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コラム

コラム:双方の勝利宣言はあるか、訴訟視野の米大統領選と市場の波乱

[東京 23日 ロイター] - 米大統領選は「最後の直接対決」となった22日のテレビ討論も終了し、11月3日の投開票へ向け大詰めを迎えた。4年前は日本時間で投票日翌日の夕方にはトランプ氏が勝利宣言を行ったが、今回はトランプ大統領とバイデン前副大統領の双方が、勝利宣言をする異例の事態になるかもしれない。郵便投票が3000万票を超え、トランプ大統領が違法性を指摘して訴訟に持ち込む姿勢を示しているからだ。

 米大統領選は「最後の直接対決」となった22日のテレビ討論も終了し、11月3日の投開票へ向け大詰めを迎えた。写真はカリフォルニア州ウエストハリウッドのバーで、大画面に映された討論会のライブ映像(2020年 ロイター/Mario Anzuoni)

選挙結果の適法性を巡る争いが連邦最高裁まで持ち込まれた場合、決着が年末ないし新年に持ち越される可能性を指摘する専門家もいる。「当選者不在」が長期化すれば、リスクオフによる株安やドル安・円高を心配する声も出ているが、米欧日の中銀による超金融緩和策によってマネーが潤沢に供給されており、リーマンショックのような暴落はないと予測する声も少なくない。果たして超緩和策は、セーフティネットになりうるのか──。

<史上最多の投票数に>

22日のテレビ討論後も、全米規模でのバイデン氏のリードは変わらないと米国内のメディアは速報している。「バイデン優勢」は市場でも主流の見方になっているが、今回は11月3日を迎えても、当選者が簡単に決まらないという事態が待ち受けていそうだ。

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない米国では、郵便投票の数が急増している。22日現在で郵便投票は3300万票を超え、期日前投票に行った有権者も1400万人を突破した。フロリダ大の政治科学教授、マイケル・マクドナルド氏はロイターの取材に対し、投票総数は過去最多だった4年前の1億3700万票を上回り、1億5000万票に達するとの見通しを示した。

ここで最初に問題になるのが、郵便投票分の開票作業が遅れそうだという点だ。すでに開票作業が始まった州もあるが、11月3日の時点で開票できていない「残票」が多くなり、全米規模での結果判明に2週間以上かかるとの予想も、選挙問題の専門家から出ている。

<3000人の法曹家囲い込むトランプ陣営>

さらに問題なのは、トランプ大統領とその陣営から、郵便投票は「不正の温床」との指摘が出ていることだ。今のところ、明確な証拠は示されていないが、トランプ陣営では郵便投票は「無効」との訴えを激戦州で起こす構えを見せている。トランプ氏自身も選挙の結果は、連邦最高裁に持ち込まれるとの見解をすでに示している。

米大統領選の事情に詳しい日本人の関係者のひとりは「トランプ陣営は、訴訟に備えてすでに3000人の法律専門家を囲い込み、法廷闘争で勝つ姿勢を示している」と話す。

その関係者によると、11月3日の段階で、実際に投票所に足を運んだ有権者の数は、勝敗を左右するフロリダ、ペンシルべニアなど6州を中心にトランプ氏がバイデン氏をリードし、その段階で「勝利宣言」する可能性があるとみている。

一方、バイデン氏は郵便投票分を含めれば、トランプ氏を上回るとして「勝利宣言」する展開が予想されるという。前代未聞の2人による「勝利宣言」で、当選者の確定が大幅に遅れることは確実ではないか、との見方が「選挙通」の間では広がり出している。

先の関係者によると、連邦最高裁まで郵便投票の違法性を巡る争いが持ち込まれた場合、最終決着は12月後半もしくは年明けまで先送りされる可能性があるという。

トランプ大統領が、欠員の出た最高裁判事に保守派のバレット氏を指名し、今月26日に米上院で承認を得ようとしているのは、郵便投票を巡る訴訟で勝利を確実にするためとみられている。バレット氏が承認されれば、最高裁は保守派6人対リベラル派3人の構成になるからだ。

ただ、米国の政界・司法界に詳しい別の日本人関係者は、保守派の判事でも、郵便投票での結果が大差でバイデン氏リードとなっていれば、郵便投票は違法という判断は下さないのではないかと見ている。

<過剰マネーがリスク吸収か>

いずれにしても「当選者不在」の期間が長期化する公算が大きく、覇権国である米国のリーダー不在は世界のパワーバランスや経済情勢に大きな影響を与えそうだ。

マーケットは「不透明感」を嫌うため、世界の市場は株安・ドル安で反応するとの見方がすでに出ている。いわゆるリスクオフ相場となり、日本では円高・株安が優勢になるとの見方だ。

一方、マーケットにあふれるマネーは、主要国のゼロ金利・マイナス金利政策で行き場をなくし、株式市場に流れ込むとの予想も少なくない。特に米系の市場参加者には「強気」な見方が多く、来年1月20日までには次期大統領が決まる以上、株の暴落はないと予測している参加者が多いようだ。

「前代未聞の事態」と「超緩和」の綱引きは、どちらに軍配が上がるのか。未体験ゾーンでの現象だけに予想もつかない展開になるリスクも、相応にあると覚悟しておいた方がよさそうだ。

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編集:石田仁志

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