April 1, 2020 / 10:40 PM / in 4 months

コラム:コロナで消える日用品セール、デフレ圧力も同時に再来

[東京 1日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大が、日本の物価にも「悪さ」をしでかそうといている。「首都封鎖」などの思惑で消費者が買いだめに走り、スーパーでの日用品のセールが姿を消す一方、それ以外の広範な分野では「移動制限」による需要急減で需給バランスが悪化。デフレ再現的な値下げ圧力が膨張し出している。

 4月1日、新型コロナウイルスの感染拡大が、日本の物価にも「悪さ」をしでかそうといている。「首都封鎖」などの思惑で消費者が買いだめに走り、スーパーでの日用品のセールが姿を消す一方、それ以外の広範な分野では「移動制限」による需要急減で需給バランスが悪化。デフレ再現的な値下げ圧力が膨張し出している。写真は3月29日、東京で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

コロナショックが長期化するようなら、日用品価格の値上げが続きながら、それ以外の需給バランス悪化を起点とした雇用不安と値下げという「ねじれ現象」が起きかねない。コロナ禍は、所得格差をさらに拡大させる方向で作用する厄介な存在だ。

<3月消費急減、スーパーは活況>

新型ウイルス感染がまだ深刻化していなかった3月前半、すでに街中の消費には、大きな異変が起きていた。ナウキャストとジェーシービーが共同で行っている「JCB消費NOW」の3月前半(3月1日─15日)を対象にした調査では、総合消費指数が前年比マイナス7.7%と大幅に低下した。

業種別では、遊園地が同マイナス53.1%と大きく落ち込んだのを筆頭に、映画館や航空旅客、鉄道旅客、ビジネスホテル、居酒屋などが同マイナス20%台から10%台と軒並み客足が遠のいた。

対照的にトイレットペーパーやティッシュペーパーの品薄懸念などで、レジ前の列が目立ったスーパーは、同プラス14.0%と突出して好調だった。

<日用品のセール、姿消す>

この強烈な明暗が、早くも物価面で「ねじれ現象」を発生させている。スーパーの値引き対象の常連だったティッシュペーパーなどの紙類は、解消されない品薄の影響を受けて「定価販売」が継続。コメもひとり当たり1袋(2キロ入り)などの制限付きで販売しているところもあり、「コメ離れ」で特売という風景は、あっという間に過ぎ去ってしまった。スパゲティや即席めんなど保管ができる食品も品薄が多く、直近ではセールの対象から外されている。日用品の価格は、セールがなくなったことでジワリと上がってきた。

一方、大手スーパーの中には、宴会自粛で需要を失ったタイや伊勢エビ、メロンなどの高級食材を市場価格の半分近くに値下げして販売する「特別セール」を展開しているところもある。

「移動規制」は消費の最先端の需要を奪い、販売のチャンスを失った商品が今、あふれかえる状況になっている。こうした「余剰在庫」を安く買ってアウトレットでの販売用に転売するビジネスは、にわかに活況となっている。

<自粛の影響、非日用品で幅広く>

一方、SUBARU(7270.T)は1日、新型コロナウイルス感染拡大を受け群馬製作所(本工場、矢島工場、大泉工場)を11日から5月1日の間操業停止すると発表した。

外出自粛の要請がいつまで継続するのか不透明では、「今」、自動車を買おうとする人が激減するのも当然と言える。自動車に限らず、耐久消費財の消費は、コロナ終息のメドが立つまで、回復するのは難しいだろう。日用品を除く他のモノの需要は当面、減少傾向に歯止めをかけるのが難しい。

また、サービスはそれ以上に「移動規制」の制約を受け、売り上げがゼロとなっているところも少なくない。サイト上でのホテル料金は、急速に低下しており、緊急事態宣言が出ない状況でも、サービス価格の値崩れは継続しそうだ。

<デフレ圧力が急速拡大のおそれ>

マクロ的な視点からの警鐘も出ている。3月31日の経済財政諮問会議で、民間議員は需給ギャップが20兆円規模で供給超過になる可能性に言及した。デフレ圧力の増大は、国内物価の全般的な押し下げ圧力になってしまう。

JPモルガン証券・チーフエコノミストの鵜飼博史氏は、東京が1カ月間にわたってロックダウンされると実質国内総生産(GDP)は2020年4─6月期に前期比・年率マイナス17.0%と歴史的な縮小になると1日付のリポートで明らかにした。

グローバルに見ても、米欧では都市封鎖が続いており、仮に日本企業が生産を維持したとしても、売り先に困るような状況だ。

そこにサウジアラビアの原油増産方針が加わり、原油価格は1バレル=20ドル近辺での低迷を余儀なくされている。

物価面から見ると、黒田東彦総裁が日銀のかじ取りを始めてから、最大の下落圧力がかかる局面がやってくるかもしれない。

<低所得者へのしわ寄せ顕著に>

この先、中小・零細企業による従業員解雇の動きが表面化している可能性があり、雇用情勢も風雲急を告げる展開になっているリスクがある。その中で都市封鎖への懸念や、実際に封鎖が実行された後の物流への懸念から、消費者が買いだめに走ると、日常品の品薄が表面化。その分野だけの「値上がり」が起きているかもしれない。

この現象は、相対的に所得の低い階層に「つらい状況」を作り出す。つまり所得階層で上位の者が相対的に痛みが軽く、下層ほど痛みが強くなるという階層格差の拡大を促しかねない。コロナショックは、こうした悪さを社会に生み出すかもしれない「厄介」なウイルスだ。

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編集:石田仁志

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