May 8, 2020 / 3:12 AM / 17 days ago

コラム:封鎖解除で経済いつ回復、2022年まで望み薄の理由

[ロンドン 6日 ロイター] - 下降局面からどのような形で経済が回復するかという予測は、エコノミストの間で盛んに行われる手法の1つだ。新型コロナウイルスの影響で経済の落ち込みが鮮明な足元では、こうした動きがまた活発化してきた。

 5月6日、下降局面からどのような形で経済が回復するかという予測は、エコノミストの間で盛んに行われる手法の1つだ。写真はニューヨークで、ガラス越しに娘と対面する医療従事者。4月11日撮影(2020年 ロイター/Joy Malone)

一部のエコノミストは、ロックダウン(封鎖)が解除された後にかなり急速かつ完全な「V字型」の回復を期待している。他方、回復時期が遅くなる「U字型」、二番底に見舞われる「W字型」を見込む声も聞かれる。

さらに野心的な人々は、「チェックマーク型」ないしは「ナイキのマーク型」という新たな概念を打ち出している。

だが、実際に経済と原油市場の双方で起きる公算が大きいのは、当初速いスピードで部分的に回復し、その後は回復ペースが鈍り、より困難な局面を迎えるという姿だ。

そうなれば、2008/09年の景気後退(リセッション)後に似た事態が予想される。当時はまず、09年終盤から10年序盤に急成長が到来し、11/12年は期待外れでセクターごとに差のある回復になった。

<リセッションの起点>

「リセッションの期間は、経済活動が広範囲にわたって相当落ち込み、数カ月から1年余り続く可能性がある」と全米経済研究所(NBER)は定義している。

NBERは民間機関だが、米国の景気循環日付を正式に認定する役割を持っており、通常は景気の山と谷が誰の目にも分かるようになってから、正確な日付を公表する。そのためリセッションや景気回復の起点も、実際の数カ月後、あるいは1年以上先まで明らかにされないこともある。

前回のリセッションの起点である07年12月が発表されたのは11カ月後、09年6月とされる景気回復の起点発表は15カ月後だった。

ある意味で、直近の経済活動の落ち込みが始まった時期は特定がずっと簡単だ。ほとんどの指標は、米国の経済活動が2月まで拡大し、3月に急低下して、4月にもっと深刻な状態になったことを示唆している。

ロックダウンによって、128カ月と非常に長期にわたった景気拡大が突如幕切れを迎えたが、しばらくそれなりの余勢が見受けられた。だから標準的な定義に基づくと、2月か場合によっては3月が景気拡大のピークであり、縮小の始まりと言える。

<異例の落ち込み>

より厄介な問題は、この突然の経済活動の不振が果たしてリセッションといえるのか、それとも別の何かということだ。

3月と4月が、NBERのリセッションの定義にある「経済活動の相当な落ち込み」に該当するのは間違いない。何しろ1930年代以降で最もひどい落ち込みだった。

しかし、「広範囲にわたって」落ち込んだかどうかについて、3月と4月が明確にそうだとはいい難い。

リセッションは、経済活動や所得、雇用が縮小することで、ほんの数世帯から社会の幅広い部分へと、まるで疫病のように浸透していく。通常は当初のショックが次第に増幅され、数次の破綻や失業、所得減などが起きるとされる。つまり疫病と同様に、初期のショック(ないし感染)が企業と家計の関係性を通じて拡大し、加速する。

それゆえリセッションは、見通しやさまざまな通説が重要な役割を果たす社会プロセスであり、地震のような自然災害や戦争などの人為的な破局とは一線を画す。

となれば3月と4月の出来事は、多くの企業が新型コロナ対策として活動停止を命令されたという意味で、リセッションの定義に都合よくは当てはまらない。

逆にこれをリセッションとみなすなら、08/09年だけでなく過去100年間のあらゆるリセッションとは、非常に違った様相を呈している。

<経済的距離>

今年3月と4月の出来事を正確に特徴付ける作業が重要なのは、それが景気循環の面で次にやってくる局面を決めることになるからだ。

もし、単に経済活動が小休止しただけなら、経済は素早く持ち直すかもしれない。落ち込みの深さが過去最大級だったとしても、期間が記録的に短ければ、本格的なリセッションと呼べるかどうかも怪しくなる。

極端な例を挙げて説明すると、経済活動の水準が2月にピークを付けた後、3月に落ち込んで4月に底を打ち、ロックダウン緩和や一部企業活動再開に伴って5月に再び上向き始める。

標準的な定義に直すとリセッションは2月に始まって4月に終了するので、期間はわずか2カ月となる。

経済が未曽有のスピードで悪化した以上、恐らく同じスピードで改善するのではないかと、政策担当者は期待している。各国の財務省や中央銀行は、経済にダメージが残るのを防ごうとして企業や従業員に空前の支援措置を講じた。

こうした政策は、明らかに新型コロナの感染を抑える間は、経済を冬眠状態かそれに近い省エネ状態にとどめ、感染拡大による悪影響が持続しないようにすることを狙っている。各国は異例の政策によって、リセッションを伝播させる社会的な関係性や依存性を断ち切ろうとしたのだ。

公衆衛生当局がソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保で新型コロナを封じ込めようとしているが、財政金融当局は、エコノミック・ディスタンス(経済的距離)を生み出して、リセッションの回避を目指しているといえる。

この戦略では、大規模な資金供給や所得支援が、普段は非常に高い企業の売上高と経済情勢の相関性、雇用と家計支出の相関性を低下させる目的で使われている。

<ロックダウンの巻き戻し>

経済的距離の確保に成功すれば、企業活動は数カ月以内に元気を取り戻し、落ち込みを類のないほど短期間にとどめられる。

ただし、ロックダウンの経済的な悪影響を迅速かつ完全に払しょくできるようにするには、企業活動への2次的な波及を最小限に抑え、所得と支出のパターンをほとんど変化させないようにする必要がある。

政府は雇用・所得・支出の前向きな循環メカニズムを維持し、ロックダウン解除後の経済をロックダウン前とほぼ同じ状態にしなければならない。

もっとも現実的にそうした条件を達成できそうになく、ロックダウンを着実に解除していっても、悪影響はかなり尾を引くと考えられる。ロックダウンが長引くほど、企業活動への2次的波及も大きくなる。ロックダウン後の世界でソーシャル・ディスタンスの必要性が高まるほど、痛みを伴う構造変化の度合いも強まる。

ロックダウンが解除されて一部の影響はすぐになくなっても、別のいくつかの影響を消し去るのはずっと難しいだろう。一時帰休対象だった従業員の中でも、職場復帰できる人もいれば、失業してしまう人も出てくる。企業も同じで、すぐに事業を再開して以前と変わらない売上高を得られる向きばかりでなく、立ち直るまでに何カ月も何年もかかったり、事業を全く再開できなかったりするケースも想定される。

<複数段階の回復>

結局、景気回復はいくつもの段階に分かれる形になりそうだ。

最初は、一部企業が全面的に、あるいは部分的に事業を再開することで、力強く急速な成長が見込まれ、石油消費も素早く伸びる。

しかし、この局面が終わる時点でも、企業活動と石油消費はロックダウン前の水準よりずっと低いままで、フル稼働できなかったり、稼働率ゼロの企業も残ったりして、一時帰休していた従業員の中から失業者が出てくるだろう。

最初の局面は数カ月程度で終了し、次の回復はより緩慢でばらつきがあるとみられる。ロックダウンの2次的波及で売上高や雇用が打撃を受けた分野の企業と家計が、再建を図ろうとするのだが、再建は再開するよりも難しい。つまり企業と家計は、より長期にわたって、もっと大きな支援が必要になる。

景気回復が素早く始まったとしても、経済活動と石油消費は2021年がかなり経過した時点、あるいは22年になるまで、コロナ前の水準を大幅に下回った状態が続く恐れがある。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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