。EU規制当局は、ポピュラールの株式と劣後債などを償却し、残りの資産を1ユーロでサンタンデールに売り払った。

イタリアにこのやり方を用いるなら、大手行のインテーザ・サンパオロ(ISP.MI)が2行を買収することになるだろう。とはいえ、なお実現の道のりは険しい。株式と劣後債の合計44億ユーロを償却すれば、不良債権と問題債権の引当金増額分は何とか賄えるかもしれない、とドイツ銀行は試算している。ただしこれでは将来発生するさらなる損失をカバーできる余地はほとんど残っていない。2行がいわくつきの融資を実行してきた点を踏まえれば、これから新たな損失が出てもおかしくないし、訴訟リスクに見舞われる恐れもある。損失が拡大すれば、シニア債の保有者や最終的には預金者も負担を強いられかねない。

経営難の各行を解体し、優良資産を売却して不良資産だけを残す手もある。そうなるとイタリア政府は恐らく、受け皿銀行のための資金を準備しなければならない。もっとも規制当局は、存続したままの銀行を救済するよりもそうした解体による処理の方が好ましいと考えるのではないか。いずれにせよ事態の結末がどうなるかは、EUがベイルイン制度をどの程度裁量的に運用するつもりなのか次第になるだろう。

●背景となるニュース

*欧州委員会は、経営難のバンカ・ポポラーレ・ディ・ビチェンツァとベネト・バンカに対するイタリア政府の公的資金注入計画に待ったをかけている。イタリア紙ラ・スタンパが18日伝えた。

*ラ・スタンパによると、この2行の不良債権が償却された段階で、インテーザ・サンパオロが買収する可能性を模索している。

*イタリア政府は2行に対して、他の銀行による12億ユーロの出資を含めた総額64億ユーロの救済案を取りまとめていた。

*関係者がロイターに語ったところでは、米プライベートエクイティ・ファンドのフォートレスとエリオットは、モンテ・パスキから不良債権を購入する交渉を打ち切った。モンテ・パスキの公的救済計画には痛手。モンテ・パスキは公的救済を受けるための条件として、260億ユーロの不良債権を民間投資家に売却する必要があり、その一部をフォートレスとエリオットが買い取ることを協議していた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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