September 19, 2019 / 10:28 AM / a month ago

コラム:日銀の政策対応余地広がる、10月緩和の鍵握る米中協議

[東京 19日 ロイター] - 市場が注目していた日米の中銀イベントをこなし、日経平均.N225は2万2000円台を維持し、ドル/円JPY=EBSは107円後半から108円台で取引された。懸念された株安・円高は「杞憂」となり、日銀は次回10月会合に向け、政策判断の余地が広がったのではないか。

 9月19日、市場が注目していた日米の中銀イベントをこなし、日経平均は2万2000円台を維持、ドル/円は107円後半から108円台で取引された。写真は日銀本店。2016年7月29日、東京で撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

そこで影響を与えるのが、10月上旬に開催される米中貿易協議だ。決裂して市場が失望し、株安・円高に振れれば、追加緩和の可能性が高まる。その一方、継続協議でも市場が好感してリスクオン相場になれば、現行の緩和政策の効果をさらに見極める展開になりそうだ。

<日米中銀イベントこなし市場安定>

19日の金融政策決定会合後、日銀は公表文の最後に、物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれについて「より注意が必要な情勢になりつつあると判断している」と明記。その上でこうした情勢にあることを念頭に置きながら、次回会合では「経済・物価動向を改めて点検していく考えである」との表現で締めくくった。

複数の市場筋によると、円債市場では次回会合での追加緩和期待が高まって、10年最長期国債利回りJP10YTN=JBTCはマイナス0.230%まで低下した。

一方、日経平均は午前10時前にこの日の高値の2万2255円を付けたが、日銀の決定内容が公表された後の午後零時50分にいったん2万2003円まで下落。ドル/円も午前の108円から一時107円後半へと円高に振れ、円債市場とは違った反応を示した。

ただ、結果としてみれば、日銀が最も懸念していた「政策維持に失望した」大幅な株売り・円買いは回避された。

直前の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、25bpの利下げが実施され、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が会見で連続利下げの可能性をにじませても、急速に円高が進み、つれて日本株が売り込まれることもなかった。

日銀は、一連のイベント通過後の市場動向も踏まえ、政策対応に関する「フリーハンド」の幅がより広がったと認識したのではないか。

<9月短観・支店長会議、緩和の材料検証へ>

確かに米中貿易摩擦の激化によって、世界的に貿易量の伸びが急速に鈍化。米中以外の国々でも輸出の不振によって、製造業の業績にブレーキがかかっている。この日の日銀の声明文でも「輸出は弱めの動き」と言い切った。

また、黒田東彦日銀総裁は19日の会見で、金融緩和に関し「前回会合より前向きになったかと言えば、そのとおり」と指摘した。

ただ、個人消費が総じて底堅い動きを見せ、非製造業の業績は概ね堅調であり、設備投資全般にも、大きな逆風が吹きつけている様子は、ここまでの統計データには出てきていない。

したがって弱い製造業と堅調な非製造業の「綱引き」の結果がどちらに傾くのかは、10月1日に公表される9月日銀短観の結果を精査した上で、慎重に判断したいと日銀は考えていると予想する。

また、10月15日に開かれる日銀支店長会議における各支店長からの報告を受け、短観の結果をさらに詳細に検証し、追加緩和が必要なほど、企業や消費者の心理が悪化しているのか、実際に需要が落ち込む予兆を見せているのか──などを検証することになるだろう。

今のところ、「モメンタムが損なわれるおそれ」が顕在化するほど、悪い材料が短観や支店長会議を契機に表面化する可能性は小さいと思われる。

しがたって「経済・物価動向を改めて点検していく」と声明文で明記されたことが、次回会合での追加緩和を「約束」したことにはならない。

<米中協議中断なら、追加緩和の流れ>

だが、日銀の判断に大きな影響を与えそうな大きなイベントが、10月上旬に控えてい。米中の閣僚級による貿易交渉だ。19日から次官級協議がスタートするが、早期に決着するか予断を許さない。

仮にトランプ米大統領自身も言及した「暫定合意」が成立したり、合意に達しなくても「協議継続」が明らかになれば、リスクオン心理が台頭し、世界的に株高が進行。そのケースでは、ドル/円でも円高にはならず、もう1回、内外の経済情勢をウオッチする「時間的」余裕が、日銀に与えられると予想する。

一方、米中交渉が事実上の中断に追い込まれ、トランプ大統領から一段と強硬な政策が対中国で発動された場合、リスクオフ心理が拡大。東京市場では株安・円高に直面している可能性が高いだろう。

その場合は、黒田総裁の決め台詞である「ちゅうちょなく」追加的な緩和措置を講じ、短期金利のマイナス「深掘り」も辞さず、思い切った複数の緩和手段が組み合わされた内容が公表されることになる。

言い換えれば、米中交渉の行方次第で、日銀の対応は全く違った展開になるということだろう。

次回の10月30、31日までに何が起きているか──。影の主役はトランプ大統領かもしれない。

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