June 15, 2020 / 9:56 AM / 23 days ago

コラム:夏休みの国内旅行、想定超える不調か GDPにも打撃

[東京 15日 ロイター] - 今年の夏休み期間中、旅行に出かけようとパック商品などを予約した人は、前年に比べ大幅に減少しているもようだ。渡航が制限されている海外から国内へのシフトが進む可能性も一部で指摘されていたが、その思惑は空振りに終わりそうだ。旅行やレジャーの需要が弱いままでは、回復が期待されていた7─9月期の国内総生産(GDP)が、大幅減とみられる4─6月期から横ばいとなる可能性も出てきた。

 6月15日、今年の夏休み期間中、旅行に出かけようとパック商品などを予約した人は、前年に比べ大幅に減少しているもようだ。渡航が制限されている海外から国内へのシフトが進む可能性も一部で指摘されていたが、その思惑は空振りに終わりそうだ。写真は6月4日、東京の羽田空港で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

<夏休みの国内旅行は絶不調、海外からのシフト効果見えず>

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、現在も都道府県をまたいだ移動は「自粛」を求められており、旅行・宿泊などの業種は最も打撃を受けてきた。ただ、6月19日からはビジネス目的などの移動が認められ、7月10日以降は観光目的の移動規制も緩和される。

観光目的の海外渡航の制限がいつ緩和されるのか不透明な中、海外旅行から国内旅行へのシフトがあると一部では期待され、今年の夏休みの旅行は急回復する可能性もささやかれていた。

しかし、JTBや日本旅行、エイチ・アイ・エス(9603.T)などのパック旅行を取り扱う企業は、予約状況データの「公表はしない」と口をそろえる。数字だけでなく、予約の「出足」などに関するコメントもしないというところもあったほどだ。非公式な話を総合すると、夏休みの旅行の予約状況は「極めて低調」らしい。4─5月はほとんど予約や売上実績がなく、6月に入って少し予約が入ってきた商品もあるが、前年と比較すると「超大幅」なマイナスが続いているようだ。

<学校の夏休み短縮も影響>

夏休みの国内旅行の消費額は、おおむね2兆6000億円から3兆円規模とみられているが、このままでは前年を大幅に下回ることが確実な情勢だ。予想を超える不調の要因として、1)交通機関や宿泊施設での感染リスクに対する懸念、2)小中学校の夏休み短縮や休み予定の不透明さ、3)政府の「GO TO キャンペーン」が委託経費の見直しなどで8月以降の実施となったこと──などを複数の旅行関係者は指摘する。

そこに海外旅行客の大幅減少が追い打ちをかける。昨年7月は299万人、8月は257万人が日本を訪れたが、現状では前年比99%近い減少が見込まれる。

<県民キャンペーンには強い需要>

ただ、旅行の安全・安心に関しては、消費者の心理に変化が起きている兆しもある。例えば、県内旅行はすでに「解禁」されているため、多くの府県で「県民キャンペーン」という補助金を出すイベントを実施している。長野県では「ふっこう割」の名称で1人最大5000円の補助金を出し、県内の宿泊利用促進を図っている。日本旅行によると、この補助金を利用できる同社のパック商品は完売した。「旅行に対する安全・安心の気持ちは、着実に向上してきている」(日本旅行広報担当者)と手応えを感じている。

とはいえ、「GO TO キャンペーン」が7月に適用できないのは「正直言って痛い」という声が、旅行業界からは出ている。最大で1万6000円がパック旅行代金から割り引かれ、現地の土産物購入で4000円の割引を受け、合計2万円の補助が出るというのが標準的な同キャンペーンの中身。かなり「お得感」があるだけに、その中身が決まるまで旅行の予約は手控えるという「様子見」客も多いと言われている。

<7─9月期の個人消費に打撃>

日本旅行業協会の試算によると、年間の宿泊消費額はGDP比で3%台を占めている。このまま夏休みの旅行やレジャーが低調に推移した場合、7─9月期の個人消費が大きな打撃を受けることは必至だ。

春闘で夏のボーナスを決めた企業を除き、中小・零細企業を中心に夏季ボーナスが大幅に減少する企業が多くなるとみられ、所得面からも個人消費の伸び悩みが予想される。

さらに企業の設備投資意欲は、世界的なコロナ感染の第2波襲来リスクを意識して低調に推移。外需も15日に発表された中国の5月小売売上高が前年比2.8%減になるなど、V字回復を期待されていた国でさえ予想を下回る伸びとなっており、GDPへの大幅なプラス寄与は難しい状況だ。

こうみると、前期比・年率で20%─25%のマイナスと予想されている4─6月期GDPを底に7─9月期は反転するとの見通しは、相応の下方修正リスクに直面していると言えるのではないか。

2020年度第2次補正予算には10兆円の予備費が盛り込まれているが、GDP成長率が持ち上がらない中では、企業の経営破綻が中小・零細を中心に増加し、その対応費用として想定よりも早く「使い切る」ことも想定しておくべきだ。

その先には、第3次補正予算の編成を求める声が与野党を超えて広がる展開が予想される。夏休みの旅行不調は、日本経済の先行きを暗示する「メタファー」になるかもしれない。

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編集:山川薫

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